大覇王の台頭と代償の婚姻。
エリス.シオン王国の橋頭堡、タレントウムは必死の抵抗も虚しく征服王ドモフ.ウルワッハの魔手の中に、凋落した。
この豊かな経済コミニユティーを主邑とした彼は街の中心に在る聖堂を破壊し
更に女神エリスの像をも打ち砕いた。
その残骸で、魔術師イージスに命を下し覇王殿を建造させた。
その労働力は近隣の村や街から奴隷として連れて来た民を鞭打ち、急がせたものだった。
そして彼は自らを、大覇王と豪語し、この世の支配者として君臨すると四方の国々に宣言した。
『大勅書』の発布である。
七人の伝令官が赤地に『猛る獅子の紋章』の服を来て使者して覇王殿を出発した。
続いて、臣従、及び、それにともなう婚姻の儀式へと移った。
覇王殿の中央にある玉座に座るドモフ.ウルワッハは金銀宝石が散りばめられた婚礼の服で身を装っていた。
覇王ドモフの玉座から一段おりた右隣りには嫉妬の念にかられた女魔術師イージスの姿があった。
『まさか……あんな小娘に后の座を取られるとは思いもよらなかった。』
心で呟き、歯軋りし、顔をしかめていた。
覇王の臣下団が見守る中、宮殿の大扉が開かれ純白無垢の花嫁衣装に身を包んだ
童顔の少女アル.テミウス、侍女に付き添われバージンロードを歩いて行く。
三人のラッパ手が高らかに、ファンファーレを響かせた。
アル.テミウスは覇王ドモフ.ウルワッハの前に立ち、まず臣従の誓いの証である両手を彼の前に差し出した。
覇王が彼女の手に触ろうとした瞬間、手を竦めて呟いた。
『ドモフ様、お約束をたがえられませぬように……』
覇王は、ゆっくりとした口調で返答した。
『分かっておる』
『そなたの我への臣従と妻となることを承諾した契約の条件は、必ず守る。』
『ヒーラーを見つけ出し、アン.スウェラをヴァルハラより召喚する手筈は整えておる。』
アル.テミウスは頷き両手を覇王に預けた。
臣下となった彼女は立ちあがった覇王の横に並び彼のキスを受け入れた。
覇王ドモフ.ウルワッハは、ここにアル.テミウスという后を迎えた。
宮殿内に、拍手と歓喜の声が響く。
その中にあって二人の女性だけが、沈んでいた。
それは嫉妬の炎に燃える女魔術師イージスと新たな后となったアル.テミウス。
それぞれの思いを胸に動乱の時を刻んで行くこととなろうとは、未だ知るよしもなかった。




