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GENERATION☆DESTRUCTION!!  作者: Yuki乃
EP16 Transfer Students are GUARDIANS
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Transfer Students are GUARDIANS(2)

 話しこんでいるうちに学園前まで到着する。

 学園の校門前では生徒会及び風紀委員会で挨拶運動らしきことをやっている。入学式に合わせて至る所に案内の掲示がされており、新入生らしき姿もチラホラと見える。

 一般科とかだとクラス替えで盛り上がったりもするのだろうが、生憎俺たちにそういうのはない。ただ案内掲示に守護科の文字があったので一応確認することにした。

 掲示の内容は次の通りだ。

 今年度より二年守護科の教室を大講堂へ、旧守護科の教室を一年守護科へ割り当てることとする。

「どうやら旧校舎行きは回避したみたいだな」

「大講堂って一番大きい部屋だよ」

 どうやら普段滅多に利用しない大講堂を一時的に借用し利用するようだった。

 ちなみに三年生以降の守護科の教室はまだない。

 教室というか大講堂へはアイリスに案内してもらい中へ入るとあまりに広さに驚く。構造的には大学なんかでよく見かける円弧状で段々畑みたいに座席が広がっているタイプで天井の高さ的に二階分は使用している。

「ここを五、六人で利用するのか……」

「人が少ない分さらに広く感じるね」

「ヤッホー、みんな!!」

 先に着いていたリアが駆け寄って来る。

「リア、朝の挨拶はおはようだろ?」

「もう、朝から説教? それじゃあ改めて……おはよう、みんな!!」

「おはよう」

 相変わらず朝からテンションが高い。

「……ニルの姿が見えないが?」

「ニルならあそこだよ」

 こんなに広い講堂の一番奥の窓際で突っ伏している奴が一人いる。

「初日から寝不足か?」

「いや、いつものことでしょ」

「車に乗った時はハイテンションなのにな」

 そういや朝登校してニルが元気だったところを向こうに居た時も一度と見たことが無かった。

「ニルさんは朝が苦手なの?」

「そうらしいな、あまり気にした事無かったけど」

「リアさんは朝から銃のお手入れですか?」

 アイリスが長机の上にドンと広げられたDenel NTW-20の部品を見て尋ねる。

Bien(ビアン) sur(シュール)

「び、びあん、しゅーるですか?」

「あれ、アイリスちゃんフランス語通じないんだっけ?」

「ごめんなさい、記憶喪失で覚えてないんです」

「アイリスがフランス人という認識は正しいよ。日本語は覚えていて、母国語であるフランス語の方を忘れるってのは珍しいパターンらしい」

 アイリスから聞いた話だが医師の診察の際に非常に珍しいというか、今までに前例がないらしく困惑していたそうだ。ちなみにアイリスはエピソード記憶を失っている。つまり思い出とか経験とかがそれに当たる。そのため言語を失うとは考えにくいからだ。

 今のふっと思ったことなのだが、当時のアイリスはこんなに流調に日本語を喋れてはいなかったような気がする。

Bien(ビアン) sur(シュール)は英語圏で言うところのOKみたいな意味だよ」

「そうなんですね。覚えておきます」

「お前は朝っぱらから店広げ過ぎだろ、授業前までに終わるとは到底思えん」

「ソウスケ、その考えはノン、終わらせるつもりはないのよ。というか今日は始業式だけじゃなかったっけ?」

 そういやそうだったような気がする。

「こんなに広いわけだし、置いといても怒られないでしょ」

「自由な奴だな」

 俺はオーバーホールなんて見慣れているが、アイリスは気になったようでリアについて行き見学している。

 俺とイリスは中央の一番前に陣取る。上着を脱いで横の椅子に置く。イリスに「外套脱げば?」と言うと少し考えて「わかりました」という返事が返ってきた。

二段になっているホワイトボードに丁寧な文字で『始業式:10:00~』と低い位置に書かれているだけだ。

「十時って遅くないか?」

 これなら九時半に出ても余裕で間に合う。

「入学式を先に行なうため体育館が十時まで空かないそうです」

 なぜか知ってるイリスがシレッとした顔で喋りだす。

「何で知ってんだ?」

「?」

 イリスは当然ですがみたいな顔で首を傾げる。相変わらずの情報収集能力に感心しつつも前年度最後の授業の時にやる気のない臨時講師から配布物を貰ったような気がしてきた。

 始業式まではまだ一時間以上あり流石にやることがないとニルみたいになりそうだ。イリスもすることがないようで、俺の方をずっと見つめたまま足をぷらんぷらんさせている。

 少しボーっとしながら一時間以内で道具無しでできそうなトレーニングを考えていると講堂の扉から一人の少女が入って来るのが見える。

 その人についてよくは知らないが見たことのある少女だった。

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