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フカヒレ味のプ○ッツ

作者: 神叶和人

香港土産でフカヒレ味のプ○ッツを貰った。


「フカヒレ味のプ○ッツ?」と、思わず鼻で笑ってしまった。


観光地価格を考慮しても、プ○ッツなんてせいぜい数百円。


数百円で高級食材のフカヒレ味を再現できるわけがない!


そんなんできるんなら、みんな買ってるっちゅ~ねん!


お菓子メーカーは中華料理店にケンカ売ってんのか!


などなど、一瞬でこんな感想が浮かんできたがゆえの冒頭の笑いであったが、よく考えればまったく違う味なら「フカヒレ味」などという表記で売りに出せるわけがない。


数百円でいったいどれほどフカヒレの味に近づけることができるのか。


百聞は一見にしかず、百見は一考にしかず、百考は一行にしかず、百行は一果にしかず。


見て、考えた以上、あとは行動(実食)して成果(フカヒレ味なのか)を出すのみ!


「さぁて、それじゃあためしてやろうじゃないか」


ニヤリ、とでも語尾をつけられそうなイヤラシイ顔でフカヒレ味(笑)のプ○ッツを口にした。



瞬間、全身に衝撃がはしった。


「ーーーーーーーーーーーッ」


言葉も出ないとはこのことだろう。


ひと噛み、ふた噛み、とすりつぶれるほど噛んでから飲み込むまで無言。


もしかしたら、うっすらと涙すら流していたかもしれない。


気づいてしまったのだ。


絶望的なことに。


そう、


それは、







「俺、フカヒレ食べたことなかった・・・」







過去のことが走馬燈のように浮かんでくる。


『「フカヒレ味のプ○ッツ?」と、思わず鼻で笑ってしまった。』

肝心のフカヒレを食べたこともないのに。


『数百円で高級食材のフカヒレ味を再現できるわけがない!』

肝心のフカヒレを食べたこともないのに。


『そんなんできるんなら、みんな買ってるっちゅ~ねん!』

肝心のフカヒレを食べたこともないのに。


『お菓子メーカーは中華料理店にケンカ売ってんのか!』

肝心のフカヒレを食べたこともないのに。


『数百円でいったいどれほどフカヒレの味に近づけることができるのか。』

肝心のフカヒレを食べたこともないのに。


『百聞は一見にしかず、百見は一考にしかず、百考は一行にしかず、百行は一果にしかず。


見て、考えた以上、あとは行動(実食)して成果(フカヒレ味なのか)を出すのみ!』

肝心のフカヒレを食べたこともないのに。


『「さぁて、それじゃあためしてやろうじゃないか」』

肝心のフカヒレを食べたこともないのに。


『ニヤリ、とでも語尾をつけられそうなイヤラシイ顔』で

『フカヒレ味(笑)』なんてバカにしたように笑い

プ○ッツを口にした。

肝心のフカヒレを食べたこともないのに。



顔面が真っ赤になっていることを自覚し、己のあまりのまぬけさかげんに落ち込むのを通り越して笑いしか出なかった。



そのあとは、無事にフカヒレ味のプ○ッツを完食した。

苦笑(くしょう)しながら食べたプ○ッツは胡椒(こしょう)の味がした。


本物のフカヒレを食べるまで、自分のなかではこの味がフカヒレ味ということになりそうです。


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