Sports Festival ~Second Day~(2)
何だかんだあり、試合開始まで後一時間もない。
簡単な準備運動程度にしておいた方がよいだろう。本当は室内で練習したかったのだが、使える場所がないので仕方がない。グラウンドでは既に野球とサッカーの三回戦が始まっており、片隅でひっそりと練習することになった。
「結構他のチームも練習しているのね」
「考えることはどこも同じか……」
東條は一つだけ科借りることができたバスケットボールをニルに投げて渡す。
「おっとっと」
優しく投げたつもりだったのだろうが、ニルは何とか落とさずギリギリでキャッチする。相変わらずの運動神経だ。
「二人一組でストレッチから始めましょう」
「ニルやるわよ」
「OK」
リアとニルは相変わらず仲が良い。
ストレッチ体格が近い人同士で組むのがセオリーなのでちょうど良いのだろう。
となると、まあ、仕方のないことだが、アイリスとイリスが組むことになり、俺が一番身長の高い東條と組むことになった。
というかこれはダメじゃないのか!?
「何ぼさっとしてるのよ。早くやるわよ」
「ああ」
気は乗らないが仕方ないだろう。
背中合わせになり腕を組む。
「行くぞ」
「どうぞ」
ゆっくりと全身を伸ばす。
「っんん」
「……大丈夫か?」
「大丈夫よ、問題ないわ」
痛い訳ではないようなので大丈夫だろう。
今度は逆だが、俺の体重を支えられるのか心配だったが特に問題はなかったようだ。
東條が選んだ他にも三種類ほどストレッチを行う。
「後、捻挫したら大変だから手足のストレッチもしましょう」
「そうだね」
リアは得意そうに腕のストレッチから足、手とやっていく。
「やりなれてるんだな」
「まあね、デカい銃を持つには色々と準備運動が必要なのよね」
「やっぱり、あの狙撃銃って重いんだね」
アイリスがイリスと一緒にこちらにやって来る。
「本体だけで二十六キロはあるからね」
「えっ、二十六キロ!?」
「そうだよ、簡単に振り回しているように見えるけど。体全身を使っているからそう見えるだけで、力任せではあんなことできないわ」
「リアさんは力持ちなんだと思ってた」
「あはは……、そう見えるよね」
思わず苦笑いしているが、実際に力は普通の女子の数倍はあると思うぞ。傍から見ればただの怪力女だからなぁ。あの重量を制御するのは至難の業だ。
「ソウスケは何か言いたげね」
「いや、何も言うことはない。あの重量は俺には扱えないって思っただけだよ」
「話は練習しながらにしましょう」
振り向くと東條が俺にボールをパスしてくる。
「適当に散らばって軽くパス練習しましょうか」
あまり大きくスペースをとることはできないが、ある程度の距離でパス練習をすることになった。
他愛もない話をしながらのパス練習、気が付けば試合まで後十分ちょっととなっていた。
「そろそろ、準備して向かいましょうか」
「私、クーラーボックス持って行くわ」
ニルが大講堂に早足で戻る。
そんなに慌てなくてもいいだろうに、少しでも役に立ちたいという気持ちが伝わる。
俺たちは体育館へと向かった。