第一話 再会
一日ぶりです。はらずしです!
この話、面白いでしょうか……。少し不安です。ま、まあ大丈夫かな。
では第一話、どうぞ!
「うん、こんな感じかな」
「ちょっと大っきいな」
「そうやってしたんだから当たり前だろ?」
「そうだな。似合ってるぞ、海斗」
「ありがと。父さん」
入学式当日、海斗は家で制服を着ていた。
父はその姿を見て、うんうんと誇らしげに頷いていた。息子がまた一歩成長した証を見れたのが嬉しかったのだろう。
「海斗、これ持ってけ」
そういって父が渡したのは腕時計だった。しかもかなり高価そうなものだった。
「え?何コレ」
「俺のお下がりで悪いがな。父さんがまだ若い頃に必死こいて貯めた金で買った思い出の時計だ」
「父さん……」
「な〜に、気にするな。俺はもう使わないしな。俺にはお前に買ってもらった腕時計がある」
父は笑いながら今付けている腕時計を見せた。それは海斗が二年分のお年玉と母にせがんで金を貸してもらって買ったものだった。そんなことをしたとは父には言っておらず、その時計は母が買ったということで母が渡したはずだ。
そう不思議に思っていると父が苦笑ながら教えてくれた。
「母さんから聞いたんだ。ついこの前な」
「なんだ、恥ずかしいじゃんかよ」
「照れるな照れるな。逆に恥ずかしいのは俺の方だ。今まで知らなかったからな」
「そのまま知らなければ良かったのに」
「そうつれないこと言うなよ」
二人して冗談を言い合い笑っていると母から声がかかった。
「海斗ー?行くわよ〜」
「はーい。じゃあ父さん、行ってくる」
「おう、気をつけろよ」
そういって父は俺の背中をトン、と押した。そのまま玄関へ向かおうとして海斗はふと立ち止まり父に振り返る。
「どうした?忘れ物か?」
「父さん。俺さ、成人したら父さんと二人で酒が飲みたい」
「……そうか。それまでは俺も生きてないとな」
「うん。男と男の約束って感じでいいね、これ」
「ああ、正にその通りだ。お前が成人したら俺の行きつけを教えてやる」
「ありがと。じゃあ、行ってくる」
そう言って海斗は玄関へ向かった。そして母と並んで玄関を出て学校へ向かう。
「俺に似たのかな、あいつは。立派になったもんだ…」
涙目でそう呟いた声は海斗には届かない。
入学式を終えて、振り分けられたクラスへ向かった海斗は自分の席に着いた。ふと周りを見ると皆1人で静かにするか、他クラスの人と喋っていた。それはたぶん、知らない人ではなく中学からの知り合いなのだろう。まだ知らない人と喋る勇気はないのだ。
当の海斗もそのうちの1人。都会から引っ越してきた海斗に知り合いがいるはずもなく、話しかける勇気は今はまだないため静かに本を読んでいた。
すると教室に担任が入ってきた。男の先生だ。先生を見て皆席に着いた。
先生は連絡事項を読み上げ、教材を配布してから時間が余ったので自己紹介をすると言い出した。
何人か自己紹介した後、海斗の出番が回ってきた。
「えっと、僕は棚瀬海斗です。引っ越してきたばかりでまだこの土地勘もないから教えてくれると嬉しいです。好きなものは空です。一年間よろしく」
そう言って座るとパチパチとまばらに拍手が起きる。そしてまた次の人の番、さらに次の人といって最後の人の番となった。
海斗は慣れないこの環境に少し疲れていたため、意識が朦朧としていた。だから最後の人の自己紹介を聞き逃した。聞けたのはたった二つだけ。
凛堂結と言う名と最近引っ越してきた、ということだけだ。
自分の他にも引っ越してきたばかりの人がいるんだなと思った。
最後までいって先生が終わろうとすると、やはりというべきかお調子者のような性格のクラスメイトが「先生はー?」と言った。それは海斗の二つ後ろの席の男子だった。
そこからクラスメイト達は笑だしながら「彼女いるんですか?」「好きな食べ物は?」「好みのタイプってどんな人ですか?」と様々に質問をした。
案外、ノリがイイクラスらしい。そこにはちょっとホッとした。
そして先生もノリがイイらしく全ての質問に面白おかしく答えてくれた。体育の先生とも説明してくれた。恋愛面には縁がないらしい。ついでに言えばまだ25という若さだった。
そうして終えた自己紹介の時間も終わり帰っていいことになり、海斗は教室から出ようとした。
「あ、あの棚瀬くん」
「ん?なに?」
呼び止められ振り向くと、そこにはこの前に会ったあの少女がいた。
背中まで伸びた黒髪、憂いを帯びたような優しい顔、そして優しげな色を持つ瞳。
「君は確か……」
「はい、この前会ったものです」
彼女、凛堂 結はニコッと笑った。
あの春の日からの再会。
はい、今回はここまでです。
再会を果たした二人、この後なにが起こるのか…!乞うご期待ください!
ではまた今度!一週間以内には必ず!
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