【城塞タレントウム攻防戦】②戦乙女ヴァルキリー、再び戦火の中へ
聖パトリシア修道院。
祈りの間。
ステンドグラスで綺羅びやかに、装飾されたグランドホール。
厳そかなパイプオルガンの音色が静けさを破り響き渡たる。
『何をしているのです……』
『我、妹、ナリス(キュピレス)よ……』
『立ちなさい!』
キュピレスは、女神エリスの声に立ち上がった。
『姉上!』
『わたくしは、勝利したとはいえ、今だ仇敵ドモフウルワッハの首を持ち帰ってはおりません!』
『魔導師団は去り、運命の石も彼らのもとへ、そしてパラキオンの剣も敵、魔術師に奪われました…しかし』
『わたくしは、決して後へは引きません!』
『これより、敵将ドモフの首を取りに行きます!』
『無垢の民を苦しめる悪鬼は、この戦乙女ヴァルキリーが決して許しはいたしません!』
その言葉に女神エリスが答えた。
『それでこそ、我、妹ナリスよ!』
『人は死んでも記憶の中に生きる…しかし名誉を失えば何も残らないです。』
『さぁ、受けとるがよい!』
『そなたに、授ける三っつの力!』
『出でよ!』
『光と炎を帯びし、不敗の剣!』
【クラウ.ソラス】
『出でよ!』
『愛、欲望、意思の矛、行動の矛、智恵の矛より成る三股の矛!』
【シヴァー】
『出でよ!』
『聖法力に溢れし槍!』
【ロンギネスの槍】
『さぁ!、戦乙女ヴァルキリーよ!』
『-勇気と、仲間の絆、そして無敗の勝利をめざし行くのです!』
『いざ!タレントウムへ!』
戦乙女ヴァルキリーことキュピレスと、ヴァルハラより召喚されし二人の勇者はへーベル河北の戦場へと向かった。
国母メグメルとルシュフェンドルフの鉄騎馬隊は、エリスシオン城の守りを固めるため民を率いて帰城した。
その帰路の途中、北の空を目指し飛ぶ三羽の大きな鴉の群れ。
馬車の窓越しにミグメルがこれに目を止めた。
『なんと大きな鴉であろう。』
国母の声に従者のモーナが、北の空を眺めた。
『国母様……あれは鴉ではございません。』
『嘆きの妖精、バンシーでございます。』
『たしか、先王ソー様が戦死された時も嘆きの妖精、バンシーが飛んでおりました。』
『古来より気高き勇者が命を落とす前兆であるとの事でございます。』




