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GENERATION☆DESTRUCTION!!  作者: Yuki乃
EP21 Sports Festival ~Second Day~
194/277

Sports Festival ~Second Day~(11)

 大講堂に戻り、二人を待つこと約二十分、ようやくヒーローの二人が帰って来る。

「おつかれ」

「取材、大変だったでしょ?」

「ちょっと恥ずかしかったわ」

「そう、私は人前に出るのは慣れているからそんなこともなかったけれど」

 少し顔の赤いリアと対照的に東條は凛々しい。

「もう昼か、色々詰まっていた所為か時間が経つのが早いな」

「そうだね。食堂に行きましょうか?」

「ああ、そうしよう」

 昼食を採りながらリレーマラソンの打ち合わせを軽く行う。

 これから走るということもありみんな食べる量は控えめだった。

 俺は五周もするので何も食べないでおこうかとも思ったが、何も食べないのもそれはそれでどうかと思ったので軽くおにぎり程度で済ませることにした。

 ウォーミングアップも兼ねて三十分前には学生玄関に向かう。

 俺たちよりも気合の入った生徒が既にアップを始めており、その辺を軽く走ったりストレッチをしたりしている。

 体育祭の実行委員会の人たちが、特設ステージに大きな液晶モニターが設置されており、カメラから映りや機材関係をチェックしている。

「中継されるようだな」

「去年もだけど、バイクにカメラマンを乗せて中継するみたいだよ?」

「駅伝みたいだな」

「凄いよね」

「ああ、体育祭の最後に相応しい盛り上がる演出だな」

 実際に走らない人も楽しめるようにしようという頑張りが見える。

 軽く準備運動をしていると続々と生徒が集まって来る。

 マラソンコースはロープで囲われており、そのロープの周りにカメラをセットする人や陣取り合戦が始まる。

 選手の補助者は専用のスペースが用意されており、そちらに移動する。クラスごとにざっくりと場所が決まっているが人数が多いため、かなり混みあっている。

 かなりのチーム数になるため、次点ランナーは今走っているランナーが見えてからコースで待機する。バトンの受け渡しにはルールは特になく、バトンを渡せればいい。陸上のリレーみたいにバトンタッチの区間が決められていない。

「第一走者はスタート位置にお願いします」

 拡声器で体育祭実行委員会の男子生徒が誘導する。

 東條はそれに従い移動する。

 第二走者である俺も待機場所へと移動する。

「さあ、早くも今年の体育祭、最後の種目となってしまいました!!」

 特設ステージではマイクを持った二人組の生徒が司会となって会場を盛り上げる。

「それでは間もなくスタートです」

 第一走者がそれぞれ位置につく。

 百メートル走とかならば横並び一直線だろうけど、マラソンはスタート地点にごった返している。後にいる人が不利になりそうではあるが、実際に一番前と後ろでは一秒程度の差しかないので、長距離の場合は無視できる範囲であるようだ。

 東條は後の方でスタートの合図を待つ。

「――――位置について!!」

 ――――――パァァ――ン!!!!

 スターターピストルの合図でリレーマラソンがスタートする。

 一周一キロという距離は何周するも人にとっては長いかもしれないが、一周だけすればいい人にとっては短い距離だ。

 半分以上の選手は百メートル走に近いレベルの速さで先頭集団を作る。

「スゴイね、本当にマラソンなの?ってくらい早いね」

「一周走れるだけならあれでいいだろうな」

「毎年徒競走みたいなってるよ」

「私は絶対無理だわ。出なくて良かったと全力で思うわ」

 ニルを出さなかったのは正解だっただろう。出していれば間違いなく最下位だっただろう。一周でも出れば何周差をつけられていたことだか……。

「うーちゃんは真ん中くらいだね」

「何周も走るから仕方ないだろう」

「そうだよね、東條さんは後二周もあるもんね」

「ソウスケ、大丈夫?」

「何とかなるだろ、出来て順位キープくらいにはなりそうだけどな」

「キープできるだけいいじゃない?」

「順位が低かったら怒られそうだけな」

「それだけは避けなきゃね。私は一周だから順位上げないとね」

「私も一周だから頑張らないと行けないね」

「できる範囲でな、怪我したら元も子もないからな」

 特設ステージでは先頭集団を中継している。時々定点カメラの映像に切り替わる。東條は相変わらず真ん中あたりを走っているようだ。

 二分経過した当たりで先頭集団が一周し見えて来る。

 かなり早いな。

 先頭集団から三十秒ほど遅れて東條が見える。

 俺がコースに出て東條が戻って来る。

「ごめん」

「気にするな」

 バトンを受け取り走り出す。

 まずはペースを掴むことが大切だろう。

 前を走る選手のペースに合わせて走ってみるが、まだ行けそうだ。

 一キロは長くはないが、ペース配分は大切だ。

 東條自身はあまりいい順位に着けなかったので少し落ち込んでいた。

 俺が頑張らなければいけない。

 そんなことを考えている内に既に三分の一を走ってしまう。これは短いというレベルだろう。もう少しペースを上げるか。

 現在のポジションは先頭集団から三十秒ほど遅れている中間の集団にいる。まずはそこを抜いて先頭集団との差を縮めていかなければならない。

 ただ、俺にはあと四周もあるのだ。非常に難しいところではあるが、俺が体育祭で活躍できるチャンスだ。何とか中間の集団から抜け出し、アイリスの姿が見えて来る。

 集団から抜けたことで前後に他の選手はいない。

 その状態でアイリスへバトンを渡した。

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