↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
∞クロニクル・アルディア∞ ~101年目の未来~  作者: 空乃真芽
第六章 繰り返された百年編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
123/138

第百二十二話 倒さない剣

 訓練場に。


 三つの人形が置かれた。


 一つは黒。


 一つは白。


 最後の一つは。


 半分だけ白い。


「どれを斬る。」


 ガレスが尋ねる。


「白いもの。」


 トーマが答えた。


 鞘が肩へ飛んだ。


「痛っ。」


「見た目で決めるな。」


     ◇


 リディアが人形へ魔力を流す。


 黒い人形の中だけに。


 強い光が集まった。


 白い人形には何もない。


 半分白い人形からは。


 細い糸が地面へ伸びている。


「止めるべきものを選んでください。」


 セレスが水を広げる。


 光の流れが見えた。


「黒は自分で魔力を集めてる。」


「白は止まってるだけだ。」


「半分のは、外とつながってます。」


 三人の声が重なる。


 レインは。


 半分白い人形へ向かった。


 斬るのは人形ではない。


 地面へ続く糸。


 刃が触れる直前。


 糸の位置が変わった。


     ◇


「動くのかよ。」


 トーマの風が追う。


 糸は風へ絡み。


 今度はトーマの腕へ伸びた。


「止めろ!」


 ロイドの盾が遮る。


 糸が盾の縁を回る。


 ミリアの光が。


 トーマの腕を包んだ。


「触れていません。でも近いです。」


 レインは剣を引いた。


 追えば。


 糸は仲間の方へ逃げる。


 なら。


 逃げる先を減らす。


「セレス、地面全部じゃなくて三方だけ。」


 水が人形を囲む。


 一か所だけを空ける。


「トーマ。そこへ弱く。」


 風が。


 糸を開いた場所へ押した。


 ロイドの盾が。


 仲間との間を閉じる。


 糸は一本の道しか選べない。


 レインの剣が。


 その先で待っていた。


     ◇


 光が切れる。


 半分白い人形が倒れた。


 斬った跡はない。


「もう一度。」


 ガレスが言う。


「できたのに?」


 トーマが抗議する。


「次も同じ動きをすると思うな。」


 二度目。


 糸は二本になった。


 三度目。


 白い人形にも魔力が入った。


 四度目。


 黒い人形が倒れ。


 助ける対象に変わった。


 色だけでは。


 敵も味方も決められない。


     ◇


 日が傾くまで。


 五人は繰り返した。


 最後の訓練で。


 レインの剣は。


 どの人形にも触れなかった。


 三本の糸だけが切れ。


 すべての人形が立っている。


「剣を使ったのに。」


 ミリアが人形を確かめる。


「誰も倒れてません。」


「それでいい。」


 ガレスは。


 初めてそう言った。


 倒さない剣は。


 弱い剣ではない。


 斬れるものの中から。


 斬るべきものだけを選ぶ。


 倒すよりも。


 ずっと多くを見る必要がある。


 雪原で。


 神崎へ剣を向ける時も。


 レインは。


 その人だけを見てはいけない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。