決戦の丘へ~大いなる神々の黄昏(ラグナロク)②
ラグナロクの丘に、一足早く陣を敷いたヒヒイロ侯爵軍団。
前面には五千の長槍大隊が槍壁の陣形で騎馬の突撃に備えていた。
その後方には火筒(鉄砲)隊、そして疎らに備えられた大火筒(大砲)。
砦の中央、物見櫓で、遠くに視線を送る参謀のソウ.ルーイ。
その隣で落ち着かぬ様子で歩き回るヒヒイロ侯爵。
『まだハルの騎馬軍団は見えぬか……』
『早よう、火薬を運び込まねば構えを整える前に襲われたら壊滅してしまうぞ。』
ソウ.ルーイは、ヒヒイロ侯爵をなだめるように呟いた。
『ヒヒイロ侯爵様、ご安心くださいませ。』
『奴等のラグナロク到着を遅らせる手立ては既に施してございます。』
『奴等が無防備な補給荷馬車隊列を、みすみす見逃すわけがございますまい……』
『火筒の威力の前に騎士の時代は終わりを向かえることでございましょう。』
ヒヒイロ侯爵首を傾げていたか、下り坂を見て呟いた。
『そちの深慮、ワシには及びもつかぬ……』
『騎馬隊は加速した勢いが命、この登坂では突撃も容易できぬのう。』
『加えて、あの者共が見たこともない新兵器……ハハハ、楽しみじゃ。』
ソウ.ルーイが念を押すように呟いた。
『我方の勝利は、まちがいございません。』
へーベル河に浮かぶ黒船から荷馬車で砦へ次々と運び込まれる山と積まれた火薬と砲弾。
ラグナロクの丘へ長い荷馬車の列が進む。
その頃……ヴォルサイア街道をラグナロクの丘を目指すハル王の騎馬軍団二万。
ドドドドド……
カシャカシャ……
ガラガラガラ……
軍団は霧の森を抜けたところでハル王とルナ后の軍に分かれた。
ハル王軍一万ははラグナロクの丘へ、ルナ后軍一万は黒船からの補給線を断つためであった。
『ご武運を!!』
ルナ后がハル王に言葉を掛け一軍。連れへーベル河に進路を変えた。




