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「えーと、君の連れが戻るまで、ゆっくりしていてくれ。」

「あ、ありがとうございます。」


かゆが出て行った後、れいは騎士団のテントで団長と共に過ごしていた。とはいえ二人の間に会話は無く、しばらくの間沈黙が続いた。


「君の名前は何と言うんだ?」


団長から話しかけられたれいは緊張しながらも聞かれた事に答えた。


「しらもり れい?まるでこちらの世界の名前ではないか。」

「そうなんですか?」

「君、本当にプレイヤーでは無いのか?」

「た、多分。」


二人は話をしてお互いに段々と仲良くなった。


「私はこちらの世界での名をダイヤと言う。あちらでの世界での名は…やめておこう。誰に聞かれるか分かったものではないからな。」

「何かあるんですか?」

「あぁ、あちらでの名を知られれば最悪あちらで問題が起きる。それこそ嫌がらせや周囲に迷惑がかかるような事がな。」

「大変…なんですね。」

「あぁ、出来る事ならこちらにずっと居続けたいぐらいにはな。」

「それって?」

「…これはあくまで私が感じている事なんだがな?こちらの世界とあちらの世界、何の違いがあるのだろう。確かにあちらの世界には魔法が無い。こちらの世界には科学が無い。あぁ、科学というのは魔法の代わりのようなものだ。確かにそれらは違う事だと思う。だがな…。」


ダイヤは一度下を向くと再びれいに向き直る。


「世界ごとの人の違いが…私には分からないのだよ。」

「それは…」


ダイヤは困った様な笑みを浮かべて続ける。


「他の人は言う。こちらの世界の住人は皆データなんだから生かすも殺すも自由だと。自分達は何をしてもいいのだと。実際騎士団の中にもそういう輩が存在する。だが私は!私には…とてもそうには思えない。」


ダイヤの顔は途中から悲しそうな顔に変わっていた。れいは口を挟まずそのまま聞き続ける。


「…最近、思う事がある。彼らは実際に生きていて、私達が居る事によって彼らの生活が脅かされているのではないかと。私達が居なければ彼らはもっと自由に生きていたのではないかと!そう…思えてならないんだ。」


ダイヤは顔を下に向けて黙り込んでしまった。れいはそんな彼女に語り掛けた。


「実は私、私達は………この世界とは別の世界から来たと言ったら…信じますか?」


れいはダイヤにゼロから聞いたこの世界のあり方を話した。ダイヤはれいの真剣な表情を見ながらその話に耳を傾けた。


「あぁ、信じるさ…。信じるとも!」

「ありがとうございます。あと、さっきの話について一ついいですか?」

「なんだ?」

「周りの人達の意見等は全部気にせず、あなたの思っている事のみで答えて下さい。」


れいは優しい笑みを浮かべて先の言葉を発した。


「あなたはこの世界の人達を…どう思っていますか?」


ダイヤはその言葉を聞いて今までの記憶を思い出していた。自分がこの世界に来て剣士から始まり、人を救っていく内に騎士となり、騎士団長にまでなった今までの自分を。


「私は…」


ダイヤの中で小さくなっていた灯火が段々と勢いを増していく。

他人の言葉に左右されず、自分の想いを紡ぐなら…


「私は、不死鳥騎士団団長のダイヤ。騎士は民を守るもの。それは違い無い。だが私はそれ以上にこの世界を、民を愛している!!だからこそ悪から守る!!それは私がやりたい事だからだ!!」

「それでいいと思います。」


ダイヤはれいに見られている事を思い出し、恥ずかしそうに座った。


「れい殿。感謝する。私は、大分弱っていたのだな。当たり前の事を忘れかけていた。」

「私の先輩も自分を貫いていました。周りから遠ざけられていた私をいつも構ってくれていたんです。だからあなたも周りに左右されず頑張って下さい。少なくともあなたに救われた人たちは、きっとあなたがいてよかったと思っていますよ。」

「あぁ、これからも精進しよう!騎士として!私として!」


お互い語り合った二人の間には確かな信頼関係が築かれていた。

この世界の人々はお互いに違いを分かっており、一部を除いて仮想現実世界の人達は現実世界の人達を恐れています。それが現実世界の人達を増長させる一因にもなっています。

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