Sports Festival ~Last Part~(4)
「それでは一通り見てもらったところで何か意見のある方は挙手願います」
「はい」
意外にもアイリスが先に手を挙げる。
「アイリスさん」
「ビデオの内容とは関係無いんですけど、制限時間以内に決着が着かなかった時で、両者共に生存人数が同じ場合はどうなるんですか?」
「いい質問ね。制限時間内で決着がつかず、かつ人数も同数の場合は先にその人数に減った方が負けになるわ。仮に私たちが七人で、相手が六人の場合、私たちの誰かが一人やられて、七人になった場合でもこれ以上人数を減らさずにフラッグを破壊されなければ、私たちの勝ちとなるわ」
ただ月宮に居た時はこのルールを使ったことは無かったので、極々稀に起こることだという認識で良いかもしれない。
「私からもいいかしら?」
今度はリリスが挙手する。
「三試合の共通点として屋上を先に制圧しているようだけど、どこに優位性があるかがイマイチこの映像では判断できないわ」
映像は四分割されて放映されており、全様を映している訳ではないため、分からないことが多い。
「確かにその通りだわ。ただ私の予想からすると、どの階よりも一度キープすれば、取り返される可能性が低いからだと思うわ」
東條の考えはこうだ。一階や三階は窓から行き来が出来るため、思わぬ場所から敵が出現する可能性があるが、屋上の場合は二ヶ所の通用口以外から敵が来る可能性は極めて低いため守りやすいのだろう。それに校舎外の全てを見渡せることから戦況把握もしやすいという訳だ。もう一つ挙げるならば、どのような場合でも敵を撃ち下ろすことになるため、重力による弾丸の落下を考慮する必要性が薄い。
「今の考えだと圧倒的に優位という訳ではなさそうね。実際に屋外はほとんど使用されなかった訳だし」
そうなのだ。映像では特段有利に働くようなシーンは無かったのだ。ただ傾向を見る限りはそういうことで間違いない。
「この辺のことは実際にやってみないことにはわからないそうね」
「もう一ついいかしら?」
「何かしら?」
「次の対戦相手は十五人だったわよね?」
「そうよ。射撃部ね」
「制限時間は十五分、相手が防衛一方に出た場合にも人数の差で何をしなくても負けてしまうわ。フラッグを奪うにもルートが絞られ過ぎて、どうにも行かなくなりそうだけど……」
「リリスの言うことは尤もなことで、相手が二階のフラッグに十五人固めて配置した場合、突破は非常に困難になることが予想できるわ。だけどこちらのアタッカーが私と小宇坂くんだから、きっと何とかなると思っているわ」
……東條の奴、俺のことを随分と過大評価しているが、能力者以外と真正面から戦えるようなポテンシャルは俺にはない。
「それにいざとなれば、フラッグガードのイリスさんを前線投入してのゴリ押しも止むなしだと思っているわ」
「結局のところ一回やってみないことにはわからないってことじゃないか?」
「小宇坂くんの言う通りね」
「ならば、借用品以外の点検とかに時間を使わないか?」
東條は少し悩むような仕草をする。
「……そうね。机上で話しをしていても仕方がないわ。この後は試合前にもう一度ミーティングをすることにして、後はフリーにしましょうか」
その言葉に一番喜んだのはもちろんニルだ。
それからすぐに解散となる。
ニルは愛車を弄るために教室を真っ先に出て行ってしまった。
「あいつ、大丈夫なんだろうか……」
「ニルはいつものことでしょ? あの子、車のこと以外に頭にないからね」
リア、お前大分酷いこと言ってるぞ。
まあ、そもそも主戦力としては誰も考えていないだろうし、良いだろう。
「それじゃあ装備類を確認するか?」
リアとアイリスとイリスと一緒に最終確認をすることにした。
東條とリリスは旧校舎の見取り図を今一度確認しているようだった。




