表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラストメモリーズ  作者: はらずし
第四章 冬
21/24

第十八話 ネタバレと経過報告

お久しぶりです!はらずしです!


や〜帰ってまいりましたよわたくし!


長かったような短かったような……


まあそんな私の感想は置いといて、久しぶりのラストメモリーズです。


短いですが、どうぞ!


学年末テストも終え、春休みへと入った三月下旬。暇を持て余す学生たちは平日の昼間の街を闊歩する。

その一人でもある海斗はカラン、とベルを鳴らしながら店内へと入っていく。ファミレスで待ち合わせをしているのだ。

「お一人様ですか?」

「待ち合わせなんだけど……あ、いたいた」

「では、ごゆっくりどうぞ」

店員はすす、と下がっていきキッチンへと戻っていく。海斗は座っていた待ち人へと足を向ける。

「よっ、海斗」

「早いな、勝」

「いや、さっき来たばっかだぞ、俺」

「なんだ、そうなのか」

勝と向かい合わせに座る海斗。待ち合わせの相手は言わずもがな勝だ。

「わざわざすまないな、せっかくの休みの日に」

「それを本心から言ってくれてさえいりゃあ何も言うことねえんだけどな」

ニッ、と笑う勝に海斗は苦笑する。いつも通りとやりとりだ。

あの一件から三ヶ月、彼らの仲に変わりは無かった。

嵌められたとはいえ、大事なものを取り戻させてくれた海斗に勝は怒ることはなかった。だがその代償として、土手っ腹に渾身の一発を浴びせられ、ご飯一回おごらせられた。

これで怒っていないというのだから、怒った時どうなるか分かったものじゃないな、と海斗は思った。

そんな相変わらずの彼らがファミレスにいる理由とは、

「は?今日俺らだけじゃねえの?」

「うん。もう一人いるんだけどーー」

「よう、お二人さん。元気してるか?」

説明に入ろうとした海斗を遮ったのは、一人の男性。海斗と勝の座るテーブル席の前でニヤリと笑みを浮かべるその人は

「しゅ、俊さん!?」

「久しぶりだな、勝くん」

「俊兄、いきなり話しかけてこないでよ」

「まあまあいいじゃねえか。ほれ、海斗詰めろ」

「はいはい……」

海斗は渋々席を詰め、俊は座った。

「で、俊さんはなんでここにいるんすか?」

「あら?海斗から聞いてねえの?」

「今話そうとしてたのを俊兄に邪魔されたんだ」

「あー、すまんすまん。じゃ、俺から話すわ」

言って、俊はとびきり真面目そうに顔を固め、手を前にして指を組む。

「海斗、勝くん。これは重要かつ極秘に進めたい案件だ。お前たちの協力無しには成功できない。もちろん、極秘だから他言無用だ」

ごくり、と喉をならす勝。

先ほどまで明るかった店内が、まるでこの席だけ暗くなったかのように空気が重くなる。俊の真剣な眼差しはそれだけで空気を変える。よほどのことなのか。

「そ、それは……?」

尋ねる勝に、俊はすっ、と顔を上げ、さらに真剣みを帯びた表情で告げた。

「ここらで美味い店とか、女が好みそうな店を教えて欲しい」

「………は?」

「うん、言いたいことは分かるよ勝」

勝はポカーンと口を開けて唖然とする。そんな勝に海斗はうんうんと頷いている。

「どういう、ことですか?」

「いや、俊兄の彼女がこっち来るんだけど、昨日ケンカしちゃったらしくて不機嫌なんだって。それで機嫌直すためにためにどうしたらいいかってこと」

やれやれ、と海斗は肩をすくめて首を振っているが、俊はさっきから全く表情を変えていない。

「俺にとっては死活問題なんだ……。マジで殺される……!」

「アンタ何やんったんだよ……」

年上なのに思わず敬語も忘れてツッコンでしまう。

本当に何をしたのだろうか。よほど怒らせてしまうことをしてしまったのか、それともその彼女がそういう性格なのか。どちらかは分からないが、俊にとって問題なのはそこでなく、どう機嫌を直すかだ。

「はぁ、まあ別にいいっすけど、なんでまた俺らに?それこそ凛堂や並谷に聞けば良いじゃないっすか」

「……彼女怒らせた原因、女とのことだから、頼みづらいんだよ」

「あー、なるほど」

俊がそっぽを向きながら言ったことにそれ以上踏み込む気は勝にはなかった。というより踏み込んだらまずい気がしたのだ。

「それに、海斗はそもそも、勝くんには頼みやすいしな」

「へ?なんで?」

「三ヶ月前、勝くんの背中押してやったのは誰だと思ってるんだ?」

「三ヶ月前?……なんのことっすか?」

三ヶ月前といえば有紗のこと以外思いつかない勝だが、俊と会った記憶はない。他のことだろうかと記憶を洗っていると、俊がふところからサングラスをかけて、帽子をかぶった。

頭にはてなを浮かべながらそれをジッと見ていると、なんだか覚えのある顔がーー

「ああ!!あん時の店員!?」

「ご名答。いやぁ、あの時はごちそうさん」

ニヤニヤと笑みを浮かべる俊からすぐに視線を海斗へと滑らせる。海斗はそっぽを向いて口笛を吹く真似をしていた。

(こ、この野郎……!!)

ギリ、とテーブルの下で両の拳を握る。

あの一件で勝を嵌めたのはなにも海斗だけでは無かったのだ。協力者がいて、その一人が俊だった。

「だから、今回は貸しってことで、無償で付き合ってもらうぜ?勝くん?」

「……は、はい」

頬をひくつかせながらなんとか返事をする勝。

俊の表情は勝を挑発する分に十分なものがあった。なぜならその表情は、海斗がニヤニヤする時の顔とほとんど同じだったからだ。

(従兄弟でこんなに似るもんなのかよ……)

短くため息をつきながら、海斗と俊と勝の三人で始まる一日。どんな日になるのやらと勝は思案した。




同時刻、別の店で二人の学生が会話に花を咲かせていた。もちろん内容は恋話。さすれば女性というわけだ。

「で、ずっと聞きそびれてたんだけど、有紗ちゃん山本くんって付き合ってるの?」

ずい、と体を乗り出し目を輝かせながら尋ねるのは結。たじたじになりながら結を抑えているのは有紗だ。

この二人の仲も依然変わらず、海斗と勝のような乱暴なやりとりもなく、逆に有紗は感謝の意を述べて頭を下げた。

結は何もしていないと頭を上げるよう言ったのだが、数分の問答を終えてようやく顔を上げたほど、有紗の結へ対する感謝は深かった。

だから答えたづらいこの結の質問も、結には話さなければならないと心中でため息をつく。

「ううん。付き合ってないわよ」

「ええ!?なんで!?」

「私は告白したんだけど、勝くんが……」

あの日、彼らが己の心情を吐露したあの場所で有紗は告白したのだ。

「勝くんが好きです。付き合ってください」と。

慢心ではないが、流れ的に受け入れてくれると思っていた有紗に勝はこう言った。

「すまん……その話は、もう少し後にしてくれねえか?」

別に断ったわけではない。ただ先延ばしにされた。けれど、有紗はそれでも良かった。特に結論を急いでいるわけでもない彼女には、待っていることでさえ喜びであったから。

だから彼らは付き合っていない。しかし、ハタから見ればそうでもなく。

「そうなんだ〜。私てっきり付き合ってるのかと思ってた。最近仲いいし、ほとんどずっと一緒にいるし」

結の何気ないこの言葉は有紗の胸に突き刺さる。それが恥ずかしい気持ちの表れだと有紗は自覚していた。

確かに、あの日以来勝と有紗は学校でもかなりの頻度で話しているし、昼食だって週三回くらい一緒に食べている。クラスからは「二組目の公認カップルだな」とささやかれるほど。

けれど、有紗的には付き合っているから一緒にいるのではなく、単に甘えているだけだ。

今までの鬱憤やストレスを晴らすように、勝に甘えてじゃれついているだけなのだ。それを勝が拒絶しないからーーというよりあからさまに有紗が甘えてくるよう誘ってるーーそう見えるだけだったりする。

「でも、まだちゃんと返事してもらってないなら、早く返事欲しいよね」

「まあね。私、自分のこと恋愛には向かないって思ってたけど、違ったらしいわ」

「有紗ちゃんの場合、落ちたら速攻だと思うけどね」

「図星すぎて反論に困るわよ、結」

あはは、と二人して和やかに笑い、彼女らの女子トークはさらに進んでいった。





今回は勘を思い出すということで量はいつもよりすごく少ないです。申し訳ありません。


ただし、次回からは少しづつ前みたいな分量に戻していきたいなと思っています!


さて、次回の更新ですがいつか決めてません。


とりあえず四月内には更新させていただきます。


それでは!

See you!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ