決戦の丘へ、大いなる神々の黄昏(ラグナロク)⑤『金龍の勝利』golden.victory。
((((グオオオオオォォォオオオ)))))
大魔龍の猛り狂う恐ろしい咆哮がラグナロクの丘に響き渡る。
その声は山々に木霊して、まさに世界を覆わんばかりの雄叫び。
悠然と空の真中を飛翔する、その姿に人々は世の終わりとばかりに空を見上げて震えている。
大魔龍の背に乗る暗黒総帥オリハルコンがロンギネスの槍を戦乙女ヴァルキリーに向けた。
『戯れるな!!』
『金箔の雀が、大魔龍に挑むか!!』
これを地上で見詰める飛翔剣アンスウェラが銀弓の少女ウィリーアステルの横で呟く。
『余りにも……体の大きさが違いすぎる。』
『鷲と雀の戦い……』
『金の龍よ……どう出る。』
能天気な少女ウィリーアステルがポンとアンスウェラの肩を叩いた。
『お兄ちゃん!』
『あの金の龍に乗っているのはだぁーれかなぁ♪』
ウィリーの方を向き直りアンスウェラが答えた。
【救世主……戦乙女ヴァルキリー】
ニコリと笑う少女ウィリーアステル。
『彼女は勝利の女神ナリス!!』
『降臨の時よ!!』
全ての人々が見守る中、戦乙女ヴァルキリーの背中に大きな二枚の白き翼が目映い光と共に現れた。
そして彼女の額には輝く女神ナリスの勝利のティアラ。
オリハルコンがその姿に笑いを浮かべて呟いた。
『女神ナリス、この世に顕現したか!!』
女神ナリスとなったキュピレスがオリハルコンに叫ぶ。
『悪の権化よ!!』
『我、ティルヴィングの刃で永遠の星の骸とせん!!』
紅き光を放つティルヴィングの剣を真っ直ぐ構えた女神ナリス。
金の龍が上空、高々と舞い上がった。
オリハルコンがロンギネスの槍を構えて備える。
『来るか!!、女神ナリスよ!!』
【スキル発動!!】
【ドラゴン.ストライク!!】
ティルヴィングの剣を構えた女神ナリスが金の龍諸とも大魔龍、目掛けて急降下した。
キュュュュユユユユーーーーン》》》》
ロンギネスの槍とティルヴィングの剣の一合目が交わる。
《《《《グァキンーーーーーーーーーン》》》》
そのまま再び上空へ舞い上がる金の龍。
凄まじい衝撃にふらつくオリハルコン
笑いを浮かべて呟く。
『ハハハハハ……こうでなくては……面白くない。』
『今度は、こっちから行くぞーーー!!
『大魔龍の真の力を思い知るがよい!!』
さ
加速を徐々につけて金の龍の周りを円周する大魔龍。
【スキル発動!!】
【呪破剣暗黒波動ーーーーー!!】
オリハルコンの右手の中指に嵌められたサーガリングが蒼白い光を放ち大魔龍を包む。
大魔龍の三本の首の喉元に蒼白い光が集められた。
次の瞬間、金の龍の周りを激しく回る大魔龍から女神ナリスのティルヴィング剣に向けて大きな渦を巻く炎焔が放たれた。
グオオオオオォォォオオオ))))))))
火炎に包まれる金の龍と女神ナリス。
金の龍は炎焔の中、メギドの丘へ落ちて行く。
オリハルコンが落ち行く金の龍へ追撃を始めた。
『逃がさんぞ!!』
メギドの丘に降り立つた金の龍は、たちまち聖戦士、長腕のムウへと姿を変えた。
【スキル発動!!】
『魔龍障壁ーーー!!』
全ての魔を防ぐ鉄壁の光防壁がドーム状に女神ナリスを守った。
魔龍障壁に、したたか体を激突させ吹き飛ばされる大魔龍。
その衝撃で山肌に叩きたけられた。
ドドトドーーーーーーン))))))
開放された霧の森の住人、子ウサギや子鹿、そしてウルフハウンドが
失神気味の大魔龍の周りに薪を運び始めた。
大魔龍とオリハルコンの元へ銀仮面女デッグアルヴァーが駆け寄る。
小動物たちにより次々と薪が山と積まれた。
森の妖精リョースアルヴァーが小動物たちに囲まれながら現れた。
リョースアルヴァーは体を回転させながら両手を空に向けた。
デッグアルヴァーが、その仕草にハッとして叫ぶ。
『神の鋼の獄鎖!!』
銀色に輝く鎖の束がデッグアルヴァーと大魔龍を縛り付ける。
ガラガラガラガラ》》》》》》
女神ナリスの方に視線を送るリョースアルヴァーと小動物たち。
女神ナリスは背中の無尽火矢を空に向けて構えた。
銀の鎖に大魔龍と共に縛られたデッグアルヴァーと叫ぶ。
『や、や、やめろーーーー!!』
女神ナリスの矢が放たれた。
ビューーーーーツ》》》》》》
『フェニックス..アローーー!!』
大空で羽ばたく大きな火の鳥。
次々と火の矢が鎖に縛られたデッグアルヴァーの足元に積まれた薪に刺さり炎の柱となった。
燃え上がる炎柱の中で大魔龍とデッグアルヴァーの姿は灰塵と化していった。
ひとり、残された暗黒総帥オリハルコンが、メギドの丘で黒十字を背にロンギネスの槍を構える。
女神ナリスはティルヴィングの剣を手にオリハルコンが待つメギドの丘へと登って行く。
その様子を見守る聖戦士ロング.ムウ、そして傍らにいつからいたのか……修道女パトリシアの姿。
『キュピレスとして、この世に転生した私の妹の最後……誰も手を出してはなりません。』
『己の業を自ら断つ時が来たのです。』
『全てのものは破壊と創造から始まるのです。』
『闇と光、ティルヴィングの剣がサーガ.リングの闇と共になる時が来ました。』
黒十字架の前に立つオリハルコンに女神ナリスがティルヴィングの剣を振った。
『闇よーーー!!』
『ティルヴィングの元に帰せよーーー!!』
黒十字架を背にしたオリハルコンはティルヴィングの刃を交わして女神ナリスの背後へと回った。
体制が入れ替わった隙を狙いオリハルコンのロンギネスの槍が女神ナリスの腹部へと突き刺さり
そのまま黒十字架を貫いた。
グサァァァァアアアアア》》》》》
女神ナリスは自らの体に刺さったロンギネスの槍を握るオリハルコンの手をティルヴィングの剣で切り落とした。
ビューーーーーツ》》》》》》
グサァァァァアアアアア))))
オリハルコンの腕はたちまち黒く焼き焦がれた。
女神ナリスは天を仰ぎ叫ぶ。
『キュピレスが命、ここに潰える!!』
『ティルヴィングの剣よ!!』
『サーガリングと共にあれーーー!!』
ティルヴィングの剣へとキュピレスの命は捧げられた。
サーガリングが共鳴するように震えて輪を広げオリハルコンの頭へと嵌められた。
片腕を失い悶え苦しむオリハルコンは頭に嵌められたサーガリングの冠を外そうとする。
オリハルコンの周りを囲むように集まる聖者と人々、そして森の妖精、小動物たち。
修道女パトリシアと森の妖精リョースアルヴァーがオリハルコンの前に出た。
『我、妹は自らの命をかけて、このエリスシオンに平和と愛をもたらしました。』
『闇の消え去る時が到来しました。』
パトリシアとリョースアルヴァーが互いの手を逆Vの字にして重ねた。
その時、神々しき光が辺りを包んだ。
人々が口々に叫んだ。
『女神エリス様と、アリス様だーーー!!』
オリハルコンの頭に嵌められたサーガリングが次第に縮まって行く。
悶え苦しむ暗黒総帥オリハルコン。
グサァァァァアアアアア))))
やがてオリハルコンの姿はサーガリングへと呑み込まれていった。
メギドの丘に光が差して黒雲も去った。
二人の女神エリスとアリスに抱えられ天へと昇って行く戦乙女ヴァルキリーことキュピレス.ラプリタァーナ。
この時、エリスシオン島は再び平和と愛の満ちる島へと戻った……
天から地上へとティルヴィングの剣が落とされた。
メギドの丘に突き刺さるティルヴィングの剣。
一人の男が剣の束に手を掛けた。
『汝!!』
『我、ティルヴィングと契約を結ぶか!!』
その時、西風がメギドの丘に吹きサーガリングは幼い少女に拾われた。
ティルヴィングの剣を抜き東へと向かう男。
そして両親に連れられ西へと向かう幼い少女。
互いに視線を一度合わせて、去っていった。
大賢者ソー.ジャがパタンと物語りの本を閉じた。
周りを囲む子供たちの一人少女がソー.ジャに訊ねた。
『ねーねー……』
『その男の人は誰だったの?』
大賢者ソー.ジャは笑いながら答えた。
『お前たちの目の前にいるかもしれんなあ……』
ラグナロクの頂上、メギドの丘に立つひとつの石碑
そこに刻まれた刻印がすべてを物語っていた。
【破壊と創造】
ティルヴィング.サーガ。
終わり………………………………………………。




