13.フロア2
翌日、冒険者ギルドに向かう。冒険者登録してステータスチェックしてもらうためだ。
ギルドに入ると、目当ての登録窓口は騒がしかった。なんでも大型新人が現れたらしい。
俺は待たされるかなと、股間の治療で出遅れたことに舌打ちした。
一瞬のまばゆい光。「おぉー」と職員と取り巻きの歓声が上がり、興奮に室内が揺れた。ソーシャルディスタンスを守り離れた位置にいた俺には状況がつかめない。その意図的に空けた列の間隔なんぞお構いなしに新たな野次馬が詰めかけ、窓口に集う。俺は後ずさりした。壁際まで追いやられた。
そしてさらなる閃光。
やがて騒ぎが止んで密が散り、一人窓口に向かう俺に職員が言った。
「なんだ、まだ居たのか。測定器は勇者が壊しちまったよ。スペアもな。修理部品は輸入が正常化するまで入ってこんよ――まったく……駄目じゃないか。勇者が全部壊す前にアピールしなきゃ……わかるだろ? 全て壊れる事くらい。壊さにゃならん事くらい。そんな要領の悪さじゃ冒険者はつとまらんぞ」
しかし窓口にはビニールカーテンがなされている。身勝手な話ではないか。
職員の小言を苦々しくも黙って聞いていた俺に、大型新人改め勇者が話しかけてきた。
「いやぁ、どうやら迷惑をかけたようだね」と頬をカキカキ。
「あ、あぁ」
「しかしこれも何かの縁だね。どうだい? パーティーを組もうじゃないか」
ステータス未確認の新人など、ていのいい荷物持ちだろうか。それでもかまわない。有望な勇者からのまたとない勧誘なのだから。
「100……」
「ん、どうした?」と勇者が屈託ない笑顔を見せた。
「いや、なんでもない」
俺はパーティに加わった。”お前にはがっかりだ。パーティーを抜けてもらう”と、100日後の追放案件を意識しながらも。




