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GENERATION☆DESTRUCTION!!  作者: Yuki乃
EP16 Transfer Students are GUARDIANS
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Transfer Students are GUARDIANS(1)

 春休みは足早に過ぎ四月に入るが外に出るにも薄いジャンバー無しでは肌寒く、北海道の春の訪れはまだ遠い。東京では考えられないかもしれないが、まだ路肩に雪が残っており、時折雪が降ることもある。ニルはタイヤ交換に張り切っていたが、時期尚早であろうと忠告はした。

 今日が二年生の新学期初日、リアはニルの車で通勤するらしく先に出て行ってしまったようで、俺はイリスとのんびり支度をしている最中だ。高が十分余りの通学にハイオクを垂れ流すとは金の浪費もいいところだが、『どこに行くにも愛車を使う』それがニルのポリシーならば誰も止めるまい。

 天気予報は晴れのち曇り、だが最高気温は五度とかなり寒い。俺は学園指定の防弾コートを着る。イリスはいつもの防弾外套を着ているので問題だろう。

 部屋を出ると駐車場には偶然にも登校しようとしているアイリスの姿が……、というのは嘘で昨日のうちにLINEで連絡をしており俺たちを持っている。

 早足で階段を下りる。

 アイリスは黒のダッフルコートとマフラー、それに手袋と防寒はバッチリだ。

「おはよう、アイリス」

「おはよう、宗助くん、イリスちゃん」

「おはよう、ございます」

 俺は良くできましたと言わんばかりに少しだけイリスの頭を撫でた。

「それにしても随分早いね」

 待ち合わせの時間は八時十分、俺は余裕を見て五分前には出たのだが、アイリスに先を越されてしまっていた。

「十分前行動だからね」

「その心構えはいいが風邪を引いたら元も子もないからな」

「大丈夫だよ、コート着てるから」

「いやスカートの下の話だよ」

「宗助くん、女には絶対に引けないことがあるんだよ」

 女というものはどんなに寒くても意地で素足のままの人もいるのだとか……。ニーソックスを履いているとは言っても露出は多く本当に寒そうだ。そんなことを言うならイリスも生足なのだが、こちらはタイツなど持っていなかっただけで事情が異なる。

「そういえば三日前くらいだったかな、ちょっと用事があって学園に行ったんだけど、守護科に転入生が来るみたいだよ」

 この時期の定番と言えよう。閑古鳥が鳴いているようなガラガラの教室だ。もう少しくらい人数が増えても良い所だ。

「そうなのか?」

「そうみたい。それと今年から守護科が学年別になるみたいだけど、教室とかどうするんだろうね」

 今年から守護科の新入生を募集しているようで定員は三十人だが定員割れするだろうと勝手に予測している。俺たちは今日から二年守護科になるのだが、生徒数は俺、アイリス、イリス、ニア、リア、それに加えて金髪女の計五人、もっと狭い場所に押し込められることもありえそうだ。

「空き教室とかなさそうだもんな」

 校舎は計三つの棟に分かれて各三階建だが、学科の数を考えると余っているこということは考えにくい。

「旧校舎とかになったら嫌だよね」

「行った事はないが既に響きで嫌になるな」

 旧校舎があることを初めて知るが、今よりもグレードが下がるのは勘弁してもらいたい。

「そういやアイリス以外にもう一人居たと思うけど、あいつは何者なんだ?」

「あれ? 宗助くん、会ったことあるの?」

「まあ、色々あってな、あの金髪名乗りやがらなかったんだ」

「そうなんだ。ユークリッドさんってちょっと言い方が遠回りなんだよ」

 確かに回りくどい奴だった。それに意味深なことばかり言うしとにかく変な奴であることは間違いない。

「でも占いみたいなことは得意で私も色々占ってもらったけど、外れたことがないんだよね」

「そんなに当たるのか?」

「うん、例えば私のことを知っている人と運命的な出会いをするとか、模擬戦の勝敗とか、後は明日の午後から雨が降るとかかな?」

 運命的な出会いは俺のことだろう。確かに予言めいたことばかり言っていたような気がする。

「そこまで的中するならあいつの言ったこと信じるに値するのかな?」

「占いは占いだから、そこはその人の自由だよ」

「確かに……」

 占いとか胡散臭いものは一切信じない性質なのだが少しだけ真に受けて見ることにするか……。

「……ユークリッドですか?」

 さっきまで無言だったイリスが口を開く。

「ユークリッドさんのことイリスちゃんも知っているの?」

「それはユークリッド・フォン・シュトラーゼのことですか?」

「そうだよ、よく知っているね」

「兄さんにも言っていませんでしたが、私もあったことがありますよ」

「いつ?」

 この短期間でイリスにまで接触しているとは、一体どんな奴なのか中身が気になるところだ。いつなのかは一つだけ思い当たるタイミングはある。

「街で兄さんと逸れてしまった時です」

 やはりそうか、あの時イリスにココアを買ってあげた人がいることいることはわかっていたが、イリスから話して来なかったので俺からはその話題には触れなかった。

「それじゃあみんな知り合いなんだね」

 知り合いと言ってもコンビニに行くと毎日働いているバイトの店員くらいの関係であろう。

「ユークリッドさんは特別任務で忙しいから年に数回しか教室に顔を出さないけどね」

 そんなレアキャラにここに来て早々出会うとは運がいいのか悪いのか……。なんとも言えないところだがこれでしばらくは会うこともないだろう。

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