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GENERATION☆DESTRUCTION!!  作者: Yuki乃
EP12 First Session
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First Session(8)

 授業時間を早めに切り上げて、教室に戻った俺たちは窓際の蒸気暖房で暖をとった後で、少し早めに体育館へ向かった。

 この学園の体育館はとても大きく、五百人の生徒も余裕で収容できる。また前方にはステージ、二階には広大な体育館を見渡せることが可能なスペースが全周に確保されている。

 そこに着いたころには、既に教師陣及び演習の運営として生徒会の役員と執行部が準備中だった。

 邪魔にならないように壁際で待っているとそれに気づいた椎名会長がこちらにやって来た。

「春休みまで一日しかないのに登校するとは随分律儀なんだな、小宇坂くんは」

「律儀という訳ではないですよ、ちょっと用事があったので出ただけです」

「ふ~ん」

 会長は俺たち三人をさらっと見て「なるほどね」と頷いた。

 何がなるほどなのかはよくわからないが、勝手に理解されたようだ。

「宗助くんは会長さんと知り合いなんだね」

「転入手続きの関係で少しな」

 それからしばらくして、生徒たちが体育館に集合し始める。

 今回の演習は、他学年の生徒との実技訓練により見識を広めることや生徒達の技術向上を目的とした、体育館で毎年学年末に行われる一から三年生を対象とした二日間に渡り行われる合同演習である。強襲科、狙撃科、工学科、諜報科、守護科の五学科は基本的に参加で、それ以外の科からは希望者のみの参加となっている。そのため参加者は、三百人程度になる見込みだ。

 既に壇上側にあるホワイトボードに対戦表が張り出されている。今回の対戦表は普段相手にしない他学科の生徒同士の対戦となるような調整が行われており、一人当たり大体二戦程度実施できるようになっており、すでに対戦ルールも張り出されている。それを一通り確認し終えると、この演習で使用する武器を探しに行っていたアイリスがやってきた。

「貸し出しの模造品はあそこみたいだよ」

 体育館の隅に模造の日本刀、太刀、西洋刀、ナイフなどが大量に置いてある。珍しいものでは槍や篭手などもある。

「結構数があるな」

「兄さんはソードを二本使いますか?」

「そうしてもいいが、一対一なら日本刀でもいいだろう」

「宗助くんは日本刀も使えるんだね」

「使えるってほどじゃないけど、大抵の刃物は使えるよ」

「イリスはどうするんだ?」

 普段から能力の一点張りなことが多く、近距離戦闘には向かない。ただ出るからには何か秘策があるのだろう。

「小太刀を使おうかと思います。兄さん」

「太刀なんか使えるのか?」

 そもそも刃物を使っているところを見たことがない。

「使ったことはありませんが、データとして戦術はデフォルトでインプットされていますので問題ありません。兄さん」

「……無茶はするなよ」

「了解しました、兄さん」

 不安もあるが、イリスならどうにかするだろう。イリス自身も九八式対徹甲弾防外套に身を包み気合は十分だ。

 授業開始のチャイムが鳴るとスピーカーとマイクを持った会長が壇上に上がった。

 ――――キ――ン!!と少しハウリングする。

「それでは学年末総合演習を始める。時間がないので手短にルールを説明する。対戦形式は一対一、武器はこちらで許可したもののみを使用すること、フィールドは十メートル×十メートルの正方形、勝敗の決定はジャッジにより行なうものとする。勝利条件は相手に有効な攻撃と認められた場合またはフィールド外に相手を押し出した場合に勝ちとする。最後に能力者については相手に直接干渉しない能力のみ許可する。説明は以上、これよりマッチングに入る。全員体育館端によって待機」

 さらに詳しく言えば「相手に有効な攻撃」とあるが、急所を狙ってはいけないルールになっており、攻撃を一撃でも食らえばそこで負けとなるようだ。ただし、防弾ベストなどを装着してる場合は装甲部分への命中は有効打とはならない。よってイリスの九八式対徹甲弾防外套は意味のあるものとなっている。会長は話していなかったが、試合には制限時間が設けられており、三分以上経過した場合、引き分けとなる。

 体育館を四つに区切って八人同時で行なうようで、ジャッジは教師陣及び生徒会により行なわれる。

「まずはデモとして三年狙撃科、寺島慎二(てらしましんじ)対三年諜報科、真道正樹(しんどうまさき)の試合を行なう」

 その瞬間会場がざわつく。

 それもそのはずだ。寺島慎二は元生徒会会長で真道正樹は禁書管理委員会の元委員長なのだから……。寺島は女子人気が高かったはずで、キャーキャー騒いでいる奴も少なくない。真道も硬派で一部の女子に人気らしい。これは全てアイリス情報である。

この人選ができるのは椎名会長の人徳だろうか?

 二人はフィールドに上がりポジションにつく。

「久しぶりだけど、腕は鈍ってないかい?」

 寺島はラフに問いかける。握ってるのは西洋刀の二本持ち、俺と似た系統なのだろうか?

「鈍ってはいないだろうけど、本気を出せそうな相手でよかったぜ」

 対する真道は刀で、余裕の表情で笑いかけた。

「両者、準備はいいですね?」

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