表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バッドエンドは全力でぶち壊す!  作者: 血迷ったトモ
49/50

第48話 理由

シリアス展開?ナニソレオイシイノ?

「…はぁ。雄貴君がそういう人って事は、分かってた筈なんだけどな。」


泣いて怒って、ようやくスッキリしたのか、十分後には少しだけ落ち着いていた。


「そういう人って、どういう意味だよ?」


「そのまんまの意味だよ。優しくて、愚直で、不器用な人。」


「最初の2つは兎も角、不器用ってのは正しいな。」


自身が不器用なのは、嫌という程、思い知っているので、苦笑いする。


「優しくて愚直って事には、自覚が無いんだね。」


「うん、まぁね。仮にもし俺が優しく見えたのなら、それは自分自身の為の行動の結果だし、愚直…ってほど馬鹿正直には生きてきて無いからなぁ。俺、実は隠し事大量だよ?呆れるほど隠し事があるよ。」


おどけた笑みを浮かべながら、冗談っぽく言う。この際なので、この程度の事は言うべきだと考えたのだ。


「え、そんなに隠し事が?い、意外だよ。で、でも、優しい人って事には、変わりは無いから!」


「お、おう?例えば、どんな所が?」


グッと握りこぶしを作り、力強く言い放つ夏帆。どうしてそこまで言えるのか不思議なので、雄貴は首を傾げる。


「ほら、前にさ、何人かの女の子に告白されてたよね?」


「あ〜、うん、そうだね。それと、俺が優しいって話に関連ある?ただキッパリと振っただけだぞ?」


「関係あるよ。だって雄貴君さ、振った女の子が、その後どうなったかを暫く気にしてたよね?人に探りをいれたり、自分で確認しに行ったり。」


「ど、どうしてそれを…。俺、そんなに分かりやすく気にしてたか!?」


確かに夏帆の言う通り、雄貴は振った女の子達を気にかけていた。


振った直後は、それとなく追いかけて、危なそうなら直接声を掛けるか、人を使って1人にしないようにした。


更には、後日それとなく気軽に話し掛けたりなんだりと、世話を焼いていた。


まぁもっとも、大半は5秒で立ち直るような、心配無用な女の子達だったので、気に病んで損であったのだが。


「私が気が付いたのは、たまたまだったよ。校舎裏で告白されてて、それを見ちゃったんだけど、その後の雄貴君の行動があまりにも不自然でさ。その場から立ち去った女の子を、コッソリと追いかけて、で、友達の所に行ったのを確認して、ホッとしたように頷いてたよね。」


「…ガッツリ見られとるやん。」


自身の不審者みたいな行動を、しっかり見られてしまい、ショックを受ける。


「何となくで、付き合っちゃう人とかも居たのに、馬鹿正直に真正面から断って、それで相手を気にかけて、変な人だな〜って最初は思ってたよ。」


「ド直球で心を抉ってる!」


「けど、底抜けに優しくて、良い人だなってさ。それが段々と分かってきて。だから、話せるようになった時は、結構嬉しかったの。」


「そ、そっか。」


掛け値なしの夏帆の言葉に、むず痒さを感じてしまう。雄貴は確かに心配はしたが、本編開始後に、悪影響を及ぼす存在になり得るか等、そういう方面にも気を付ける意味もあったので、100%好意では無いのだ。


それを馬鹿正直には告げられないので、互いに無言で、何とも言えない雰囲気になる。


「…少し、その優しさに甘えても良い?」


またしても、沈黙を破ったのは、夏帆であった。……しかし、優しさに甘えるとは、どういう事だろうか。


「別に良いけど…。何をすれば良いんだ?」


戸惑いながら雄貴は問い、そのまま夏帆の言われるがままになって動く。


そしてそこから数分後には、夏帆の望む環境(・・)が整った。


「えっと…これは?」


堤防に腰掛けた雄貴の隣に座り、肩が触れ合う距離まで近付く夏帆。


「これからちょっと嫌な事を話したいから、少しでも楽な体勢になりたくて。嫌だったかな?」


「い、いや、嫌じゃないよ。」


「ありがと。…うん、落ち着く。」


ポスンと、夏帆が頭を雄貴の肩に預けて言う。


ーな、なんやこれ。こんな甘ったるい空気、おいちゃんには耐えられ無いって!ー


夏帆から漂ってくる良い匂いに、精神的な何かがゴリゴリに削られてゆくのを感じる。


「えっと、それで、夏帆さんの話って?」


「…私がどうして生徒会に過剰反応した、だね。」


「……。」


雄貴は黙る。何故なら、夏帆の事情をある程度知ってしまっている為、下手なことは言えないのだ。


万が一口を滑らせて、本人しか知らないようなことを言ってしまったら、目をも当てられない。


そんな雄貴の沈黙をどう捉えたかは分からないが、夏帆は静かに口を開く。


「私に兄が居るのは、知ってるよね?」


「…知ってるよ。」


当然に(・・・)知っている。思わずそう答えそうになるが、グッと堪える。ゲーム内でのイベントにおいて、主人公がそう答えると、夏帆が酷い表情をしたのを、記憶しているからだ。


「私の兄、百田俊彦は、小さい頃からずっと優秀だったの。運動も勉強も得意で、性格も悪くない。贔屓目抜きにしても、顔も整ってる。そんな兄を、両親は可愛がってたわ。」


感情が読めない無表情で語る夏帆。今までこんな様子は見たことが無い程だ。


その尋常じゃない様子に、雄貴は思わず口を開いてしまう。


「夏帆さんは、お兄さんのことどう思ってる?」


「…好きだった(・・・)かな。幼心に、凄い人だって分かったし、とても優しかったし。」


過去形で、懐かしむように言う。


「そっか…。話の腰を折ってごめん。」


「ううん。大丈夫だよ。今回の話にも関わる事だから。私は確かに昔は兄が好きだった。けど、両親が私と兄を比べて、『夏帆は出来が悪い』って言う度に、どんどん妬ましくなっていったわ。」


「……。」


エピソードとしては知っていたが、いざ本人から言われると、言い様のない感情が湧いてくるのを感じる。


「…そして、私が中一の時、転機が訪れるわ。私に超能力が目覚めたの。その時思ったの。これで私と兄を見返してやれるってね。」


「でも、お兄さんも超能力に目覚めたと。」


「うん、そう。しかも、私よりも遥かに強力な、Sランクのね。その結果、両親からの評価は変わる事が無かったわ。だから、ネームバリューが欲しくて、生徒会に所属したかったの。これ以上、兄に差をつけられたくなくて。…どう?幻滅した?」


自嘲の笑いを浮かべる夏帆。


ー俺が夏帆をに対して幻滅する?そんな馬鹿な(・・・・・・)。ー


「はぁ…。」


夏帆の言葉に、雄貴は溜息をついてから、口を開くのだった。

ヒロインズには、全員幸せになってもらいます()

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ