After Dating(9)
~Council Side~
「002(ゼロゼロツー)の不審な行動に加え、未確認敵勢力による事件が市内で相次いで発生しています。我が校の生徒数人も被害に会っている模様です」
緊急招集された生徒会では他の委員会の委員長および副委員長総出での大会議となっていた。春休み休業期間中に召集されるのは異例のことで少々ざわついている。
「なぜ002(ゼロゼロツー)を野放しにしているんだ?」
「さっさと捕まえれば良いものを……、理事会は何をやってるんだ!!」
「お静かに、002(ゼロゼロツー)については引き続き監視をつけており、今のところ実害はありません。問題は未確認敵勢力にあります」
椎名会長が場を沈める。
「未確認と言うが、何か情報はないのか、これでは対策が打てないぞ!!」
「それについては風紀委員会の風間から報告があります」
風間が立ち上がる。
「風紀の風間だ。今回の件、被害者は確認できるだけで二十三人、しかしどれも軽症で済んでおり、重大な被害は今のところ確認されてない。犯人は女性で大日本帝国の軍服を見に纏っており、能力者であることは確認されているが、何の能力者かは特定できていない。報告は以上だ」
環境委員会が手を上げる。
「特定できていないとはどういうことですか? 能力と使用しているところを見ている者もいるのだろ?」
「その通りだが、その被害者の証言にかなりの食い違いがあり、一つの結論に至れない状況にある。能力については引き続き調査中とさせてもらう」
配られた資料を見ていた監査委員会副委員長の中島が手を挙げる。
「被害者のリストの中に先月末から本校の守護科で預かっている月宮の生徒が狙われているようですが、何かあっては意味がないのではないですか?」
「その件はこちらでも対策を打つための検討に入っている」
監査委員会副委員長の中島が手を挙げる。
「護衛の月代瑠亜はどうなっている。その場には居なかったのか?」
風紀委員長の風間が手を挙げる。
「月代は現在任務中の負傷で入院中だ。今護衛はいない」
その風間の言葉に会議室がざわつく。
「今直ぐに護衛をつけるべきだ」
そのような意見が相次ぐ。
生徒会長の椎名が場を収めるため立ち上がる。
「静粛に、この件については風紀および生徒会、理事会にて協議します」
軍事委員会委員長代理の九条が手を上げる。
「この件、理事会はどう見ている?」
生徒会長の椎名が手を挙げる。
「理事会からのコメントはまだありません」
軍事委員会委員長代理の九条が手を上げる。
「新学期へ向けて二週間と無いが一般生徒に被害が及ばないようにするための対策は準備しているのか?」
生徒会長の椎名が手を挙げる。
「準備中の作戦はありますが、即時対応はできません。この件も理事会で協議します」
この後も風紀委員会および生徒会を非難するような質問が相次いだが、会長は全て「理事会と協議する」という言葉で片付ける強権っぷりを発揮し、会議は一向に進展せずに終了する。
その後、風紀委員会と生徒会が会議室に残る。
「さて本題は護衛役に誰を付けるかということだけど……」
「軍事委員会に選任をまかせたのが間違いだったようだが、こちらも専属で割ける人材はいない」
月代瑠亜の選任は軍事委員会からの申し出のよるもので、生徒会及び風紀委員会は人材がおらず、頼らざるを得なかったという状況だった。つまりは振り出しに戻ったという訳だ。
「こちらも回せる人材はいないわ、理事会から回答を待ってからにする?」
「そんなことをしていては対応が後手に回る。もう既に後手に回っているというのに」
風間は頭を抱える。
「それじゃあ、外部より護衛役を一人つけるというのはどう?」
「姉妹校に聞いてみよう。だがその間の期間が気になる。一時的な護衛にアトランティカを使うのはどうだ?」
「アトランティカって守護科の子だったかしら?」
「そうだ。実践経験は乏しいが能力的には俺たちとは段違いだ」
「そうね、それも含めて理事会には私から話しておくわ」
「まかせる」
こうして話は纏まったのだ。