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ギルが掘ったという通路を三人で進んでいく。


「ギル殿。あなたは先程自分で掘ったと言っていたが、一体どれ位かかったのだろうか。」

「まぁ、魔法で補強しながら掘り続けただけッスから一週間?目を盗んで掘るのは大変だったッスね。」

「これを一週間か。魔法とは便利なものだな。現実じゃどれほどかかる事やら。」

「現実…って、まさかあんた!」


ギルは少し距離を置いてダイヤを警戒する。その姿を見てれいが慌ててなだめる。


「ダイヤさんは大丈夫です。村を真剣に守ろうとしていた人ですから。」

「れい殿…感謝する。」

「うーん。姉御の知り合いであるれいさんが言うなら…そうなんスかね。わかったッス。ダイヤさんだったッスね。疑って申し訳無いッス。」


ギルは警戒を解きダイヤに頭を下げる。


「大丈夫だギル殿。実際他の者を見れば警戒するのは当然だからな。私も…正直他の同郷の輩をもう信用できる気がしない。」

「ダイヤさん…。」


自分の騎士団全員に裏切られたダイヤは人に対して疑心暗鬼の様だ。れいが心配して見つめているとギルが前を指した。


「あそこが出口ッス。」


うっすらと光が差し込んでいるが、多くの草やツタが生い茂っており、かき分けるのが大変そうだ。


「これでは通れないな。私が切って…」

「ストップストップ!任せて欲しいッス!」

「あ、あぁ。すまない。」


ダイヤを止めたギルは両手を前に出し詠唱する。


「ネイチャー。…隠してくれてありがとうッス。通るから避けて貰っていいッスか?」


ギルが話しかけると草やツタがそれに呼応するように脇に避け、外の明かりが直接入って来るようになった。


「ありがとうッス。あとこれが最後のお願いになるッスから自由にして大丈夫ッス。今までお世話になりました。」


草がざわざわとなり、ギルは手を下ろした。ダイヤとれいはその一連をポカンと見ていた。


「これで大丈夫ッス。行きましょう。姉御が待ってるッス。」


そう言って走り出すギル。二人は少ししてから我に返りギルを追いかけ始めた。


二人が追い付き、三人で森の中を走る。空は夕暮れで少し時間が経てばすぐに暗くなりそうだ。


「もうすぐ暗くなるッスね。完全に暗くなる前には村に戻りたいッスね。」

「ならば急ごう。村が無事かも気になる。それとさっきのは…」

(今日は色々あったなぁ。ちょっと疲れたかも。)


二人が今後の事を話している中そんな事を考えているれい。賊に捕まりさっきまで牢屋にいたはずだがまったく気にしてはいない様だ。


森を走っていると少し木々が無い開けた場所があった。


「ここは…。」

「本物の入り口ッスね。ようやく戻って来たッス。これなら村はすぐッスよ。」


すぐにその場を後にしようとしたが、れいが視界の端に見覚えのある姿が映った。


「…かゆ?」

「本当ッスか!!」


村の方からかゆが賊のアジトに向かっていく。三人は少しずつ近づきながら森からその様子を観察する。入り口の賊と何かを話しているようだが内容が聞こえてこない。


「もう少し、もう少しで聞こえそうッスか…ねぇ!?」


突然かゆがこちらを振り向き弓で射って来た。咄嗟にギルは盾を構え、


「シールドウォール!」


ギルの盾の周りに半透明の膜が張られ、矢が弾かれる。さりげなく矢の本数は三本である。


「これは、矢なのか?」


かゆの打った矢は羽が無く、真っ直ぐな棒に金属の片刃状の矢じりがついているものだった。


「姉御の矢はオリジナルらしいッスよ。自分で打ちやすい矢を作った結果がそれらしいッス。姉御ー!!」

「あ!ギルだ!探したよー!」

「それはこっちのセリフッスよー!ご友人のお二人はこちらにいますんで心おきなくやっちゃって下さいッスー!」

「他に人質はー!」

「いないッスー!先に村に向かって大丈夫ッスかー!」

「いいよー!村の守りは任せたよー!」

「了解ッスー!じゃあ行きましょうお二人さん。」

「は、はい。」

「しかし彼女は大丈夫なのか?いくら強くとも複数人相手では…」

「さてはお二人、姉御が戦う所まともに見た事無いッスね?大丈夫ッスよ。俺達がいる方が逆に足手まといになるッス。」


ギルに先導され、れいとダイヤはすぐ近くの村に戻って来た。そこには多くの縛られた騎士団団員とそれらを睨む村人達がいた。


「殺すなら殺せよ臆病者共が!俺達をこんな目に会わせやがって!絶対に後悔させてやる!」


叫び散らかす騎士の一人、村人達は何も言わず睨み続けている。


「殺せ!殺せよ!必ず復讐しに帰って来てやる!お前ら全員皆殺しにしてやる!」

「いい加減にしなさい!」


その光景を見たダイヤが我慢できず叫んだ。


「…団長。」

「いい加減分かったでしょ!?この世界がゲームじゃ無い事ぐらい!あなた達がしている事は犯罪と同じ事よ!」

「…クク。クハハハハハ!!」

「何がおかしいの。」


大笑いする騎士に対してダイヤが冷静に問いかける。


「それがどうしたよ!ゲームだろうがそうじゃなかろうが世間からしてみれば関係無い!俺達がここで何をしようが警察も来ないし法に裁かれる必要も無い!だからやりたい事が何でも出来る!物を盗ろうが!人を殺そうが!死ぬことも無い!誰も俺達を裁く事は出来ない!クハ!クハハハハハハハハ!!」


騎士の笑いに釣られて他の騎士も笑い出す。


「そうだ!所詮ゲームだ!」

「俺達が正義だ!」

「何をするのも自由なんだ!」


騎士達はそれぞれ狂ったように笑いながら主張を繰り返している。


「こんな…こんなやつらが同郷だなんて…私は…。」

「気に病む必要無いよダイヤさん。ダイヤさんは何も悪く無いもの。」


静かに涙を流すダイヤの背をれいが優しく撫でる。ギルと村の人達はその光景を見ていた。


「…やれやれですわ。いつ話に混ざればいいのかタイミングが読めませんわよ。」

「え?」


場に透き通るような声が響く。その場にいた全員が声が聞こえた方、れいの後ろに目を向けると…


「人探しは無事終えたようですわね。」


白いローブを着ており、そしてれいと同じ顔を持つ少女。


「ゼロ!?」

「ふふ、お疲れ様ですわ。」


ゼロが本と杖を手に持ち立っていた。

この世界での目的はギル君の救助だけのはずだったのに意外と書き始めると長くなっています。

一度書き出すって、結構大事ですね…。

賊のアジトが近くにあるにも関わらず見つからなかったのは村人達があまり探しに出なかった事と幻惑の魔法で隠されていたということで…ダメかね?

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