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第4話

ちょっと遅れてしまいました(ーー;)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




理解出来ない。それも当然だろう、なぜなら俺にとても優しくしてくれた(オーク)が目の前で知らない奴に襲われたんだ。 親友(オーク)は既に肉塊へと変わっている。


「なんでそんなことしたんだ」


「¥×>^〒×÷>°☆・〜/$°?」


…………オークとは違う言語なのか。俺はオークの時に使った魔法を応用して通訳出来るようにする。


「…なんでそんなことしたんだ」


「あ、通じましたか? そうですね、この化け物はオークと言われていてとても危険なのです。処理しておくのは当然でしょう?」


そう言ってオークだった頭を蹴飛ばす。優しかったその顔はその表情を未だ保っている。奴の言い方はまるでオークが知能のない動物のようだったみたいじゃないか。


「そいつは俺を殺そうとしていなかった。魔族だからといって全てが人を殺すわけじゃないじゃないか!」


オークはあんなに俺にたくさん教えてくれたのに! 無防備だった俺を殺さずに俺が気付くまで待っててくれたのに!


「 『まだ』殺していなかっただけで『これからも』殺さないとか限らないですよ? そもそも魔族は悪ですから。人を捉えた瞬間に襲いかかるのが魔族です。異界人様といえどそこはわきまえていただかないと、…………すぐに殺られますよ?」


…………ぞくっ。

完全に俺に殺気を放っていた。そうだ、ここは異世界。治安のよかった日本に居たから当たり前だったがいつ俺が死ぬかわからない…………のか。 だがそれだけでオークを殺すのは納得いかない。


「それでは、異界人様。私はそちらに見えるアロガン城の兵士長を務めさせていただいています。城までご一緒いただいてもよろしいですか?」


そういって兵士長は俺の腕をつかむ。日頃鍛えているのだろう。有無を言わせない強い力だ。


「ああ、わかった。…………が、そのオークの死体はどうするんだ?」


どうせならきちんと埋葬してやりたい。それが今の俺に出来る最大限のことだ。


「え? あぁ、あんなの異界人様が気にする必要なんてありませんよ。さぁさ、行きますよ。」


そう言われて腕を引かれる。逆らえずに城へ向かってしまう。どんどんオークから遠ざかっていく。



……………………オーク、ごめん。





城へと向かう間、兵士長から自分の城の自慢や自分の戦歴などを話していた気がするが、まったく記憶にない。

オークのことしか考えられなかった。




遠くから見るとあまり実感しなかったが、城門まで来るとその大きさがよくわかる。

城と城下町を囲む城壁は5mはゆうに超えそうなデカさだった。


「どうです?この周囲に村がないのは、全てこの城壁内にいるからなのですよ。」


えへん、とでも言うような仕草をする兵士長。確かに言われてみればそうなのだろう。辺りの村を全て吸収してできたのがこのアロガン城なのだろうか。


「おい、例の異界人様だ。門を開けろ。 あと、王様に通達しておけ。」


「はっ。」


門の端に立っていた兵が素早く門を開ける。隣にいたもう一人が城へと急いで走っていった。


「それではどうぞ、こちらです。」


「…………………」


言われるがまま門をくぐる。

すると…………



町があった。

俺の元いた世界とあまり変わりのないような風景。 しかし道路はアスファルトではなく石畳みであり、所々は舗装がされていなかった。

家々は全てが石造りだったが、何故か皆一階立て。 それより大きい建物は奥に見える城以外ない。


「ここは全部一階立てなのか……?」


「そうですよ?そもそも二階とか必要ですか? 国民は国のために働き、その利益を国に収めなければいけないのでそんな豪華なものは作れませんよ。」


そういって歩きだす。向かうはもちろん、城。


その途中で小さな八百屋のような店を見つけた。


「りんご………?が2金貨? こっちでは単位が金貨なのか?」


「あぁ、異界人様はそういうのはまだご存知ないですよね。こちらではお金に金貨という共通の物が使われております。 1金貨、10金貨、100金貨、1000金貨、1万金貨という5種類があります。あのりんごは1金貨 2枚分ということです。」


…………もともと日本だとりんごは大体1つ100円もしない位だったような気がしたから 1金貨は50円ということか。でも………


「偽金貨とかが作られたりしないのか?」


「大丈夫ですよ。金貨には全て創神様の祈りが込められていてそれでないと売買には使用できません。それに祈りが込められている金貨は錆びたり欠けたりしないのです。」


じゃあ、今現在存在する全ての金貨に創神の祈りが……………………?

……………………神っていうのも大変だな。


「どうしましたか? 着きましたよ。ここが、アロガン城です。」


それは、ゲームでよく見るような城だった。





「やっぱ豪華だな…………」


中に入るとまず広い通路があり、壁には偉そうな人の肖像画が何枚も飾られている。今までの王だろうか?けっこう似ているもんだな…………………。


「そうでしょう?ここまでの規模の城なんてそうそうないのですよ。」


兵士長が嬉しそうだ。やはりじゃ自分の城が褒められると嬉しいのか。


「では、ここの階段を登って突き当たりの扉を開けた広間が王の間です。あまり粗相のないよう、お願いします。」


「あぁ、なんとかする。」


…………王なんて会ったことないからドキドキするな。なにか貰えたりするのだろうか。

なんて思いながら二階へ向かう。

そして、王の間へ。




そこには40人程の人がズラリとならんでこちらを見ていた。

手前30人程は兵士長と似たような、ちょっと脆いような格好をしている。位が下の兵士かな。 奥の6人は学者のような姿をしている。大臣とか文官的な人達かな?

そして中央の玉座に王が座っていた。さっき見た肖像画に似ているがそれに豚を混ぜたような感じだな。なんて考えたら笑そうになった。


俺は王から少し離れた正面まで歩き、笑いをこらえながら礼をした。


「っ……はじめまして。」


「うむ、お初にお目にかかろう。我がアロガン城の主、 アロガン26世じゃ。

兵士長よ。ご苦労であった。あとで褒美を遣わそう。」


「ありがとうございます、陛下。」


兵士長がめっちゃ嬉しそうにしているのはわかるが、なぜ王がそこまでにやけているんだ。 気になる。


「それでは異界人殿。お主は何故ここにいるかわかるか?どうしてこの世界に来ることとなったかわかるか?」


「いえ、わかりません。」


そういえばなぜこんな異世界に来ることとなったのだろう。そんなのに理由があったのか。てか王、上から目線すぎない?


「ならば説明しよう!」


立ち上がりバサァと赤いマントを翻す演出。 おお、かっこいい!

あ、座った。やる必要あったのかこれ。


「こちらの世界では三神様と呼ばれる御三方がいる。それは知っているか?」


「あ、はい。三神と創神についてならしっています。」


オークから教えてもらったからな。兵士長を睨みつけてみるがこっち見てないし。あとで貰う褒美でも考えてるのかね。


「それならば話が早い。三神様と呼ばれる御三方が世界を造り、治めている。しかし神々にも寿命があり、数万年ごとに神々も代替わりしながらこれまでを過ごしてきた。三神様の内御一方が亡くなられると残られた二方が次の神となる者を探す。そして創造神様がその者に神の資格を与える。その者は『目覚めし者』と呼ばれる。神が死んだあとにその力を受け継ぐからだ。だから『目覚めし者』は神々が亡くなった後でしか見つけることはできない。そして『目覚めし者』を見つける力ことができるのはいままでは神々だけだった……………………。

だが! つい数ヶ月前、三神様御三方が皆、亡くなられてしまった!新しき神々を見つける方がいなくなり、我々が悲しみにくれた時、創造神様は仰せられた!!」


既に王が主役の劇を見ているようだ。行動の全てがわざとらしい。顔を手で覆ったり両手を天へと伸ばしたりと本人からしたら本気なのだろうが、見てるこっちは笑いたくなる。


「『近い将来、異界より別なる存在が現る。その者は神を見つけ、この世に再び平穏をもたらすだろう』と!!!!」


それが異界人、俺のことなのか。 つまり俺は意思にかかわらず三神になることができる『目覚めし者』を探さなければいけないと。


「そして今、我の眼前に異界人殿が居る!そなたがこの城を拠点とし『目覚めし者』を見つけ、この地を平和にした時、この城は、我は他の国よりも上の存在となり、全ての頂点となるのだ!!!!!」


あ、本性見えたり。

結局は自分のために働けということか。

王がすごい喜んでいた理由がわかった気がする。


「………まぁ、こちらに来てまだ日の浅いそなたにはすぐには難しいであろう。 おい、兵士長。エスプリを呼んで来い。」


「はっ」


兵士長はすぐに王の間を出て、エスプリという人を呼びに行ったようだ。

………まぁ、俺一人でやれっていうのも無理があるからな。付き添いが付くのも当然だろう。


「陛下、エスプリ様をお連れしました。」


兵士長が連れてきたのは




…………腰ほどまである銀の長髪。

170cmだろうか、身長と同じ位の杖

瞳も銀色に近い。


美しい女性だった。


「はじめまして、グラス・エスプリと申します。」


「……………………」


いわゆる、お姉さん的存在だろうか。お節介を焼くのが好きそうな、そんな感じだ。

エスプリは俺の隣まで来て微笑み、王に目を向けた。俺もつられて王の方を向く。


「どうした、異界人殿よ。見惚れているのか?エスプリはかなりの美貌を持っておるからな、それもしょうがないかの、はっはっはっはっ」


「あ、いや………まぁ、はい」


「ふふっ。そんな硬くならなくっても。よろしくお願いしますね。」


「は、はいっ。よろしくお願いします。」


俺はエスプリと握手する。こっちでも握手は友好の証なんだな。てかこんな美人と出会えるとは………… 異世界来てよかったな。


「さぁ、異界人殿よ! 我らのため、我が城のため、『目覚めし者』をよろしく頼むぞ!!! 」


『我ら』より『我が城』の方が声がデカかったぞ。まぁ、


「遠慮します。」


ピシッ



……………………文字通り空気が凍った。





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