Strategy Preparation(7)
そんなイリスの姿に何だかとても和んだ後で、ゆっくりと作戦書を見る。
集合場所:LEGEND月宮高等学園港 第二ドッグ
集合時間:午後六時
作戦概要はLEGEND横浜司令部の指揮下にある第四護衛隊と西部方面艦隊が作戦を支援してくれることになっており、第四護衛隊には護衛艦は天龍型護衛艦、如月型護衛艦の二隻、西部方面艦隊はひかり型特殊潜水艦と月光型潜水艦の二隻で計四隻が同行することになっているようだ。
実行部隊は八部隊、その中で敵対勢力の足止めを行うのが六部隊、一部隊は退路の確保、残る一部隊は人質奪還を行うようだ。
全員護衛艦で房総半島の先端、西に位置する館山湾付近から上陸し大山を防衛している保安局の部隊を足止めする。退路を確保する一部隊は港を占拠するようだ。六部隊が足止めしているうちに、天龍型護衛艦で反対側から上陸する。その後ひかり型特殊潜水艦から艦載機晴嵐を四機出撃させ機甲部隊を叩くようだ。
俺たちに課せられているのは敵対勢力の足止めとなる。
問題は敵勢力だが、神無月先生のあった通り、敵は機甲部隊と歩兵を配置しているため、こちらの六部隊が真正面から戦っても勝ち目は薄い。後に晴嵐による機甲部隊を撃破する予定であるようだが、上陸から三十分から一時間かかると予想される。それに誘導ミサイルを使用しても搭載数が少ないため第一波の攻撃だけで完全に破壊することは難しいだろう。第二波はないらしく。一回の爆撃が失敗すれば戦車や装甲車を直接相手にすることになりそうだ。
考えれば考えるだけ不利な状況だが、これでもやるしか選択肢はない。
イリスの能力に関して詳しいことはわからないが、学園長との一件で防御力は保障されている。
人質についてだが、これを見て学園長がこれほどまでして奪還作戦を実行したのかを理解した。月宮 瑠音、学園長も月宮の姓であったはずだ。
身内のピンチに強行策に出たようだ。
どうやら東京でも任務中にコンビニに寄った所を万引きの疑いで保安局に強制連行されたようだ。偽装警察車両を使ったのだろう。
その人質は千葉県の房総半島まで護送車で保安局の基地に輸送されたようだ。その時に奪還を試みたのが雅一号作戦だったが、護送車の護衛についていたヘリコプターによるガードが堅かったため空からの作戦は失敗したようだ。
それに作戦書の最後の方にさらに部隊を増員する可能性があると記されており、仙台司令部の第三艦隊に派遣要請を出しているとか、海外にいる守護者にも援護を要請しているようで、かなり切羽詰った状況であることがわかる。
横浜第二艦隊からもっと艦を出せばよいのではと思ったが、近くに米軍の横須賀基地が、さらに作戦領域内に海上自衛隊館山航空基地もあることから本当ならば『晴嵐』もかなりの危険を伴うのだが、このことから苦肉の策であることが窺える。
作戦内容は理解した。
これは重武装で行った方が良さそうだな。
俺は生徒会にRheinmetall MG3の借用を携帯で伝えると、作戦開始に自由に使える武装の中に含まれているとのことだった。
俺はイリスが起きるのを待って学園を後にした。




