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GENERATION☆DESTRUCTION!!  作者: Yuki乃
EP17 New Semester
143/277

New Semester(1)

 今日から俺たちは新学期を迎える。LEGEND月代高等学園の二年守護科としてのスタートを切る。

 ホームルームで紹介された転入生の東條羽珠明がビシッとイリスを指差した。

「私はLEGEND月宮高等学園 東京分校の守護科からの転入になるわ。話は少し聞いているかもしれないけど、月代瑠亜の代わりの護衛役として急遽こっちに来ることになったわ。これからよろしくお願いするわね」

 なるほど、月代の代わりがこの女だったというわけか……。正直なところ性格が気に入らないが時間が経てば慣れるだろう。

 この女の声が煩かったのかニルが眠たい目を擦りながら顔を上げる。

「それでは席に着いてください」

 東條は俺たちの横の机に少し間を空けて座る。

「話に聞いている人もいるかとは思いますが、二年守護科はシュトラーゼさんがいますが、今日は特別任務のため欠席です」

 シュトラーゼってユークリッドのことか、特別任務で欠席ということはしばらくは顔を出さないのだろう。

「これでホームルームを終わりにしたいと思いますが皆さんから何かありますか?」

「この後は何をすればいいですか?」

 リアが手を挙げる。

「そうですね、この後は時間になるまで自習とします。僕は時間になるまで教員室にしますので」

 そういい残し教室を去る。

 先生がいなくなると直ぐにリアはオーバーホールを再開する。

「それじゃあ改めて宜しくお願いするわ、小宇坂くん」

 一応顔を名前は一致するようで自己紹介の必要はないようだ。

「ああ、よろしく」

「それじゃあ早速だけど、全員の力量を量るために一対一で模擬戦でもしましょうか?」

 それは流石に気が早いだろう。

「東條とか言ったか? とりあえず落ち着いて席に座ったらどうだ?」

「羽珠明でいいわよ、もしくは羽珠明ちゃん」

「断る」

 俺が断言すると東條は少し不機嫌になり教卓上に腰掛けた。

「まあまあ二人共行き成り喧嘩腰は良くないと思うけど」

 少し寝ぼけた顔のニルが遠くから割って入る。

「私は別に喧嘩するつもりはないけど?」

「俺もそういう意図は無い」

 ニルは俺たちを見比べて少しだけため息をつく。

「そうだ、小宇坂くんは東京に居た時かなり有名人だったよね?」

「有名ってほどか?」

「私の居た分校では国際科なのに前衛科と張り合う奴がいるって話題になってたわ。だからどれくらいに実力なのか知りたかったのよ」

 国際科だってやれば最低限は動けるはずだ。ニルを少し見ながら思う。

「随分余裕があるが東條はそんなに自分の腕に自信があるようだな」

「まあね。だって私は入学から守護科のエリートだからね。それに東京分校配属ってことはどういうことかわかるでしょ?」

「どういうこと?」

 アイリスは小さく呟く。

「LEGEND月宮高等学園東京分校は保安局の本庁の近くにある言わば最前線なの、だから入学時の成績は優秀な人から順に分校の配属になるのよ」

 東京分校は保安局への牽制的な意味合いが強いが時に戦闘になることもあり非常に危険な場所だ。分校と言えば都合が良いが実際は前線基地みたいなもので授業自体はそこでは殆ど行なわれていない。授業と言えば年に数回だけ学園の合同演習に参加するくらいのものだろう。そのため東條とは面識はない。

「実戦経験は豊富そうだな」

「それはそうよ、毎日が実戦みたなものだからね」

「今回月代の代わりとして抜擢されたのもそれが理由か?」

「そうに決まってるわ、……と言いたいところだけど、そうではないわ」

「?」

 俺は少し首を傾げた。

「東京分校にそのオファーが来た時に偶々月宮への異動願いを出していたことが重なったからなの、だから単純な実力で選ばれた訳ではないわ」

 東京から態々こっちへ異動願いとは……、ちなみにこれはこの学園では別に珍しいことではない。守護科は特にそうだが入学時点でLEGEND系列の会社に就職することがほぼ決まっているため最初から非常勤のような扱いとなっている。

「どうして北海道に何て来ようと思ったんだ?」

「それは乙女の秘密よ」

「なんだそれ」

 別に何となく聞いただけだが、秘密にするようなことだとすると何か機密に関わる理由かそれとも大した理由ではないかどちらかだろう。

「そうだ、そうだ、守護科出身ってことはいっぱい貰ってるんでしょ?」

 ニルが指でお金のジェスチャーをする。はしたないから止めて欲しい。

「もちろん貰ってるわ。今度私の奢りでどっか行きましょうか?」

「やったね」

 ニルは喜んでいるが、俺は苦笑いだ。

 しばらくすると担任が戻ってきてばらばらと不揃いに体育館へと向かったのだった。

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