Remember(11)
そして現在、高校一年生の終わり、後一、二か月で二年生になる時期である。
LEGEND月宮高等学園は軍の敷地内にあるという特性のおかげで実戦訓練に向いた練習設備が充実している。何せ本職の軍人も利用するからだ。その中でも特に射撃練習施設と演習施設は凄かった。
この学園には戦闘技術を習得するための学校なのだが、日本の法律上、普通は銃刀法違反と該当する銃刀が許可されている。
これは日本の民間軍事法に基づくライセンス制度に由来する。
簡単に言えばライセンス料を支払えば誰でも銃刀を持ち歩けるのだ。勿論、ライセンスの取得資格が存在し、それに適合するものにのみしか発行はされない。
この制度で誤解は生じやすい部分が一つある。
それはライセンスが使用者ではなく、武器にそれぞれ付与されるという点だ。つまりは武器を複数持ち歩く場合、その数だけライセンスを登録する必要があるということだ。
多く持てばもつだけ所持ライセンス料が取られるという何ともあくどい制度だ。だが、そのおかげで一度ライセンスを取得すると誰に譲渡しても使用を続けられるという利点を生み出している。なんとも危うい抜け目だが、法改正は反対派多く全く進んでいない。
その理由は様々あるが、PMC側としては他人の武器を使用できないことは致命的であり、業界が反対しているということ、それに加えて改正により、もしも人に付与することとなれば税収が九割近く減ることになるらしく、政府としても良い稼ぎ種を自ら潰せない状況にあるらしい。
そしてこのライセンス認証済みの武器は学園で容易に手に入る。よって俺の拳銃はそこで入学時に調達したものになる。
大体の新入生が基本的にそこから選ぶことになるが、俺は双剣の持ち込みだったため、例外だったが入学前に申請依頼を出し、LEGENDが企業ライセンスで取得してもらったため、特に問題は発生しなかった。
ここで持ち歩けることと使用できることが異なるというまた厄介なことが発生するのだ。
持ち歩くのには所持ライセンスを取得している武器であればいいのだが、それを使用する場合は更に使用ライセンスが必要になるのだ。
まさに二重課税だが、民間軍事法にはそう定められている。
そのため、更に使用ライセンスを取得する必要があるが、これは学園のカリキュラムで取得していくことになる。
銃で言えば、拳銃、小銃、散弾銃、狙撃銃、対物小銃と五種類のライセンスに分けられ、更に一種、二種と細分化されている。
また、銃には種類ごとに一度に所持可能な弾薬の数が弾種毎に決まっているのも覚えておくべきポイントだ。
刀やナイフなどの刃物をどうように小型、中型、大型、特殊の四種類かつ一種、二種と細分化されている。
校則上、ハンドガンを最低でも一つは持っておかなければいけなかったため、俺は有り合わせとして仕方なく校内にあるガンショップでSIG SAUER P220を選んだ。
仕様は9mmパラベラム弾で装弾数は九発と微妙なところだが、予備弾倉が二つ持てるため弾数としては変わらない。
基本的には使用しないが、射撃講習は受けなければならないらしい。
剣術も最初は素人同然だったのだが、俺の母方の祖母の家は、代々剣術を教えている道場だったので、そこで覚えることができた。
だが、道場をやっているとは言っても些細なものである。
本元は北海道に移動してしまったので、こちらにあるのはその後を分家の人が継いだものらしいからだ。
その本家の人が同じ学園の中等部に通っており、俺の師匠として今まで剣術指南のお世話になっている。
ちなみに、剣術の流派は主に四つあり、それらは四大流派と呼ばれており、朱雀流、天璋流、鳳凰流、千手流がある。
その中でも俺の道場で教えている流派は天璋流から来ている派生流派だが、我流としか名乗らず、初代当主である夏川の苗字を取った夏川流とはしていない。
理由は様々あるだろうが、俺が聞いた話としては『未完成の剣術』であるということらしい。
俺の感触として十分完成形であるように思えるが、プロ意識というものだろうか。
基礎を夏川の道場で学んだ俺は、朱雀流と鳳凰流で剣術の型を学び今に至る。
双剣は扱いが非常に難しく試行錯誤を繰り返して、何とか形になるところまでは成長することができた。
こうして俺の剣術は磨かれて行った。
そしてあの少女の言った通り、気が付いた時にはシルバーソードの二刀流銀幕の双剣小宇坂宗助と呼ばれるようになっていた。