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∞クロニクル・アルディア∞ ~101年目の未来~  作者: 空乃真芽
第六章 繰り返された百年編

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第百二十話 百年目の記録

 七人は。


 それ以上進まなかった。


 雪原へ続く道を見つけた。


 だからこそ。


 戻る必要があった。


 森に残した布。


 白い糸。


 倒れた魔物。


 すべての位置を確かめながら。


 北門へ戻った。


 誰も欠けていない。


     ◇


 禁書庫で。


 黒い本が開かれる。


 学院長。


 司書。


 ガレスとリディア。


 トーマとセレス。


 レインは。


 森で見た表示を読み上げた。


「百年目終端記録と一致。」


「終端。」


 トーマが繰り返す。


「神崎を倒した時点か。」


「それだけじゃないと思う。」


 レインはページへ手を置く。


「クロニクル。百年目の記録を開いて。」


【閲覧可能範囲を検索】


【利用者記憶との接続を確認】


【限定表示を開始します】


     ◇


 文字の下に。


 小さな光景が浮かんだ。


 雪原。


 二つの月。


 向かい合うレインと神崎。


 今まで見たものと同じ。


 けれど。


 今度は文字が添えられていた。


【世界線経過:百年】


【維持者権限:低下】


【循環処理:終端待機】


「循環処理。」


 司書が息を呑む。


「神崎蓮を倒した後に、世界を次へ送る処理か。」


【実行条件:一部欠損】


【実行主体:特定不可】


 答えにはならない。


 神崎が準備したのか。


 クロニクルが動かしたのか。


 ほかの何かがあるのか。


 表示は決めなかった。


     ◇


 光景の中で。


 過去のレインが剣を振る。


 神崎が倒れる。


 世界が白くなる。


 そこで。


 今まで見えなかった文字が現れた。


【百年目:終了】


【次世界線への移行を確認】


【百一年目:到達せず】


 一つ。


 また一つ。


 同じ表示が重なる。


 数えられない世界線。


 どれも。


 百一年目には届いていない。


「今回も同じなら。」


 セレスが言う。


「神崎さんを倒せば、次の世界線へ移る。」


「でも。」


 レインは。


 白くなった最後のページを見る。


「今の世界は、同じじゃない。」


     ◇


【現在世界線】


【循環処理:不安定】


【百一年目:未観測】


【維持限界:接近】


 百一年目へ進めるのか。


 進んだ先で。


 世界が残るのか。


 まだ分からない。


「神崎を倒さなければ、循環が止まるのか。」


 ガレスが尋ねる。


「それも、分かりません。」


「名前を呼べば止められる?」


 セレスの問いにも。


 レインは首を振った。


「名前だけで全部変わるなら、神崎さんは何度も待たない。」


 必要なのは。


 神崎へ届くこと。


 剣を向けるところまで行き。


 それでも倒さない方法を選ぶこと。


 そして。


 百年で終わるしかなかった循環を。


 二人で止めること。


     ◇


 黒い本の最後に。


 新しい線が現れた。


 学院から。


 北の森へ。


 森から。


 雪原へ。


 道は細く。


 途中で消えている。


【百年目終端地点への経路】


【現在世界線との差異:拡大中】


 同じ場所へ行っても。


 同じ結末になるとは限らない。


 だから。


 レインは。


 過去と同じ剣を持ち。


 違う答えを選ぶために。


 北へ向かうと決めた。

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