三男の時
最後に三男。
三男ともなると、ベテランの域です。
最初の受診の時、普段の体重を書くのですが。
ふっふっふ。2キロ多めに書いてやるぜ。
なぜなら。妊娠中の体重増加の理想は7~10キロ。しかし、妊娠中はお腹が空くんです。つい食べちゃう。結果、長男も次男の時も12キロ増えました。
体重が増えると看護婦さんに怒られてしまう。検診の度に体重測定があるんですけど、ドキドキです。
これを知ってるものだから、普段の体重より多く書いたわけです。
しかし。看護婦さんの目がキラリ。
「ずいぶん体重が増えたんですね」
「子供を産んでから肉がついてしまって~。戻らなくて~」
たらりと汗をかきながら、しらばっくれる私。じと目の看護婦さん。しばしの沈黙。
「ま、いいでしょう」
良かった~。
ちなみに、2キロ多く書いたにもかかわらず、12キロ増えました。つまり、14キロ増えたのさ。し、シカタナイネー。
次男の時と違って手を抜くことを覚えましたからね。次男は長男と違い全く手がかからなかったので、長男が幼稚園に行っている間に寝転ぶことも出来ました。
赤ちゃんも順調に大きくなり、私にも順調に肉がついた。私に肉は要らないってのになー。
あと、気を付けなきゃいけないのが、検診の前夜に甘いものをとってはいけないってやつ。三男の時は真夏だったものだから、つい風呂上がりにジュースやアイスを食べてしまう。
検診の時の尿検査で糖分が出て引っ掛かっちゃうんですよねー。そしたら採血して検査になっちゃう。
お金もかかるし、私血管が細くて見えにくいらしくて、めっちゃバシバシ叩かれるんです。注射より、そっちの方が痛い。しかも、よく失敗される。私の両腕には採血に失敗した跡がいくつもあって、しかも青あざになったものだから、手の甲から採血しました。
まあ、そんなこんなで何事もなく順調でした。
予定日の10日前。次男の時もそれくらいで産まれたので、そろそろかなー、と思っていたら朝、陣痛が始まりました。
結構、強めだけど、冷や汗が出るほどじゃない。まだ余裕のやつ。
さて、どうしよう。
ちょうどお盆で、旦那のお義兄さんが泊まりで帰省してました。今日はみんなで海に行く予定。子供たちも楽しみにしています。
ま、大丈夫でしょ。
私がかかっている病院は自宅からより、海からの方が近いしね。この感じ、どうせ産まれるのは夜中だ。
ということで、海にgo!
「えええぇ、大丈夫なん?」
一人、心配そうなお義兄さん。へーきですよ、と私。落ち着いている旦那や家族。はしゃぐ子供たち。
途中で何回か陣痛が来るものの、まだそこまで痛くない。けど、おしりの辺りがグイグイ押されてる感覚と、回りながら捻りこまれてる感覚がある。つまり、赤ちゃんが回転してるのが分かる。
お昼過ぎまで海で遊んで、ご飯食べて帰りました。相変わらず陣痛はあるものの、そのまま何事もなく夜に。陣痛が来るたびに動きが止まる私に、一人オロオロしていたお義兄さん。そうだよねぇ。
その日は、お盆最終の送りの日。親戚がうちに集まってお経を読んで、お供え物を川へ持っていきます。それでご先祖様を帰して、後はみんなでスイカを食べてお開き。そのスイカを食べているときに。
バシーン、てやつがきた。つまり、ここからが本番の陣痛。
よし、ナイスタイミング。
本格的な陣痛がきたと皆に言ってから片付けをして、親戚も帰り、お義父さんとお義母さんに「朝には産まれてると思うからよろしくお願いします」とお休みの挨拶。子供たちを寝かしてから、そろそろ病院に連れてってと旦那に言うと。
「風呂入ってからでいい?」
今ー?
時刻は11時。病院までは30分の距離。陣痛は、なかなかの強さ。でも次男の時ほどじゃない。
「早めにお願い」
15分ほどで上がって、病院へ。12時ごろ、到着。
診察してすぐに分娩室へ。
赤ちゃんの頭がかなりグイグイ来てるのが分かる。陣痛の波の感覚も手に取るように分かるので、看護婦さんの声かけがなくても、力をいれるタイミングも、抜くタイミングも分かる。
私が陣痛の波に乗っていると、ふと横を見ると看護婦さんがちょっと離れて見学の姿勢。旦那もその横で同じ姿勢。
なぜ?
視線で疑問が伝わったのか、看護婦さんが感心したように言う。
「いやー、びっくりしました。経産婦さんってこんなに違うのかと。何にもすることがないです」
「なんか余裕があるもんな」
旦那も頷く。
いや、それでも一応、あってるかどうか分からんやん?確かに長男や次男の時より余裕あるけども。
「そろそろ、いきみたいですか?自分の感覚のままで大丈夫ですよ」
「いきみたいです。さっきから赤ちゃんがグイグイ押してます」
ということで、次の陣痛に合わせていきむ。
「すごーい。上手い!」
いや、いつもだったらそこで頑張ってー、とかなんですけどね。と、心のなかで突っ込みつつ、また陣痛の波に乗る。
あっさり、綺麗に産まれました。産声も元気。2時だったから、病院に着いてから二時間でしたね。
産まれてすぐに抱っこ。他の子に比べてずっしり、温かいことにびっくりしました。次男とか、産まれたばかりは冷たくて、私の胸にのっけて体温で温めたから。
「お母さんが上手だったから、締め付けられないで体温が高いんですよ」
そうなんだ。
自分自身も体力が残っていたので、普通に抱いて母乳もがっつり飲ませました。
もう、安産中の安産でしたね。赤ちゃんの扱いも慣れたもの。入院中は余裕ありすぎて暇なほど。
ただし。
三人目は後陣痛がめっちゃキツかった!!
最初の陣痛くらいじゃない。産まれる1時間前くらいの、脂汗かくようなキツイやつ。のたうち回りたいけど、赤ちゃんが横で寝てるのよ。
産院の方針で産まれてすぐ母子同室。しかも母親の隣で寝かされるんです。この方が赤ちゃんの体温も心も安定するし、母親の愛情もわきやすいとかいう理由です。
潰してはいけないから、シーツ握ってのたうち回らないようにする。大部屋なので他の人を起こしては悪いから、枕に顔を押し付けて声を殺す。
ちきしょー。赤ちゃんを産むのなら耐えられるけど。しかも分娩中はみんな応援してくれるけどぉ。
しんどかった。めちゃくちゃ痛かった。それが夜中に何回かあって寝られませんでした。後から思えばナースコールでも押せばよかったかも。
翌日の診察で先生がびっくり。
「わー、子宮の収縮が凄いね。これ、かなり痛いでしょう」
かなり回復が早いらしい。
「痛いです」
即答。
看護婦さんもどれどれと私のお腹を触り、
「わあ、本当だ。可哀想に。これだけ早かったら相当痛いですね。早く言って下さればよかったのに。せっかく痛い思いして産んでから、また痛い思いしなくてもいいんですよ」
と同情してくれました。早く言えばよかった!
痛み止めを処方してもらって、陣痛促進剤の薬の量を減らしてもらいました。
量が減ったけど、やっぱり飲まないといかんのかい!とちょっと泣きそうになりながら飲みました。流石に夜中のやつほど痛くないけど、ぎゅーっとなって軽く冷や汗はかきました。
しかも、授乳しているときにくるから、赤ちゃんを握り潰さないよう苦労しました。痛いと力が入っちゃうんですもん。痛み止め、あんまり効いてないんですけどー!
それもその日の昼過ぎまでで、あとはちょっと痛くてぎゅーっとなる、陣痛の最初くらいのやつになりました。
お陰で二日目にはぴんぴんしてましたね。
家に戻ったらまたバッタバタの日々です。
ああ、入院中って天国~。と、つかの間の平和を満喫しましたよ。
初産の妊婦さん、切迫の可能性がある妊婦さん、決してまねをしないで下さいね。
私はとても楽観的で健康体だっただけです。
妊娠、出産は何が起こるか分かりません。
くれぐれもお腹の赤ちゃんと、ご自分の体をお大事に。