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瞳を合わせて  作者: はろまつ
第1部
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第01話

まるでバチっと電気が流れるような感覚だった。

武内宮人(たけうちみやと)は自室の布団の上で目が覚めた。部屋は暗く、静かだ。なんてことはない。普通の夜である。

欠伸を一つして、宮人は布団の中で寝返りを打った。いつもよりフカフカしている気がする。

そういえば、母さんが布団干したって言ってたっけか。

そんなことを考えながら宮人はまどろみのなかに落ちて行った。


今思えば、この時気付くべきだったんだ。まるで高級ホテルのスイートルームで使われているのではと思われるような異様にフカフカな布団の事や、窓を照らす街灯の明かりが全く無いことに。異変が起こっている事に。


しかし宮人は気付かない。

睡眠第一優先なのだ。



・・・。

・・・・。



朝日が窓から差し込み、小鳥のさえずりで目が覚めた。

今は何時だろう。夏休みだからって夜更かしをし過ぎたかな。

などと考えながら、宮人は毛布に包まったまま、体を捻って目覚まし時計に手を伸ばした・・・が、ない。それどろこかバランスを崩し、ベットから頭を下にして落っこちた。

・・ん?ベット?いつから俺ん家は布団からベットになったんだ?おかしい、何かが変だ。


おかしな事はそれだけではなかった。


「いたた・・うわっ!」


思わず飛び上がる。自分の声がおかしいのだ。

風邪で喉がやられてガラガラ声になったとか、そういう話じゃなかった。不自然に高い声が出ている。

ヘリウムガスでも吸ったのかと言う思考が頭を過るが、起きぬけにそんな事になる訳がない。

第一、そこまで不自然な高さではないのだ。


「・・!?!!?」


思考が深い所へ行くよりも前に、目の前の光景で宮人の寝ぼけまなこが大きく見開かれた。

頭をぶつけた痛みも忘れ、立ち上がって部屋を見回した。

ここは・・俺の部屋じゃ・・ない。

テレビもなければ、扇風機もない、エアコンもない。

昨日まで宿題をしていた勉強机もないし、大好きなスポーツチームのポスターや壁紙なんかも何もかもがなくなっている。

木目調に出来ているであろう部屋には、先ほどまで宮人が寝ていたベット、蹴り飛ばしたらすぐバラけそうなボロッちい机、等身大が写せるくらいの鏡と、あとは壁にかかった絵画だけだ。机や床には丸まった古紙や色とりどりの羽根などが散らばっている。

なんなんだこれは。俺は悪い夢でも見ているのだろうか。宮人はベットのわきにある円形の窓から外を見渡した。そこから見える景色はいつもの舗装された道路だったり、向かいのマンションからゴミを捨てている近所のおばさんが出てきたり、などではなく、ただ木々の生い茂る森だった。

夏のギラついた日差しもなく、蝉の鳴き声も聞こえない。


宮人の頭の中は埋め尽くされていく。

意味がわからない。

ここはどこなんだ?

何が起こっているのだろうか?


宮人急に怖くなった。ありもしないことが実際に起きているのだ。


宮人は部屋を飛び出した。

階段を2段飛ばしで1階へ駆け降りた。もしかしたら、もしかしたらいるかもしれない。そう思って。

やはりと言うべきか、1階には誰もいなかった。


「父さん!母さん!ユイ・・!」


部屋には誰もおらず、返事はどこからも返って来ない。

宮人の口から甲高い声が虚しく部屋に響くだけだった。


宮人はしばらくその場にへたりこみ、呆然としていた。


何が起こっているんだ?ここの家は誰の家?ドッキリ?それとも拉致?犯罪?今、西暦何年?未来?過去?


発生した現状では答えられるわけがない疑問で頭の中がグチャグャだ。まさにわけわかめ。


そうしていると突然、重たいブォーという笛のような音が聞こえた。


それと同時に、見たところ外へ出られるであろうドアが、ガタガタッと揺れる。

そして一瞬ののち、それは爆発した。

宮人は爆風に吹き飛ばされ壁に背中を強く打ち付けられた。

爆発がおさまり、足音がいくつも聞こえ、そのうちの一つが宮人の前で止まった。痛みと熱で薄れゆく意識の中、霞んだ瞳にその姿は焼き付き、耳にはその声がこびりついた。

甲冑姿の男から発っせられた低く、重い声を。


「この、魔女風情めが。」


宮人はそのまま意識を失った・・。


・・・。

・・・・。

不自然な表現、誤字、脱字はその都度指摘して下さると助かります。

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