Sports Festival ~Second Day~(9)
「これより決勝戦、三年研究科と二年守護科の試合を始めます」
審判は体育の教師がやっているところを見るとかなり厳密に判定するということだろう。
「試合は3ゲームマッチで行います」
3ゲームマッチということは、先に2ゲーム取ったチームの勝ちということになる。ちなみにプロの試合とかで見るのは3セットとか5セットマッチとかだろう。こちらは1セットを取るのに6ゲーム取る必要がある。体育祭等の時間制限がある場合はここまでのことをするのは難しいだろうし、体力的に考えても選手レベルにならないと不可能だろう。
俺たちはベンチでその様子を見守る。
どうやら相手のサービスゲームから始まるようだ。
この試合形式の場合どちらも高度な実力を持っているならば5ゲームならば相手がのサービスゲームが3回訪れるのでその分有利になる。
「3ゲームマッチプレイ」
審判の合図で試合が開始される。
サービスは相手からだ。
素人目で見ても相手の動きは上手い人だと直ぐにわかる。
トスされるボール、ファーストサーブを打つ。
一発目から入れて来る。ここは流石と言わざるを得ない。
ただ東條は軽々とサーバーへとレシーブする。
相手も東條へと打ち返し打ち合いになる。
東條のエンドラインギリギリに入ったドライブショットを苦しく上げた浅いロブをサービスラインまで下がったリアがスマッシュでクロス方向へ返す。
「0-15(ラブフィフテーン)」
その瞬間歓声が上がる。
「どうよ!!」
「流石ね」
ドヤ顔で東條の方を振り返る。
「あのショットをライン上に打ち返す何て凄いよね」
アイリスが感心している。
「あの球が見えるのか?」
「見えるよ」
「なら目がいいのかもな、俺はこの距離だとインかアウトか際どい球は見えないからな」
「そうなんだ?」
「私も見えますよ」
「じゃあイリスも目がいい見たいだな」
イリスが膝の上でこちらを振り向く。
「そうだね、私は全然見えないからね」
ニルも俺と同じで見えないらしい。これは動体視力の問題かもしれないがな。俺も決して悪い訳じゃないから、二人が特段目がいいのだろう。
相手は動揺することなくポジションを入れ替える。
サーブは非常に安定しており、きっちり入れて来る。
今度のレシーブはリアだったが、何とか返したと言った感じだ。あまりレシーブが得意ではないのかもしれない。
相手は甘く入ったレシーブを強烈なドライブショットで返され、リアが何とか打ち返すが……。
「アウト、15-15(フィフティーンオール)」
直ぐに追いつかれてしまった。
「大丈夫よ、問題ないわ」
東條が次のレシーブでリターンエースを取り再び流れを取り戻す。
「東條って何者なんだ!?」
思わず呟いてしまうほどに上手い。これは運動神経が良いという域ではない気がする。
「おそらくテニスの経験者でしょう。これは先天的なものだけではありませんね」
「イリスもか? 俺もそう思っていたところだ」
前の学校でテニス部だったとか、そんなところだろうか。
リアがレシーブだとやはりダメで、再び取り返されてしまう。
東條のレシーブで得点しリアのレシーブで失点する感じだ。
「30-40(サーティフォーティ)」
次はリアのレシーブ、リアの表情からは真剣さが伝わる。東條に迷惑をかけまいとする気持ちが伝わる。
相手のファーストサーブはやはり安定している。逆に安定しているがもの凄く速い訳ではない。
やっと攻略法を見つけたかのだろうか。
今まではクロスでサーバーに返していたが、前衛を大きく超すロブでストレートに返す。
その隙に東条がサービスラインから下がり、リアが前に出る。
相手のストレートのドライブショットはリアの方へと真っすぐ飛んでくる。
まだ前に出きっていない。これは厳しいか?
リアはローボレーでネット際に落とす。それをダッシュで取りに行くが返すボールはネットに跳ね返される。
「ゲーム、二年守護科、チェンジサイズ&サービス」
リアの調子が良くなったのか一ゲーム目を先取する。
コートとサーブがチェンジとなり、逆側のコートで東條のサービスゲームだ。