LEGEND SENDAI Base(1)
「こちら第二艦隊所属第一輸送隊、天塩及び電、仙台港へ寄港します」
『こちら仙台司令、了解、天塩は曳航し三番ドッグへ、電は七番埠頭へ寄港してください』
「了解」
本当ならば寄港せずに苫小牧まで直航する予定だったのだが、天塩の損害が見た目や航行している様子からは大した損害ではないように見えるが、実際はそうではなかったらしい。
「……艦長」
「わかっている、私は仙台の本部に出向く、残ったクルーは全員工作部隊の指示に従ったくれ。現場の指揮は少佐殿に任せる」
「了解です、御気御付けて」
天塩がドッグに入るとロープで位置を固定され水密扉が閉まる。その後巨大な排水ポンプでドッグ内の海水が外へ排出され次第に艦の高さが下がっていきゆっくりと着底した。
それから仙台に常駐している修理班による応急修理が実施された。
艦長の中島少将はLEGEND仙台司令部へ出頭した。
仙台司令部は港の近くの陸上部隊が置かれている場所にある。そのため車で移動しなければならない。
そして俺たちにもお呼びがかかった。
港で待っていると黒塗りのランドクルーザーがやって来る。ボンネットと側面のドアにLEGENDの文字と紋章、おそらく重装甲使用のものであろう。ちなみに国内販売はしていないはずなので海外からの逆輸入モデルであろう。
運転は仙台司令部のもので少将は助手席に乗っており、俺たちは後部に乗車した。
それから少しして少将が口を開く。
「小宇坂くん、バルザックさん、少し遅れましたが海上の件ではありがとうございました。おかげで無傷とはいきませんでしたが、仙台まで辿り着くことができました」
「いいや、俺は何もしてない。戦ったのは俺ではなく、イリスだからな」
「もちろん、イリスさんにも感謝しています。今日お呼びしたのは仙台での保護の関係でしょう」
「保護とは?」
そんなものは必要ないと言いそうになるがここは抑えた。
「天塩の修理には二日以上かかるそうです。その間は仙台で過ごしてもらうことになるので、イリスさんを含めた四名の身柄の安全についてです。ここは司令部が置かれていることもあり関東地方よりは格段に安全ではありますが完全でありません。我々に課せられた任務はあなた方を無事に潮泉まで届けることですから」
潮泉とは苫小牧にあるLEGENEDが所有する港の名称である。
「なるほど、だが大それた護衛は不要だと思うが?」
俺たち四人は遠距離、近距離、能力者、支援と別々のタイプが集まっているので様々な敵に対応できる。よって敵が大部隊で攻めてこない限りは護衛の必要ないだろう。
「そこまでおっしゃるならば護衛は最低減の人数に致しましょう」
「話が以上なら司令部まで行く必要はなさそうだが?」
「今の話とは別に仙台司令部の方で何かあるそうです」
それからしばらく海岸沿いを走った後、少し内陸にあるLEGEND陸軍、仙台基地へと入っていった。




