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「さて…」
かゆがテントから飛び出して行った後、再び残されたれいとダイヤだが、ダイヤは椅子に座ってうなだれていた。
「まさか…そこまで愚かだったとは…これでは更にこの世界の人達を怯えさせているようなものだ!」
「ダイヤさん…」
「だがどうする?もし私以外が全員敵に回ればいくら私でも勝ち目が無い。一体どうすれば村の皆を守れる。」
二人の間に沈黙が続く。ダイヤもれいも共に村の為に何が出来るかを考えた。しかし…
「だめだ!味方が居ない中では出来る事は限られる!」
「とても私達だけではどうしようもないですね。」
「とりあえず一度外に出て村を回ってみよう。」
二人はテントの外に出て村を回ってみる事にしたが、村はれい達が来た時よりも閑散としていた。ほとんどの村人が家にこもっているようだ。
「皆、何かが起きるという噂を聞いて、警戒しているようだ。」
「それだけじゃなく騎士に対しても怯えているようにも見えます。皆ダイヤさんを見て怯えているようです。」
「…そうだな。」
しばらく村を歩き、一つの入り口に近づいた時に村の外から複数の足音が聞こえてきた。
「何だ?」
二人が入り口に目を向けると数十人の賊が歩いて来るのが見える。しかもそれはついさっき転移で逃げたはずの賊であり、かゆが殴る蹴るでダメージを与えていたはずだがその傷も消えている。
「よぉよぉ団長さん。さっきぶりじゃねえか。」
「貴様ら!」
「おいおい、あんまかっかすんなよ。美しい顔が台無しだぜ?」
「そんな事を気にする私ではない!」
「そりゃ残念だ。まぁいい。一緒に来てもらおうか。」
「断る!」
「いいのかい?あんたの騎士団の団員がどうなっても。」
「………。」
賊の仲間が入り口にいた騎士に剣を突き付けるが、事前にかゆから話を聞いていたダイヤには、騎士は怯える演技はしているものの受け入れているように見える。
「………。」
「ほれ、どうしたよ団長さん。お仲間が死んじゃうぞ~?」
「…構わん。」
「は?」
「ダイヤさん?」
ダイヤは騎士を指さし言い放つ。
「住民の生活を脅かし、そのような演技までして人を騙す様な不届き者は、騎士ではない!」
ダイヤの言葉を聞いた賊達は大きく笑い出す。
「だぁー-はっは!ばれてやがるぜ!」
「お前らやり過ぎたんじゃねぇのか?」
「NPCがチクりやがったかぁ?後で誰がチクったか聞かねぇとな。」
騎士も賊に混じって話し出している。
「貴様ら…。」
「ばれてんならいいや。そうだよ。あんただけだよ村を守ろうなんて考えてんのは。他の奴も皆同じ考えさ!」
「…そうか。」
「別に報酬があるわけでもない依頼受けて何になる?ただの無駄働きだ!何が騎士だ。所詮技を覚える為の職業だろうが!」
「そんな考えなら騎士などやめてしまえ!」
「てめぇにそんな事決められる筋合いはねぇよ!このクソ女が調子乗りやがって!」
騎士とダイヤの言い合いは賊によって止められた。
「おい!騒いでんじゃねぇ!とっとと来てもらうぞ団長様。従わなければ…そうだな~、力でねじ伏せてもいいが、村を焼くなんてどうだ?」
「なっ!貴様らどこまで!」
「あんたが付いてくるだけでいいんだぜ?」
「…分かった。」
「ダイヤさん!?」
ダイヤは賊達の方に歩いて行く。そして大人しく賊に手を縛られた。
「れい殿。あなたを守る事が出来なくてすまない。あなただけでも逃げてくれ。」
「でも!」
ダイヤは賊に連れられ村から離れて行く。
(このまま見ているだけでいいの?でも私に出来る事なんて…)
れいがずっとダイヤの背を見ているとダイヤが少し後ろを向き、れいに向かって寂しそうに笑った。その顔を見た瞬間れいは走り出した。
(れいちゃんが出来る事をして)
かゆの一言が脳裏によぎる。
(私に出来る事…それは…)
走るれいが賊に追いつくのはすぐだった。
「ん?何だ嬢ちゃん。」
「はぁ、はぁ、…私も、連れて行って下さい。」




