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れいは大きく息を吸い込み、前線に向かって大きく声を張り上げた。
「かゆーーーーーーー!!」
「なにーーーーーーー!!」
同じ声量でかゆから返事が返ってくる。
「武具の素材になるような物持って無いーーー!?」
「あるよーーーーーーー!!」
かゆは器用に敵の攻撃を捌きながら答えている。
「ギルに送らせるねーーー!!」
前線で二人が何やら少しもめてからギルがこちらに走って来た。
「お待たせしたッス!これ姉御からッス!」
ギルの腕の中にはあまり見ないような色をした木材と鉱石?があった。
「それは?」
「姉御曰く天空島の雲霧の木材と天空鉱の中でも珍しい虹鉱石を加工したレインボーインゴットらしいッス。」
「なんだかとても高価そうだけど…。」
「姉御がれいさんに送ったものみたいッスし、大丈夫じゃないッスか?それで一体どうするんすか?」
「私の特技でダイヤさんの武器と防具を作ります。」
「え?れいさん鍛冶師だったんスか!」
「ううん。見てくれればわかると思う。」
れいはダイヤに確認をとる。
「ダイヤさんの武器は普通の剣で大丈夫ですか?」
「は、はい。後は盾もですね。」
次にギルの方を見てギルの装備を見て、今度はギルに確認を行う。
「ギルさん。その剣と盾を参考にしてもいいですか?」
「え?まぁ、別に構わないッスけど。」
「ありがとうございます。」
れいは素材の横に見本となる武具を置いて手をかざす。すると素材が浮かび上がり、その形が変形していく。
「これは…。」
「凄いッスね…。」
しばらくすると素材は剣と盾の形になり、剣の刀身は透き通った輝きを放ち、盾は木材の上に薄く金属の膜が張られ、薄く輝いている。
「…綺麗。」
ダイヤはその武具の美しさに見とれていた。
「ふぅ…。」
作業が終了したれいは額に汗を浮かべ大きく呼吸していた。
「これなら、きっと大丈夫。ダイヤさんは戦えるはずです。」
「残念ながら、もう少し工夫が必要ですわね。」
いつの間にかれいの後ろにゼロが立っており皆驚く。
「うぇ!?全っ然気づかなかったッス。」
「まあ、さっき来たばかりだから無理もありませんわ。とにかくその剣にもう少し手を加える必要がありますわ。ねぇ?」
ゼロはそう言いながら光の方を見る。光からは戸惑うような気配が感じられる。
「はぁ。仕方がありませんわね。私も補佐してあげる。あなたの力をこの剣に籠めてあげなさい。」
ゼロは光に向かって杖を向け一つの本を持ち出す。
「魔術理論の証明者の章!」
杖から球が放たれ、光に当たると光には剣にするべき行動が頭に刻まれた気がした。それを頼りに剣に手をかざし、力を籠める。すると剣の輝きがさらに明るくなった。
「…上出来ですわね。これなら文句はありませんわ。」
そう言うとゼロはその場から離れていく。少し遠くから見守るらしい。
「皆さん。ありがとうございます。」
「私にはこれしか出来なかっただけです。」
れいは少し恥ずかしそうに言い、
「先に前線戻ってるッスよ!」
ギルは笑顔で前線にかけていく。
「どうか…よろしく…お願いします。」
光は再びダイヤに頭を下げた。
「ありがとう。」
ダイヤが剣と盾を持ち前線へとゆっくり歩きだす。少し離れた所でゼロが指を鳴らす。するとダイヤの目は金色に変わり、髪も黒から鮮やかな赤に変わり、服装も元の騎士の鎧へと変わっていった。ダイヤの所に一人の子供がかけていく。
「騎士様!」
ダイヤはその声を聴いて振り返る。子供だと気付き、しゃがんで目線を子供に合わせ、優しい声で返事をする。
「どうしたんだ?」
「あの、負けないで!頑張ってね!」
ダイヤは一瞬驚いた顔をしたがすぐに笑顔に戻した。
「ああ。負けないさ。これ以上誰も傷つけさせはしない。だから安心して皆の所で待っていてくれ。」
「うん!」
子供は村人達の元に戻っていく。
「頑張ってね…か。こんなに、こんなにも嬉しいものなのだな。」
ダイヤはうっすらと浮かんだ涙を拭い、再び前線へと向かっていった。




