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GENERATION☆DESTRUCTION!!  作者: Yuki乃
EP17 New Semester
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New Semester(8)

                          ~Marquis Side~


 フランスのノルマンディーにある空港から飛び立つ一機のプライベートジェット機、それはプライベートと言うには大きすぎる中型の旅客機のようだ。

 それもそのはずだ。

 機体はボーイング787と呼ばれている中型旅客機であろう。一般的に航続距離が長いことで知られており、ジャンボジェット機では採算が取れないが長距離である路線で採用されている。

 ジェット機内は豪勢で派手な内装が施されており、誰が見ても彼らが貴族であることを理解できるだろう。

「日本へはパリを経由しまして十三時間かかる見込みのとなっております」

高級そうなソファーに座るノルマンディー侯爵から見て向かい側に座っている専属の執事が言う。

「そうか」

侯爵はパソコンの画面をみながら相槌を打つ。

「それで先行班からの報告はまだか?」

「その話でございますが、まず日本にはVIPとしての招待を受けましたので滞在については問題無いかと。続いて美咲市への偽装パスポートの人数分発行と部隊の配置は既に完了しておりますが、何せ配置が終了したのが昨日になりますので、まだ発見するには至っておりません」

「なるほど、予定通り到着が数日でフランスへ連れ帰りたい。そう急に計画を推し進めてくれ」

「承知しました」

「そうだ、この前に貰った監視カメラの映像で気になったことがあるんだが……」

「どういったことでございましょう?」

「このアンジェの横に写っている男は誰だ?」

 パソコン上で再生される監視カメラの映像を止めて画面を指差す。

「この男ですか?」

「ああ、そうだ」

 映像の二人は寄り添いながらショッピングを楽しんでいるように見える。その姿に顔を顰めたのだ。

「この男性ですが、こちらで調べた限りではアンジェ様の近くに住んで居られた、アンジェ様のご学友でございます。名前はソウスケ・コウサカだったはずです」

「ソウスケ・コウサカとか言ったか?」

「はい、その通りでございます」

「名前が独特だな。異国人か?」

「はい、その通りでございます。国籍は日本ですがフランスに移住しています」

「バトラー、あらため言っておくが俺は東洋人が大嫌いなんだ!! もう一回言うぞ、大嫌いだ!!」

 何か嫌な思い出でもあるのだろうか。侯爵は二階大声を上げた。

「承知しております」

 そんな中、執事は落ち着いた返事をする。

「それでその男とアンジェはただの友人なのか? 俺の目には……、友人には見えないのだが?」

 少し言葉に詰まる場面があった。侯爵は自らの口でその言葉を口にしたくは無かったのだろう。

「調査の限りではアンジェ様とそういう関係であったという話は無かったのですが……」

「なんだ、はっきりと言ってみろ」

「はい、……先ほども申し上げた通り、お二方は友人であるという証言は得られましたが、どうやら家族ぐるみに付き合いであったようで――――」

 アトランティカ家とコウサカ家は両親共に同じ職場の同僚であったようだ。それもあの事故が起きた時、発電所員として勤務しており全員が被災している。アンジェの両親は侯爵も知っている通り表向きは行方不明だが裏で両親共に重要参考人として拘留されている。またソウスケ・コウサカの両親も同様である。

「それでそのコウサカとやらは生きているのか?」

「侯爵殿、以前の話になりますがアンジェ様を発見した時の情報筋ですが、同じ美咲市でソウスケ・コウサカも見つけているようです」

「――――何だと!!」

「一体どういうことなんだ?」

 侯爵は大声を上げた後で頭を抱える。

「偶然か必然かはわかりませんが、ようやくですがアンジェ様の所在が掴めました」

「そうか、報告しろ」

「はい、現在、アンジェ様は一年前よりLEGND月代高等学園へ通われておりまして、守護科と呼ばれている特殊な学科に所属しておられます」

「守護科とは何だ?」

「詳しい調査はこれからとなりますが、学園の案内をみた限りでありますと、一流のガードを育成するエリート学科となっておりまして、去年に新設されたばかりだそうです」

「なるほど、エリートか、……私の嫁には相応しい響きだな。となるとアンジェは一期生になるのか?」

「そうなります。現在、どこに住んでおられるのか調査中でありまして、校門前にて張り込みを行いましたが、今のところはこちらで確認はできていない状況になります」

「そうか、ならば確認出来次第、直ぐに私に連絡しろ。花束で持って向かえに行く」

「承知しました」

「それで現地での準備は整っているのか?」

「お車の話でございますか?」

「ああ、そうだ」

「はい、こちらで使われている車と同型の車両を手配いたしました。数日後には納車できる見込みです」

「色は赤だろうな?」

「勿論でございます」

「そうか、それでは引き続き調査を頼むぞ」

「承知いたしました」

「一つ言い忘れていた。拘留中のアトランティカ家の人間とは面会できるのか?」

「それは何とも言えませんが……」

「そちらも調査してくれ?」

「承知いたしましたが、何をなされるおつもりで?」

「まあ見ていればわかるさ。あれを利用しない手はないだろう。カードは多い事に越したことはないだろうしな」

 侯爵は不敵な笑みを浮かべる。

 プライベートジェットは瞬く間に雲を付き抜け亜音速で日本へと向かった。

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