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GENERATION☆DESTRUCTION!!  作者: Yuki乃
EP06 Strategy Preparation
55/277

Strategy Preparation(5)

 ドアのホワイトボードには在室にマグネットがのっている。

 ノックすると神無月中佐が扉をあける。

「お待ちしておりました、小宇坂君、中へお入りください」

 目下に対しての敬語口調に恐縮してしまう。

 笑顔で教官室に通してもらい、俺たちはソファーに座る。

 教官室には左側に棚があり、そこには潜水艦のプラモデルがズラリと並んでいる。どれも第二次大戦時のものだ。反対の奥に仕事用のパソコンデスクと手前に来客用のソファーとテーブルがある。

 神無月先生はパソコンデスクの椅子に座る。

「それで学園長が話を私に丸投げしたということで間違いないですか?」

「……そんな感じです。詳細は先生に聞くように言われました」

「そうですか、では何から話しましょうか……、手始めに彼女の事について」

 パソコンデスクから資料を出す。

「まず人工少女計画についてですかね。この計画の起源は超能力を科学的に解明し、機械に組み込むことでした。しかし生体なしに超能力を再現することが難しいことがわかり、その能力者の遺伝子を利用したクローンを生産することにしたようです。それが『人工少女』と呼ばれるクローニング技術と遺伝操作により生まれた少女達なのです。開発を行ったのはフランスのREVIVEという組織で、大手の商社を利用して世界各国へ販売していたようです。運用状況ですが、今回、回収に成功したタイプは軍用モデルのようです。とある筋からの機密情報によれば軍艦にカプセルを取り付けて使用する予定だったようですね」

 大体の事情は理解できたが、

「誰のクローンか判明してるのか?」

「こちらの一方的には憶測に過ぎないのだけど聞いてくれるかい?」

「はい」

「今から五年前イタリアのセンピオーネ事件をご存じですか?」

「……いえ」

「センピオーネ事件は日本では取り上げられていませんので知らないのも無理はありません」

 センピオーネ事件とは、イタリアの特権階級を持つ貴族、スフォルツア家で起きた殺人事件、屋敷内にいた当主の娘一人だけを残して当主とその妻を含め十八人が殺害されたそうだ。表向きはただの殺人事件だったが、調査を進めていくと当主の血統には稀に能力者が生まれる血筋であることが判明した。当主には二人の娘がいたそうで、一人は無事だったが、もう一人は連れ去られ行方がわかっておらず、その子のクローンではないかと思われているようだ。

「名前はアステリア=スフォルツァ、スフォルツァ家の時期当主となる方だったようですね。他に何か質問はありませんか?」

「いえ、もうありません」

 話を聞けば聞くほど陰謀が見えて来る。クローンであることは予想できたが、かなり生々しい事件がその裏にあったことまでは知らなかった。人間は未だに知的欲求を満たせずに愚かな行為に走っているようだ。

「次は本日行われる作戦についてですね。小宇坂君にも参加してもらうことになっているので、まずはこれを」

 資料を二部配布される。まさかイリスも参加させるんじゃないだろうな。

「……館山二号作戦」

 作戦名館山二号作戦、前日の雅一号作戦による陸上からの攻撃が失敗したため海上からの上陸作戦に切り替えた。目標は人質奪還である。

「俺に奪い返せと言うことですか?」

「そうではないよ、それは別の部隊が行う。私たちに課せられたミッションは主に敵の主力部隊を引き付けることにあります」

「囮ということですか?」

「そういう言い方もできるね」

 主力部隊ともなればこちらも大人数で行かなければ勝ち目は薄いように思えるが、

「不安そうですね」

「俺の得意分野は一対一ですからね、集団で戦うのには向かないんですよ」

 主力部隊は確認できているだけで、軽装甲車数台に七四式戦車も多数確認できており、機甲部隊を相手にすることになるらしい。しかしこちらの戦力は能力者を集めた中隊規模の歩兵のみ、海上戦力は多数あるものの、陸上戦では無意味だ。

「せめて揚陸艇でもあれば、話は変わったものですが、私たちの保持している艦はどれも大戦時のものですから……。ですが、これが決定的戦力差とはなりませんよ」

 どうしてそう言い切れるのか、俺にはわからない。

「小宇坂くんは私、守護科の霜月さん、前衛科の夏川さんの四人で小隊を組んでもらいます。それともう一つ、彼女にも戦闘に参加してもらうことになります」

「イリスに戦闘は無理ですよ」

「そうでもありませんよ。人工少女計画に含まれている事項として量産できる兵力としての利用が含まれています。ですから一通りの武器の使い方はインプットされているはずです。それに本当に危険な任務に就き合わせるような人ではありませんよ。私も学園長も」

「……その言葉信じますよ」

「ええ、それに危険と判断した時点で撤退しても構いません。それにイリス君とはツーマンセルでコンビを組む予定であるのでしたら、絶好の機会だとは思いませんか?」

「少々ハードな気がしますがね」

「いいえ、これくらいの戦闘でないとイリス君の能力は発揮されないでしょう。通常任務では相手が弱すぎて能力を使用する機会すらないでしょうし」

「過大評価だと思いますが?」

「いいえ、私の目に狂いはありませんよ。学園長のお墨付きも頂いておりますし」

 作戦については貰った資料をよく読んで理解するように言われ話は終わった。

 教員室を出て廊下を二人歩く。

「イリスに戦えるとは思えないよなぁ」

 少しため息が出るくらいには困った問題だ。

「戦えますよ、マスター」

 袖を掴んで引っ張ってきた。

「……さっき言ってたことは本当なのか?」

「拳銃、短剣ならば使用可能です」

 イリスがそう言うのなら事実なのだろう。

「そうか、なら買いに行こうか?」

「はい、マスター」

 無表情ではあったが、声が少しだけ嬉しそうだと感じた。

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