Sports Festival ~Second Day~(1)
~Second Day~
体育大会二日目は突入した。
午前八時過ぎといったところだろうか。
「今日のスケジュールを確認するわ」
守護科の教室である大講堂で東條が体操着姿で手帳を見ながらホワイトボードにキュキュッと書いていく。
東條以外の俺たち五人は大講堂の前の方に座り話を聞いている。
「まず、午前中はバスケの三回戦があるわ。時間は九時十五分からよ」
「二番目の試合か、意外と早いわね」
リアがA4の対戦表を見ながら言う。
「そうよ、だから、この後すぐにグラウンドのアップをするわ」
ホワイトボードにさっき言った内容を書いていく。
「次に十時からテニスの三回戦、これは私とリアね。これも時間が押すことが予想されるけど、バスケットの準決勝と被ったらその時はまた考えるわ」
ちなみに、バスケの準決勝はそのままのスケジュールで行けば十一時十五分からであるが、まずは三回戦に勝ってからということになる。東條は勝つ気でいるのだろうが、実際は厳しいだろう。その時に怒りださないか心配ではある。
「午前中は以上です。次に午後は十四時からリレーマラソンがあるわ」
「そういえばリレーマラソンのメンバーを決めていなかったよな?」
「そうね、ルールは知っての通りだと思うけど、一応説明しておくわね」
要約すると学園内の決められたルートを十周する速さを競うもので、一人一周以上することができるため、最大参加人数は十人となる。バトンタッチが必要なため、最悪二人で交互に走ることも可能であるが、一周あたり約一キロメートル程度あるため、単純計算で十キロメートルあることになる。
「……まあ、そんなところかしら」
「はい、はい!!」
ニルが手を挙げる。
「何かしら?」
「一キロも走るの無理です!!」
「はぁ、一キロって大した距離じゃないわよ」
東條は呆れたような顔をする。
「でもたぶん無理だと思うわよ? だって四百メートル走でトップと二百メートルくらい差をつけられたこともあるし、それに体力が持つか分からないんだけど……」
「ニル言っていることは本当だからな、五人でどうにかするのが現実的だろう。負けたくないんだろ?」
負けという部分を強調する、
「当たり前でしょ、仕方ないからニルはマネージャーね」
「……やった!!」
小声で喜ぶニルとは裏腹に少し東條が睨んだ。
その視線を受けて少ししゅんとした。
「均等にすれば一人二回走ることになるけど、それでは体力に自信がない人が可哀そうね」
「確かにそうだな。なら、俺が半分走るってのはどうだ?」
いくら国際科だったとは言え、ランニングによる基礎トレーニングはやってきた。五キロくらい余裕だろう。後はどれだけ早く走れるかということになるだろう。
「ソウスケさっすがね!!」
隣のリアが背中をポンポン叩いてくる。
「五キロって結構あるよ? 本当に大丈夫?」
「ああ、問題ない」
アイリスに心配されるが、もうここくらいしか格好つける場面はない訳だし、やるしかないだろう。そんな邪な気持ちも少なからず在ったりもする。
「わかったわ。それじゃあ小宇坂くんが一周置きにお願いするわ。後の四人だけど、イリスは一キロ完走できるのかしら?」
「もちろんです。問題ありません」
「わかったわ」
続いて、残りの二人の顔を見るとアイリスとリアも頷く。
「残り五周は私が二周走るから、それぞれ一周ずつお願いするわ」
「わかったわ」
「わかりました」
それぞれ頷き答える。
二周する東條が最初と九周目を担当し、俺は偶数のタイミングで入ることになる。後の三人は行きたい人からということで決まった。
何だか一番端っこでニルが疎外感を感じたのか小さくなっていた。
「まあ、人には向き不向きがあるから仕方なねぇよ」
「……フォローありがと」
今はそれよりも午前中をどう乗り切るのかということの方が優先だろう。
話は纏まったので、さっそくグラウンドでアップすることにした。