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ツカサの退屈しのぎ  作者: J. E. Moyer
8/19

ミルク風呂と成人映画

Episode #8

「ミルク風呂に入りにこ〜へんか?」と佳子ちゃんが言うのです。


司は最近観た成人映画でミルク風呂に入っていた女の人を見た事があります。


ヤクザのXX組の幹部の一人が司の両親の患者なので、毎月映画の券を二枚貰うのです。


この町には映画館が五館あります。駅のすぐ前の大きな二階建てのビル内の一階が邦画や成人映画を上映しており、二階が洋画や青年向きの映画を上映しています。これらが、XX組の経営している映画館なのです。


「お母ちゃん、映画見に行ってもええか?」というと、その券を渡してくれるので, 司は 【モンローのような女】と題のついた映画を観に行きました。


切符が無い時も、「あばちゃん、入れてな。」と言うと、映画館のおばちゃんは一応躊躇するのですが、顔と目を入口の方に動かして無言の承諾をしているかのように司を入れてくれるのです。だから、司は訳の分からない成人映画を観る事もあります。


映画館には近所の駄菓子屋に売っていないおやつがあるので、司はそれを目当てで映画館に入るのが楽しみなのです。


ヤクザみたいなおっちゃん達があちこちに座っているので、司も真ん中あたりの席で駄菓子を食べながら観ます。


▪ ▪ ▪ ▪ ▪


「ミルク風呂に何時入れんのん?」


「今からおいで。 今ミルクが入ったとこやで」と佳子ちゃんが言います。


真っ白いミルクが、風呂桶に入っていました。


ミルクは温かく、その中に桂子ちゃんと一緒に首まで浸かってみたのです。


ミルク風呂はヌルヌルした感じで、『銭湯の岩風呂の方がええなぁ』と思ったけれど、これで司も


「ミルク風呂に入ったで」と言えることがスペシャルなのです。


映画の中で女の人がミルク風呂から出てきた格好を真似してみて、


「こないして風呂桶から出るねんで」と知ったかぶりをしてみたのです。


▪ ▪ ▪ ▪ ▪


佳子ちゃんの両親は精肉店経営で、お金持ちです。


佳子ちゃんの父親は、昔、歌手か俳優かで、

"包丁一本 晒しにまいて..." を歌う歌手と友達やでと言うので、


『そない言うたら、おっちゃんは男前やなあ』思いました。



佳子ちゃんは我儘娘で、"まりつき" をしても、司の番になっても、もう一回やらせて欲しいので面白く無くなってしまうのです。


それでも司は 「あかんで!」と言えないので、『なんで言われへんねんやろ?』と自分に腹が立つのです。



佳子ちゃんとは自転車で遠乗りをすることがよくあります。その時に見つけたソロバン学校やピアノ教室は司のお気に入りです。


あるお宮さんの中の建物でソロバン学校をやっているので、覗いていた桂子ちゃんと司を見つけた先生が「入っておいで」と言うので、入っていくと、ソロバンの使い方を教えてくれました。


司はソロバンを習ってみたいと思いましたが、桂子ちゃんは興味が無いみたいです。


次の日に、司は学校から帰ると


「お母ちゃん、ソロバン学校に行ってもええか? 佳子ちゃんも行くねんで」と嘘をつきました。


ピアノ教室には、桂子ちゃんも興味があるので


「お母ちゃん、ピアノ教室に行ってもええか? 桂子ちゃんも行くねんで」 と言うと


「ほんなら、あんたも行きんか」と言ってくれるので、


『お母ちゃんは佳子ちゃんのお母ちゃんと競争しとるんやろか?』思いました。



つづく

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