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第4話 眷属

「あの……有難うございました!」


エルは俺に頭を下げる。


「別に礼等いらんよ。只の暇潰しだ」


礼など不要。

むしろ格好をつけるシュチュエーションを用意してくれてありがとうと、こっちが礼を言いたい気分だ


ウーニャを見るとエルの後ろに隠れ、怯えた目つきで俺を見ている。

まあ変身した時点でヴァンパイアだという事には気づいているだろうし、あんな凶悪な魔法を見せられたのでは怯えるのも無理はない。


ふ、これもまた光と闇を併せ持つダークヒーローの宿命という奴だろう。


「ウル」


俺は宝玉を奴に投げて渡す。

それを奴は器用に口でキャッチし、そして飲み込んだ。


その様子を見て、最初っから飲み込んでおけば盗まれる事も無かっただろうにと思う。ひょっとして、飲み込んでも定期的にうんことして出て来てしまうのだろうか?

まあそんな下品な事はどうでもいい。


「約束は果たした。これでこの娘を許してくれるな?」


「いいだろう。但し条件がある」


「条件?なんだ、言って見ろ?」


この期に及んで条件出してくるとか。

厚かましいワン公だ。


「私を貴殿の眷属に加えて頂きたい」


「……へ?」


あ、いかん。

思わず間抜け面で変な声を出してしまった。

俺は口を閉じ、ぐっと表情を引き締める。


「唐突だな。理由を聞かせて貰おうか」


「この宝玉を守る為だ。私の力では、先程のトロールを倒すのは難しかっただろう。宝玉を狙う者達は何らかの組織で動いていた。また現れるのは目に見えている。もしその時、あれを複数送り込まれてしまえば私に勝ち目はない」


「成程、宝を守る為に俺の庇護下に入ろうという訳か」


「そうだ」


俺の部下にしてくれという割に、ウルの態度はでかい。

普通こういう場合は減り下る物なんだが……

所詮は犬畜生か。


「いいだろう。だが私の配下になる以上、忠誠は誓ってもらうぞ」


「宝を守る為なら、忠誠でも何でも誓おう」


「結構」


巨大な狼はヴァンパイアの配下にはぴったりだ。

内心小躍りしつつも、俺は冷静を装う。


「さて、街までお前達を送ろう」


こんな月の無い闇夜に、女の子を二人で放り出すわけにもいかない。

帰り道、魔物や野党などに襲われて殺されてしまったのでは助けた意味がなくなってしまう。


「ウル。彼女達をお前の背に乗せてやれ」


「心得た」


ウルは俺の言葉に素直に従い、エル達の前で伏せをする。

その背に彼女達は恐る恐る乗り込んだ。


「あの……マスターシャインダーク……オブ・グレートレジェンド?様。色々と本当に有難うございます」


「気にするな」


俺は自分の失態に今更ながら気づく。

それも二つ。


一つは、ウルの信用を得る為とはいえ名を名乗ってしまった事だ。

名乗らない方が格好良かったのだが、まあ仕方ないか。


そして二つ目は……名前だ。

ハッキリ言ってカッコいい。それも超がつく程。

だが少し名前が長かった様だ。

その証拠にエルは俺の名が一瞬出て来なかった。


もう少しすっきりした名前の方が良かったんかもしれないな。

まあ今更変えるのもあれだ。

暫くはこのままでいこう。


「では行け」


そう命じるとウルは走り出す。

俺はその影に潜り込んだ。

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