教育ローンは借りれますか?
ぷにぷに
「やめ・・・」
頬を誰かがつついてくる。
ぷにぷに
再び誰かがつついてくる・・・
じじぃは、こんな事しねぇし
「って誰ぇ?」
思わず大声あげ跳ね起きる。
目の前で大声に驚いたのであろう、薄水色の透き通るような髪を右横で束ね、髪と同じ色の瞳の幼女、もとい少女がその両目を見開き固まっている。
そして今度は俺が固まる。なぜなら少女は全裸なんですもの。
暫しの間二人の間に沈黙が流れる。
「あの」
沈黙に耐え兼ね、先に切り出したのは俺だった。
「服は?」
少女は小首を傾げて見せる。
「とりあえずこれ着ような。」
俺は着ていたパーカーを渡すが、着ようとしてくれない。目のやり場に困るので、少女の肩に掛けてやる。
髪の色からして外国人なのだろうか、それなら言葉が通じてないのかもしれない。
「言葉は解る?」
自分の口許を指差し聞いて見る
今度は頷いてくれた、どうやら言葉は解るようだ。
再び問う。
「お父さんとか、お母さんは?」
少女は俺に向けて指差す。
あぁ後ろにいるのねと、振り返る。
がそこにはヤシの木っぽいのが一本生えているだけだ。
いないよと少女に向き直ると、大きく首を振っている。そして再びさっきより強くそして大きく俺の事を指差す。
「もしかして、おれがパパ?」
まさかとは思いながらも、恐る恐る口に出してみる。
少女は迷いもなく力一杯頷いてくれた。
いくつか、質問を繰り返し、解った事は
一つ、少女は喋れないということ。
二つ、ここは砂浜で俺がいたはずの実家近くの私道ではないこと。
三つ、俺がパパになったということ。
「まったく なにがどうなってるんだか」
何時までもここにいても埒が明かないし、人を探そうとそう大きくない砂浜を出る。
さして歩かないうちに民家が見えてきた。網元なのか、大きな網を繕っている人影も見える、ちょこちょことTシャツの裾をつかんでついてくるこの子の事も解るかもしれないしな。
「あそこでちょっと話を聞いてみよう?」
と、少女に声をかける。
気分でも悪いのか青い顔をしている。あわよくば休ませてもらえるかもと人影に近付いていく、近付くにつれどんどん少女の足取りが重くなっていく。
「大丈夫だからな。」
少女を励ましながら歩を進め、人影に声をかける。
「すいません、尋ねたい事があるんですが?」
なんだ?と振り返る姿と発せられた言葉に驚愕する。
「旨そうな臭いがする思えば小物だが獲物が寄って来た。」
と、物騒な声の主は細い体に曲がった背中、丸い頭に三角の耳のついた猫のような姿をしていた。