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GENERATION☆DESTRUCTION!!  作者: Yuki乃
EP19 Car Chase on the Highway
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Car Chase on the Highway(10)

 札幌からの帰り道、スマートフォンで東條に連絡する。アイリスたちは無事で、あの後何かさらに仕掛けて来ることはなかったようだ。三人でアイリスに部屋に集まって過ごしていたようだ。

 少し安堵しながらも電話先はもう一つある。

『もしもし、椎名だ』

「小宇坂です」

『その様子だと応援は間に合ったようだな』

「ええ、おかげさまで、……でもまさかユークリッドだとは思いませんでしたが」

『そうだろうな、彼女が居れば突破できない戦線など無いだろ』

「ズバ抜けた強さでした」

『だろうな。それでその男は捕まえられたのか?』

「いいえ、残念ながら、……ですが四人ほど生け捕りに出来ましたので敵の正体がわかるのも時間の問題かと」

『成果があったことは何よりだ。ただ本命を取り逃がしている以上、まだ何か仕掛けて来ることは十分に有り得る。警戒は怠るなよ。それと何かあれば今後は私の方から担任へ報告する』

「わかりました」

『後、角谷には安全運転するように言い聞かせておけよ』

「……了解です」

 ニルの86は相変わらず高速道路を平均車速二百キロ以上で爆走している。

「会長が気をつけて運転しろってさ。何かやらかしたのか?」

「さあ、会長から何か言われたことは無いけど?」

 もしかしたら、ニルが公道を爆走しているところに居合わせたりしたのだろうか。

 行きも帰りも道路の混み具合は大して変わらなかったのだが十分以上早く学園前に到着した。

 次の日の昼休みに千手院先生に呼ばれ教員室へと足を運ぶ。

 教員室には千手院先生と会長が居て、何の話かはすぐに察する。

「話は先生にもしたが、私から直接伝えた方が良いと思ってな」

 会長の話では捕まえた四人を尋問した結果、昨日移動中に会長が予想していた通りで、フランス政府特殊部隊とノルマンディー家が雇った職業軍人の連合軍で間違いないそうで、目的は前にも言った通り、アイリスの引渡し要求に関する作戦であることは間違いないのだが、新たに俺もターゲットとなっていることは分かった。

「俺が狙われる理由があるんですか?」

「ある。それはアイリスにも言えることなのだが、君が二年前に巻き込まれた事故についての調査をフランス政府が極秘に行なっていることが分かっている。その中で生存している被害者からの証言を集めているようで、調べた中では日本国内にいる被害者の数人が行方不明、あるいはフランス当局に拘束されていることが確認できたわ」

「そういうことか……」

 俺が狙われたのは納得が行く。俺自身、あの事故についてかなりの疑念を持ちつつも追求はしなかった。俺の両親が重要参考人として今も拘留されていることからも不自然さが伺える。

「事故の裏には何かあるということですかね?」

「普通に考えればそういうことになるわね。それに証言を集めてるって表現は少し柔らかめで、実際には事故のことで知ってはいけないことを知ってしまっていた場合に何らかの処置を行なっていると言うのは実情でしょうね」

「そんなことをしてまで隠したがることって何なのか、検討も付きませんね」

「小宇坂はフランス政府が隠したい事実を知らないようだが、向こうは知っているかどうかは関係ないようだし、これからも命を狙われることになるだろう」

 あんな襲撃が日常茶飯事にはなってほしくはない。

 だが現状どうすることもできない。

「ただ君たちが狙われなくなる方法もある」

「本当ですか?」

「現状では難しいだろうが、事故の真相を暴くことだ」

 確かに隠していることが明るみになればそんなことをする必要もなくなるだろう。

 ただあの事故、もしも超能力と何か関連があるのだとすれば、明るみに出ることはないのではないかと思う。

「だがこちらもただ見ているだけという訳ではない、……正確には見ているだけでも居られなくなったというべきかな」

 街で襲われた件からアパート襲撃、さらには今回の件と立て続けに起きている以上、美咲市の警備体制そのものに疑惑が生じているようで、風紀省や軍事省へ監視強化及び体制の見直しが図られている。また防犯カメラや美咲市外部からの侵入に対する装備の強化を行なうそうだ。

「ただこんなに大勢で、しかも連続で行なえるということは、内通者が居てもおかしくはないですね」

「小宇坂、寧ろ、居ない方がおかしいと思うわ。テロリストを送り込んだ内通者を捕まえられればいいけれど、そんなにうまくは行かないわ」

 アパートの周りの警備強化は前にも話したが、さらにアパートの空室に風紀委員会副委員長が在中するようだ。元々寮生だったのでそこまでの負担ではないとのことだ。

「話を戻すけど、小宇坂とアイリスが狙われている共通に理由はそれだが、アイリスにはもう一つ理由があるようね」

「そのノルマンディー家ですか?」

「そうよ。学園の校門前で何だかよく分からないことに巻き込まれたみたいだけれど、オフェリアから聞いたこととこちらで調べたことが一致したわ」

「あの男がアイリスの婚約者というのは本当ですか?」

「詳しくは分からないがそう主張しているそうで、アイリスをノルマンディー家に引き受けることでフランス政府と合意しているようだから、実質的なターゲットは小宇坂、お前だけという訳よ」

 捕まえた男たちの話からもアイリスには手を出さないように明確な指示があったことからも裏づけ出来る。

「ということだから気をつけなさい。自分の身を守れるのは最終的には自分しかいないのだから」

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