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【『魔剣伝説』ティルヴィング.サーガ。】  作者: シマリス
無血開城、エリスシオン王国の凋落。
49/69

ティルヴィングの剣と指環物語(サーガリング)の運命(さだめ)。

『止まれーーー!!』


門番兵士が長槍をクロスさせた。


彼らの制止を振り切り、バスター城門を駆け抜ける青き流星馬(アンドロメダ)


その背には黒いフードコートで全身を包んだ銀仮面の女の姿。


騒ぎに気付き中央塔の最上階に突き出た半円形のベランダに出るバルキシオン宰相。


彼は青い閃光を放ちながら走り去る馬アンドロメダに眼を止めた。


馬上から振り向いた銀仮面の女は一瞬、バルキシオン宰相に視線を送ったが


人馬、諸とも霧の森へと吸い込まれて次第に姿も霞み蹄の音も風の音にかき消されていった。


一人の兵士がバルキシオン宰相の元へ駆け寄ってきた。


『申し上げます!』


『キュピレス殿が、持参したサーミラス王への献上の品


ドモフの首が何者かにより奪われました!』


バルキシオン宰相は、その旨をキュピレスに即刻、伝えるよう伝令を兵士に託した。


一礼し部屋を出て行く兵士。


中庭大噴水の前にある大きな砥石で武器の手入れに余念のないキュピレスの元へ


伝令の兵士が到着し一部始終を彼女に話して聞かせた。


その知らせにキュピレスは、すぐさま、指笛を吹き紅き(ルージュスター)を呼んだ。


紅馬の背に乗り、銀仮面の女の追跡へ走り出そうとするキュピレスに塔の上から制止する声が響いた。


『キュピレスよー!!』


『待つのだー!!』


『今から追ってもアンドロメダには追い付けぬ!』


『お前を城から連れ出す罠かも知れぬ!』


『軽率な行動は命取りとなるぞ!』


鼻息の荒いルージュスターの馬上から門の方に視線をやり、悔しがるキュピレス。


『バルキシオン宰相!』


『これより、そちらへ伺います。』


キュピレスは馬上から降りルージュスターの(たてがみ)を優しく撫で馬屋へ帰した。


彼女は早足で中央塔のバルキシオン宰相が居る部屋へ駆け上がった。


カンカン))


『宰相、、キュピレス入ります!』


ドアの金具をノックし、声を掛け一礼してバルキシオン宰相の前に立った。


『宰相!、わた……』


キュピレスが、そこまで言うとバルキシオン宰相は手を軽く上げてこれを制した。


『お前の言いたいことは分かっておる。』


『急くでない……』


『実は、悪い知らせが私の耳にも届いてる。』


『要衝地ラグナロクに闇の軍団デストロイヤーが顕現した。』


『我らが聖都を奪還するためには、ラグナロクの地は避けて通ることはできぬ。』


『そこで……キュピレスよ。』


『戦乙女ヴァルキリーであるお前に先鋒隊を任せたい。』


『幸いなことに、この城に賢者ソー.ジャが加勢に来ておる。』


その名を聞きキュピレスの表情が、変わった。


『賢者ソー.ジャはラプリタァーナ滅亡の折り、ドモフの刃で殺されたのでは……』


その時、バルキシオン宰相がキュピレスの後ろを指差した。


『お久しゅうございます……姫様。』


その声に振り向いたキュピレスの表情は驚きに満ちていた。


『ソー.ジャ!!』


『お前、生きていたのですね!』


白髪に長い白髭が、無言で、これまでの辛苦の日々を物語っていた。


大賢者ソー.ジャの手を取るキュピレスの頬を一筋の涙がこぼれ落ちた。


『数少ない身内に会えるとは……万軍を得た気持ちです。』


ソー.ジャは強敵、闇の軍団に打ち勝つためには秘策が必須であると二人に伝えた。


『光、射すところ闇は消え、魔は聖に(あが)なえませぬ。』


『霧の森に赤レンガでできた館がございます……選りすぐり戦士と賢者を連れお訪ねなされ。』


『館の傍らに、新たな教会が建てられております。』


『そこで、女神から聖なる光の力を存分に、お受けなされ。』


『そうすることで、気運は我が方に向きます。』


『ただ、一点、気をつけねばならぬこは闇の総帥オリハルコンが持つサーガリング。』


『彼の前ではティルヴィングを鞘から抜いてはなりませぬ……』


『ティルヴィングの剣とサーガリングが共鳴する時、この時物の体制が終結いたします。』


『闇と光、魔と聖の攻めぎあいは無へと帰されるのです……』








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