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「すまない。れい殿。あなたまでこんな事になってしまって。」
「大丈夫です。私が望んだことですから。」
現在れいとダイヤが居る場所は通路にある牢屋であり、ダイヤは装備を没収されている。れいは強く無いと見られたのかそのままである。
「これからどうしますか。」
牢屋の前にはダイヤの騎士団とは違う服装の騎士が見張りに立っており、二人は声が届かない様に話している。
「どうにかしてここを脱出したいが私は装備を取られているし、どうしたものか。」
「私も持っている物は傷を癒す薬とフライパンぐらいです。」
「フライパン?一体どこに…。」
「私の占有領域…えっと、かゆはインベントリって言ってました。」
「そうなのか。私は装備と共にアイテム袋も取られてしまったから今身に着けている物で全てなんだ。」
「あまり有効な手段は見込め無さそうですね。」
「うーむ。」
二人してうんうん唸っていると見張りが立ったまま寝息を立て始めるのが聞こえてきた。そして見張りのそばには牢屋のカギらしき物が置かれている。今ならそのカギを取って脱出出来そうである。
「…行きますか?」
「…うむ。行こう。」
二人が脱出を試みようと鉄格子に近づこうとすると通路の奥から一つの足音が近づいてくるのが聞こえてきた。二人はすかさず牢屋の奥に戻る。
「おいお前!また居眠りか!」
「あ、あぁ。すみません。」
「ったく。お前のせいで何回か逃げられてんだぞ!しっかり見張ってやがれ!」
「…わかりました。」
賊の一人が通りすがり、居眠りしていた見張りを注意して去って行った。
「危なかったですね。」
「あぁ。危うく脱走しようとしているのがばれる所だった。」
「でもこれでカギを取っての脱出はできなさそうですね…。」
二人がこそこそ話しながら鉄格子の方を見ると、見張りの騎士がずっと二人を見つめていた。そして二人が見つめている事に気付いたと見るや手に持っていたカギを再び台の横に置き、再度二人を見てから先程と同じ体勢になり寝息を立て始めた。
「えっと、これは?」
「脱出を…促されている…のか?」
二人はゆっくりと鉄格子に近づき台からカギを取った。見張りは変わらず居眠りを続けている。二人は頷き合いそのまま扉に近づきカギを開けようとする。
「ダイヤさん。できる限り早く!」
「分かっている!」
牢屋に開錠するためのカチャカチャ音と見張りの寝息が響く。ダイヤがしばらくカチャカチャしている中、れいは見張りの方を見ていた。見張りはずっと同じ体勢のまま寝息を立て続けている。本当に寝ているのかはたまた寝たふりなのかはヘルムをかぶっていて分からないがれいは話しかける事にした。
「…あなたは、村で噂されていた緑の騎士ですか?」
見張りは何も反応せず寝息を立てている。
「…あなたは、ここに連れてこられたのですか?そして何故ここに?」
見張りに反応は無い。
「……あなたは…『かゆ』という名前に聞き覚えはありますか?」
見張りの寝息が途切れると同時にカチャリという音が鳴った。
「れい殿!鍵が開いた!っ!?」
ダイヤが扉を開けようとした時、再び通路の奥から足音が響いてきた。
「奥に戻りましょう!」
「くっ、分かった。」
二人は急いで奥に戻る。少しすると先程とはまた別の賊が歩いてきた。
「ちっ、こいつまた居眠りしてやがる。NPCだからしょうがねえけどよ。…ん?こいつカギはどうした?」
(まずい。気付かれた!)
「まさか…」
賊が扉に手をかけ押すと鍵がかかっていない為すんなりと開いた。
「おいおい。お嬢ちゃん達。脱走しようとしやがったな?」
賊は牢屋内に入り、れいとダイヤに近づいてくる。
「こりゃあちょいとお仕置きしねえとなぁ。ひひっ。」
賊はナイフを手に持ちじわじわと近寄ってくる。二人は壁際によりながらも対処する為に構える。ダイヤは体術で、れいは後ろ手にフライパンを持って。
「まずは服からズタズタに…」
ゴンッ
牢屋内に響いた鈍い音。賊は前のめりに倒れ、その後ろには先程の見張りの騎士が盾を持ち立っていた。騎士はヘルムを脱ぎ、話しかけてきた。
「大丈夫ッスか?お二方?」
ヘルムを外して露わになった緑色の髪の少年は二人を安心させるかのように笑った。




