第02話
・・・・・。
・・・・・・。
「うっ・・。」
体が重い。目を開ける。頬に石造りの冷たい感触が伝わる。
目をしばたいていると、ぼやけた視界が徐々にはっきりとしてきた。
「ここは・・・。」
牢屋のようだ。なぜかっていうと、目の前には鉄格子が、左右と後方には石造りの壁があり、テレビや映画なんかで見る牢屋にそっくりだからだ。
壁はかすかに緑に鈍く光っており、牢屋はカビ臭い。
宮人は座った状態で壁から生えた手錠により手首は固定され、動かす事もほとんど出来ない。
それにひどく静かで、宮人が手錠をガチャガチャさせる音だけが響いている。
「お嬢ちゃん、あんまり動くもんじゃねーよ。」
突然乾いた男の声が響き、宮人は体を硬直させた。驚きのあまり声すら上げられない。
「あっはっは!驚かしてすまない。だがあまり動かない方が身のためだぞ。」
乾いた声の主は宮人の牢屋の反対側にいるようだ。
牢屋は薄暗く、良く見えないが、声からはある程度歳をとっているように聞こえるが、定かではない。
「で、お嬢ちゃんは一体何をやらかしたんだ?」
一瞬誰の事を言っているのかわからなかった。
数秒の沈黙
「えっ!あっ!!」
宮人は声に驚き、そして理解した。
自分の声、それだけでなく体も、自分が武内宮人という男の子であると意識していること以外、全て女の子になってしまったという事に。
改めて全身を観察してみる。
体は上下ともに黒いだぶついたTシャツとハーフパンツみたいなものを着ているが、そこから飛び出る手足は白くて細くて、とても宮人のものではない。日焼けしてたはずだし。
鏡がないので顔はよくわからないが、髪の毛が肩より長い。
視線を下に向ければゆとりのある服とはいえ、胸部に2つのアレがある。
股間の感触も今一つ物足りない。
一体全体何なんだ。これが夢ではないのだろうか。
もしまだ夢の中ならほっぺたをつねっ・・つねられん!!いや、それよりも酷い傷が、・・あれ、な・・いぞ?ない。
手首には手錠がガッチリとはまっているので見える範囲は限られているが、傷はどこにも見当たらなかった。
あの爆風を受けた時は物凄く熱かったし、破片が吹き飛ばされただろうし、火傷や切り傷、吹き飛ばされた衝撃で打撲なんかが出来てもおかしくないはずだ。
傷はどこへいったんだろうか?そしてなぜ僕は女の体になってしまったんだろうか?
よく、わからない。
謎が深まる、と言うより現状把握が何もできないまま、宮人は容量オーバーよろしくショートして、ガクリと頭を落とした。
再び意識が途切れる。
・・・。
・・・・。
不自然な表現、誤字、脱字はその都度指摘して下さると助かります。