歴史は紡がれる
好きなものを詰め込んで始めてしまいました。
宜しくお願いします。
世界はどこかで分岐し、新たな歴史を築き始めた。
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この日本では、全ての子供が十歳になった時点で、ある検査を受ける事が義務化されている。
国立のある施設に集められて、特別な鏡を覗き込むのだ。
殆んどの子供はそこでただ自分の姿を見るだけだ。
しかし、0.001%程度の確率で、その鏡の向こうに全く異なる世界を見る子供が存在する。
その子供たちは退魔師候補生として、十六歳になる年に、国内に数校存在する、国立退魔師養成学校に入学する事になる。
鏡の向こう側の世界が認識されたのは、第一次世界大戦中の事だった。
ある一人の男性が、破壊された民家のがれきの中から発見された鏡の向こうに、新たな世界を見たのだ。
始めは、発見した人物が戦争によって精神に異常をきたしたのだと思われていた。
しかしその後、数人が同じ証言をしたことによって、鏡の向こう側の世界が確かに認識されたのだった。
鏡の向こう側から魔族『アベーラ』が出てきたのはそれから数年後の事だった。
成す術も無く襲われていた人々だったが、ある時、アベーラに対抗し得る武器を持った人々が立ち上がった。
彼らの登場で、人類はアベーラと対等の力を手に入れたのだ。
その人々の血筋は、敬意を込めて『始まりの七家』と呼ばれている。
しかし近年、更に高位のアベーラの存在が確認されたのだ。
より人間に近い姿をした高位種の存在は、再び人類を恐怖に陥れた。
それから、アベーラの中でもランク付けがされるようになった。
生き物の形を成していないものがレベル1
三足以上で行動し、低いながらも知性が認められるものがレベル2
二足歩行をし、高い知性が認められるものがレベル3
ここまでが現在確認されているが、更に高レベルの存在がいることは間違いないと考えられている。
そして、より人間に近い見た目の方が強力な力をもっており、どのアベーラも瞳が赤い事が特徴とされている。
アベーラの行動目的は不明。
出現ポイントは、現在国で管理している鏡の他にも複数存在しているようだが、詳細は不明。
不明点ばかりのアベーラだが、その存在について多くを知っているであろう人物がいる。
それが、柴崎 創だ。
なにしろ彼の母親はアベーラの最高位種、いわゆる吸血鬼の王の一人娘なのだから。
その事実を知るのは、人間側では創自身と、その両親のみであるが。
そんな彼は、諸々の事情で退魔師養成学校『国立鷲宮高等学校』に入学することになるのだが、物語はその少し前から始まる。