表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勝利への権利  作者: 青空 丸
新たな始まり
4/14

最初の試練

ーー

合図と同時にバーンがサンサに飛びかかってきた。

サンサは驚き、一歩後ろに下がった。

バーンはお構いなしに向かってくる。

松明と月の明かりで夜とは言え明るく相手の動きも鮮明に見えた。

バーンの左ストレートがサンサの頭に飛んできた。

それをかわし、がら空きになっていた腹にパンチをしようとした。

だか、流石、副兵士長というだけある。

サンサのパンチしようとしている右手を弾き、体をひねり回し蹴りをして、サンサを柵の方までぶっ飛ばした。

「ッ!……痛ってぇ……」

サンサは横腹を押さえながら柵に掴まり立ち上がった。

バーンが自慢げにニヤッと笑っている。

カッとなりそうになったのを抑えながら戦闘に戻った。

恐ろしいほどラッシュしてくるバーン。

サンサは防御するのに必死で全く攻撃できない。


 それからしばらく激しい攻防を繰り広げ、互いに体力を消耗していた。

ふとサンサの気が一瞬緩んだ。

そこにバーンが再び飛びかかってくる。

サンサはとっさに姿勢を低くして構えをとった。

バーンの拳が伸びてくる。

サンサの目にバーンのパンチはスローモーションに見えた。

バーンのパンチしようと伸ばしてきた手首を掴み、後ろに投げ飛ばした。

「おうぁッ!?」バーンは何が起こっているのか把握できていない様子だった。

そんなバーンに追い打ちを掛ける。

サンサは振り返り、宙に浮いているバーンをそのまま蹴り飛ばした。

バーンは勢い良く吹き飛び、柵に思いっきりぶち当たった。

あまりの勢いに柵の形が変形していた。

バーンは起き上がることが出来なかった。


 「……勝負あり!勝者サンサ・ウェルネット」

イーエスの声が闘技場いっぱいに響き渡った。

「マジかよ……あいつバーン副兵士長を倒しやがった……」

「サンサとか言うやつ結構強いんじゃないか……」

皆口々にぼそぼそと喋っていた。

「やかましいッ!!静かにしろ」

バーンが倒れたまま怒鳴った。

皆が一斉に静かになった。

バーンがゆっくりと起き上がりサンサを見ている。

「……………約束は約束だ……お前を仲間だと認めよう…………だがまだお前を信用しきったわけじゃない。勘違いするなよ……」

そうとだけ言って、兵士の二人に抱えられながら兵舎の方に消えていった。

仲間と認めてくれたのか……戦っただけなのに。

バーンの思考回路はよくわからなかったが勝負には勝ったらしい。


 サンサも相当疲れたらしく、膝から崩れ落ちた。

試合時間もかなり長くなっていたみたいだ。

身体中いたるところが痛んだ。

歯を食いしばって立ち上がろうとすると

「大丈夫?手、貸そうか?」

女の声が聞こえた。

見上げてみると茶色の髪を後ろでくくっていて、目がぱっちりとしている綺麗な顔立ちの十代後半から二十代前半位と思われる女の子がこっちに手を差しのべていた。

ドキッ……

何だか暑くなってきてサンサは額の汗を腕で拭き取った。

「あ……ありがとう……」

少女の手を握り立ち上がった。

「サンサ……くんだっけ?私はコリア・スポット、コリアって呼んでね。これから宜しくね。」

「よ、よろしく……」

「おーい、コリア、戻るぞー」

兵舎に戻っている兵士の一人が遠くからコリアを呼んでいた。

そいつに怒りを感じたがグッとこらえた。

「うん!すぐ行く!じゃあサンサくんも一緒に行こう」

コリアに付いていきサンサも皆と同じように兵舎に向かった。


 松明は消されていたが月は変わらず輝いていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ