表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

時給は750円です

「もう無理ぽ。」

週末はいつもこの一言で終わる。こんな生活抜け出したいそう思い始めてから、何年経っただろう。

「じじぃ、いつか一発入れてやるからなぁ!」

滴るくらい、ぐずぐずに汗を吸い何処の超戦士かよってくらいの重さになった道着を肌にまとわりつかせたまま、道場に大の字に転がりながら叫ぶ。

「まだ、吠える元気があるみたいだの?もう一本いっとくか?」

如何にもな長く白い顎髭を湛えツルンと禿げ上がった、件のじじぃがほぉっほぉっと笑いながら宣う。

同じ時間同じ様に組手をしているはずなのに、息すらきれていない。

「この、化け物め・・・・」

岩動骨法宗家 岩動 宗庵、この妖怪めを必ずほふってやる。


チチと、雀だかなんだかの囀りで眼を覚ます。県立楠陵高校一年、岩動 宗太郎の朝は早い、日課のジョギングを兼ねた新聞配達の為だ。岩動家では世に言う小遣いというシャレたシステムが存在しないため、自力で稼ぐしかない。

宗太郎に、欲しい物が有るわけではなく、いや、有るには有るのだが朝夕は勿論、週末は終日に及ぶ鍛練から逃れる為、家を出る金が必要なのだ。

「朝練遅れるとじじぃの厳しさ三割増しになるからなぁ。」

「さっさと金貯めてとっととこんな家出てくんだ。」

自分の担当エリア分も終わり家路を走るが

どこか空気が違う気がする。この後待っているじじぃとの鍛練に気が滅入っているのか?

いや、鍛練は何時もの事だし鬱になるような事は、ここ数年ない。

ぞぶり と背中に視線が刺さる。

殺気?じじぃか?違うあの妖怪のはもっと鋭利で剃刀みたいだ、こいつのは鈍く重い鉈みたいな感じがする。

「誰だっ。」

視線に振り返る。

グニャリ 視界が歪みふらふらと膝をつく。

「だれ・・・もいない・・・・・。」

薄れていく意識とは裏腹にじじぃ声が聞こえた気がした。

「行ってこい、まあ死なんじゃろ、土産は気にせんで良いぞ。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ