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ツカサの退屈しのぎ  作者: J. E. Moyer
10/19

誕生パーティー

Episode #10

「誕生日のパーティーに来うへんか?」と光ちゃんが皆を誘っています。


光ちゃんは一人娘で、顔つきも良く、自信があって、漫画の絵を描くのが上手です。


学校ではみんなが光ちゃんの周りに寄って、感心しているのが日常で、司も真似をして絵を描いてみますが、へたです。


そうかと言って絵を描かないかと言うと、そうでもなく、光ちゃんと一緒になって描いているのです。


光ちゃんは漫画も沢山読んでいて、江戸時代の女の旅人の話が好きです。


「司ちゃん、旅人ごっこしょうか?」と言うので、行ってみると、部屋の中に衣装が一杯置いてあって、部屋の真ん中に置いてあるテーブルの周りをぐるぐる回って、関所に行くのです。関所に着く前に衣装変えをしてから、また次の関所まで歩いて行きます。


衣装は、風呂敷が着物の裾になり、スカーフをかぶって顔を敵から隠すのです。ホーキが三味線に早変わりして、いそいそと歩く姿を想像しながらやってみます。


光ちゃんは、ケンバン筋の友達とは違った遊びをするので、遊びに行くのが楽しみです。


光ちゃんの家は駅前の靴屋さんで、司のお父ちゃんの靴は全部ここで作ってもらうのです。


『なんでお父ちゃんの靴も、私らみたいに靴屋さんで買わへんねんやろ?』と司は思うのですが、お母ちゃんは夕食もお父ちゃんだけ別の食べ物を作るので、司もそれ以上深く考えたことがありません。


司は誕生日を祝って貰った事もないし、パーティーにも出席した事が無いので、お母ちゃんにプレゼントを買ってもらって、着慣れないワンピースを着て行きました。


パーティーではお寿司やお菓子がいっぱい、綺麗に広げられていて、テーブルの上には小皿が用意してあります。


司もみんなの真似をして、好きなお寿司やお菓子をお皿に取って、手で掴んで食べました。


光ちゃんのお母ちゃんが、ローソクの火を点けたバースデーケーキを持って部屋に入って来た時は、


『映画で観たみたいやなあ』と司は光ちゃんが火を消すのを見ていました。


光ちゃんのお母ちゃんがワインを持って来て、みんなにグラスを手渡したので、司も飲んでみました。


「甘うて美味しいで」と言って、司はおかわりをしてジュースの様にグイグイと飲み干しました。


その後の事は記憶が途切れ途切れで、グラウンドにみんなで行ったことは覚えていますが、そこで縄跳びをしていた女の子達に


「一緒に縄跳びしょうか?」と言って近づくと、変な顔をして司を見ているばかりか、縄跳びを止めてしまったので


「早う縄跳びしような!」と回らない舌で、もどかしげに喋ったのを覚えています。


身体も、くにゃくにゃとして、歩くのが困難になっていました。


▪ ▪ ▪ ▪ ▪


光ちゃんのお母ちゃんに連れられて、お父ちゃんの診療所まで帰って行く途中も、行き交う人に大声で何か喋ったような気がするのです。


お父ちゃんは何も言わずに司を患者用のベッドに寝かせてくれました。


司が目を覚ました時は、『怒られるやろか?』と思ったけれど、お父ちゃんはお金をくれて


「たこ焼きでも食べて来いよ」と言いました。


「あんた酒臭いで!」と、たこ焼き屋のおばちゃんから言われ


「ワイン二杯飲んでん。美味しかったけど、頭が痛いわ!」と応えながら、これで


「私もお酒飲んで酔うてんで!」と言えるので、それが司にはスペシャルだと思えるのです。


司はお父ちゃんにもお母ちゃんにも怒られへんかったから 『よかった!』 と思いました。


後でお母ちゃんから聞いた話では、ほかの友達の母親達が


「子供にワインなんか飲ませて!」と、光ちゃんのお母ちゃんに腹を立てていたそうです。



つづく

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