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大きな卵

 どう考えても、その卵は僕が吐き出したにしては大きすぎたし、重すぎた。六畳間の中心から動かすことさえ敵わないのだ。高さ約1メートル、形は鶏のそれに似ていて、縦にも横にも場所を取る。極めて固く、破壊も困難だ。長期的に取り組めば可能なのかもしれないが、ハンマーで叩くたび金切り声のような音を立てるので断念した。不愉快だし、近所迷惑だ。なので孵してしまうことにした。つまりは放置だ。卵自身がほのかに発熱しているので、暖める必要もなさそうだった。飼い猫は卵に寄り添って眠っている。僕も寝ることにした。


 翌朝、猫が光っていた。窓から差す朝日に負けない明るさだ。「猫  光る」で検索してみようとしたが、携帯の電源が点かない。パソコンも駄目だった。おろおろしていると、猫が回転を始めた。光る尻尾を追いかけるうち、彼は光の輪になって浮遊し、収縮し、そして消えた。時計を見た。昨日の深夜で止まっていた。不意に気持ちが悪くなって吐いた。部屋の卵が二つに増えた。一方が雄で、もう一方が雌なのだろう。自分がこの口から、災厄とでも呼ぶべきものを吐き出したことも理解できた。だからといって、飲み込んで元通り、ともいかないので、僕は事態を見守ることにした。ちょうど、いつでも終わっていいような気分ではあったのだ。

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