激突!ラグナロク
『ルナに指揮権を預ける……』
『俺の変わりに一軍を率いて援軍に
行くのだ。』
バスター城へ傷の療養のため移されハル皇子はベットの上で
軍の統率官に授けられる黄金の指揮棒を手渡した。
心配そうにハル皇子を見詰める少女ルナ。
『ハル皇子様の眼は、あたしが必ず治します。』
ハル皇子はルナの手を握り笑顔を浮かべて答えた。
『決して無理はするな……分が悪いと思ったら直ぐに撤退するのたぞ……』
『撤退は恥ではない……大きな勝利への足場とするのだ。』
ルナは深く頷いた。
『あたしが……ハル皇子様の眼を治した暁には結婚式を挙げてくださいませ。』
ハル皇子は指のリングを外してルナの指に手ずから嵌めた。
『これは俺の変わりにだと思い身に着けてくれ。』
『二人の婚約の証だ…』
ルナの瞳から一筋の涙がこぼれた。
『いって参ります!』
ハル皇子は軽く手を上げてルナを送り出した。
ルナは城内の屈強な兵士たちを再編成し鉄騎馬隊とした。
副官がルナに訊ねた。
『指揮官殿……黒船でエリスシオン城へ行かれたほうが早いのでは…』
ルナは副官を見て訊ねた。
『あなた……あたしが何て呼ばれているか知ってるのかしら?』
副官は暫く考えて答えた。
『あ、速足のルナ殿でしたな!』
ルナは整列させた鉄騎馬隊二千を前に俊足の旗を掲げた。
『我らの敵は、ラグナロクにあり!』
『いざ!進軍ーーー!!』
ラグナロクの丘を目指し怒濤の進軍を開始したルナの鉄騎馬隊。
その頃……ラグナロクの丘。
キュピレスが放った無尽火矢の火の雨を受けたオリハルコン陣営の前衛は混乱していた。
敵の弓隊が無力化した期を逃すまいとキュピレス騎馬隊が突撃する。
砦前に立ち塞がるアストラル体の怪物たち。
キュピレスの前に二人のヴァルハラ戦士が並んだ。
『キュピレス様、ここは我らにお任せください。』
アストラル体のドモフウルワッハがブンブンと戦闘棍棒を振り回す。
ロンゴミアントとペルセシウスの二人が、ドモフを両側から挟み撃ちした。
黄金のハルパー湾曲剣がブーメランのように円を描いてドモフに接近する。
バキンーーーーーン》》》
ドモフは戦闘棍棒でハルパーを難なく跳ね返す。
体制を崩したドモフにロンゴミアントのロンギネスの槍が放たれた。
ビューーーーーーッ》》》
ぐしゃーーーーーつ)))
ドモフの芯を貫いたロンギネスの槍。
青い光が四散してドモフはその場に倒れ消滅した。
ロンギネスの槍は、そのまま真っ直ぐに高台にいるオリハルコンの元へ飛んでいった。
飛び来るロンギネスの槍を片手で軽く受けとるオリハルコンが呟く。
『舞台は揃ったようだ』
『黒十字台にロンギネスの槍。』
『あとは……救世主とかいう紛い物を、磔に晒すだけだ!』
『さぁ!、来るがよい!』
『そして、この万物を見透す眼 サーガリングの前でティルヴィングの剣を抜いてみせよ!』
『その時が、闇が光を、ほふる時となろうぞ!』
飛翔剣ブリュナークが襲い来るゴブリンをなぎ倒す。
アンスウエラが弩弓少女ウイリーアステルに叫ぶ。
『ウイリー!援護を頼む!』
『アンちゃん!、あいよーー!』
後ろに控えていたウイリーは嵐の如く強弩を放った。
巨人オーガの額目掛けて放たれた矢は全てストライク!
もんどりうつて、倒れ込む巨人オーガ。
キュピレスが疾走するルージュスター上から確信の声を挙げた。
『この戦!、我らに勝利の女神は微笑んだーーー!!』
『我、ここに最後の願いを誓わん!』
『全ての悪を一掃し、国民の平安を取り戻させよーー!!』
キュピレスはラグナロクの丘の頂上目掛けて走り出しティルヴィングの剣を抜き放った。
【汝の最後の願い!、我、叶えん!】
』




