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GENERATION☆DESTRUCTION!!  作者: Yuki乃
EP01 Remember
9/277

Remember(8)

 どこかの学生服に腰には四丁のリボルバー銃、それに二本の日本刀を左右に一本ずつさしている。羽織っているマントには『GUARDIANS』の文字が入っていた。

 こんなところに来る人なんてほとんどない。

 なんの用事なのかは全く見当がつかない。

「……誰、ですか?」

「せっかく助けた奴がそんな顔をしているのだ、声をかけたくもなる」

 助けた?

 まさかこの人が救助してくれたというのだろうか。

「ありがとうございますとでも言えばいいんですか?」

「捻くれているな、まあ、お前のことは言えないが」

「どうして助けたんですか?」

「助けるのに理由がいるか?」

「いるに決まってる、それではただの慈善事業だ」

「じゃあ任務だからと言えば、お前は満足するのか」

「助けて欲しいなんて、俺は頼んでません」

「俺も頼まれていない、だが助けた」

「……だったら、……助けるなら、他にもっといたはずでしょ、こんな俺何かよりも」

「お前は勘違いしている」

「――――助けるならアイリスを助けてくれよ!! こんな俺なんかじゃなく!!」

 そうだ、この男がアイリスを助けていれば、こんなことには……。

「助かるか、助からないかは俺の手には決まらない」

「!?」

「……どういう意味ですか?」

「どうもこうもない。助けるとは落下するお前やそれ以外をという意味ではないからだ。俺はただ瓦礫を撤去しただけだ。その中で偶然生きていたのがお前だった。ただそれだけだ。それ以上でもそれ以下でもない」

「……」

「奇跡的に助かった命なのだ。もっと大切に扱え」

「あなたには関係ないでしょ?」

「そうだな、だが、お前の気持ちもわからない訳ではい」

「何を言って」

「お前は大切な人を失ったのだな」

「……」

「俺は今まさに俺の大切な人の命は失われようとしている」

「!?」

 この男は一体何を言っているのだろう。

「お前の気持ちを完全に理解するとは言わない。だが、俺は諦めていない。俺は過去を振り返らない、その先の未来に答えがあると信じているからだ」

「……確かにあなたはそれでいいかもしれない。だが、アイリスはもうこの世にはいないんですよ。それでどうやって前を向けって言うんですか!!」

「そのアイリスと言う少女は本当に死んだのか?」

「――――何を言って!?」

「一月探し回って遺体どこから遺品すら何一つとして見つかっていない。それでお前はその少女が死んだと、そう結論付けられると、そう思っているのか?」

 確かにこの人の言う通りだが、どこにもいなかったのだ。

「じゃあ、どうしろって言うんだ!!」

「それを俺に言わせるのか?」

「自分で考えろと言いたいんですか?」

「そうだ、お前のやるべきことははっきりしているはずだ。胸の内に聞いてみろ。諦めるのはまだ早い、その少女の骸を見るまでは可能性が失われない。違うか?」

「あなたの言うことは理に適ってはいます。だが、それはただの理想論に過ぎない」

「その通りだ」

「だったら――――」

「――――だからこそだろう!! 俺はその一パーセントにもみたない希望の光を掴むために戦うと決めたのだ。俺は俺の可能性を自ら潰したりはしない。精々、最後の最後まで足掻き続けるだろう。それが例えどんな惨めな姿であろうとな」

「どうして、どうして、そんなことが言えるんですか? 百回やっても九十九回以上失敗するとわかっているのに」

「そんなの決まっている」

 男はニヤリと笑う。

「――――諦めた惨めな自分よりは百倍ましだからだ!!」

 そうか、確かにその通りだ。だが、それには強い心と肉体が必要だ。

 それが俺にできるだろうか、もしも努力した先に絶望しか待っていなかったとしてもそれを乗り越えられるだろうか。

「俺は行く、そして、お前も来い」

 男は俺に手を貸す。

 その手を取るか一瞬だけ迷う。だが、あの男の話しを聞いている内に、今の自分がどれだけ情けないかがよくわかった。

 そして、自分がどうするか道を少しだけ標してくれた、そんな気がする。

 過去に俯くのは今日で終わりだ。

 俺はもう一度空を見上げたその先の未来が俺を呼んでいるような、そんな青空が俺を歓迎している。

「はい、俺も戦います」

 彼の手を取り立ち上がる。

「さあ、俺たちの戦いを始めようか」

 それが彼から聞いた最後の言葉だった。

 その日、俺は戦うこと誓った。

 彼にそれ以降会うことはなかった。

 再び立ち上がった俺は必至に勉強をした。

 どんな形であれ、もう一度、アイリスに会うために。

 そして、もしも生きて再開できたならば、今度こそは全てから彼女を守れる存在になれるように。

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