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第22話 真衣サイド-05-

 彼女がどうやって唯を見つけたのか、詳しいことはわからない。




 だけど、この3年間、どうやら玲奈ちゃんは栞さんと協力して、唯を取り戻すべく様々な行動をしていたらしい。




 ちなみに玲奈ちゃんはなぜか唯のことを「お兄様」と呼んでいる。




 当然、玲奈ちゃんは唯の妹でもなんでもない。




 玲奈ちゃんの振る舞いはこういう言動以外にも客観的にみてだいぶおかしいところがいくつもある。




 唯の行動を事細かく記録していたり、唯に言われたことを勝手に拡大解釈したりするのだ。




『玲奈は妹みたいですごく可愛いよ』


 


 と、唯が子供の頃に、社交辞令で言ったことを未だに信じているらしい。




 だけど、唯は優しいから、玲奈ちゃんのように少しばかりおかしい女性も惹きつけてしまう。




 まあ……玲奈ちゃんはどんなに頑張っても唯からすれば所詮妹扱いされているだけの哀れな子だからいいのだけれど……。




 とにかくそういう意味で、玲奈ちゃんの振る舞いはあまり昔と変わらなかった。




 玲奈ちゃんは勝ち誇った顔を浮かべて、昔の時のように一方的に話しをはじめた。




 自分がいかに唯に好かれているのか、唯と自分の関係がどれほど長いか……などなど。




 わたしは黙って聞いていたけれど、正直うんざりしてしまった。




 玲奈ちゃんなんて、ただ唯につきまとっていただけの存在だ。




 唯との付き合いだって、わたしのほうがはるかに………1030日4時間ほど長い。




 それでも、ただ黙って玲奈ちゃんの話しを聞いていた。




 聞くしかなかった。




 だって、玲奈ちゃんは「唯を見つけた」と言ったのだから。




 それはわたしがずっと待ち望んでいた情報なのだから。




 やがて、わたしの予想どおりに玲奈ちゃんはだんだんと気分がよくなってきたらしい。




 どんどんと口を滑らせて色々なことを教えてくれる。




 最初に接触してきたのが、玲奈ちゃんでよかった。




 栞さんだったら絶対にわたしにこんな情報を漏らさないだろう。




 わたしはさっさと唯の居場所だけ聞きたかった。




 だけど、玲奈ちゃんは唯の話しが終わったかと思ったら、今度は自分の自慢話がはじまった。




 玲奈ちゃんはどうやらDtuberをしているらしい。




 そして、それなりの登録数——100万——を誇っているらしい。




 そして、ことあるごとにわたしの方をニヤニヤとした視線で見つめてくる。




 ようはこの子はわたしにマウンティングをしたいらしい。




『わたしの方がよっぽど人気があるわ、だからわたしの方が唯兄様にふさわしいの』




 そうはっきりとは言わないが、そう言いたくてたまらないという顔をしている。




 やはり玲奈ちゃんはまだ子供だな……とわたしはあらためて確信した。




 別にわたしは唯以外の誰かにどれだけ人気があろうとどうでもいい。




 わたしにとっては唯が全てであり、アイドル活動も唯のため……唯を見つけるため……なのだから。




 この子なんかより、わたしの方が全然唯のことを愛しているわ。




 しょせんは玲奈ちゃんは、どんなに頑張っても唯の妹でしかない。


 


 女とは見られていないのだ。




 玲奈ちゃんはやっぱり全然脅威じゃない。




 問題なのは栞さん——。




「真衣ちゃん、唯兄様の居場所知りたい?」


 


 玲奈ちゃんは一転して、真剣な顔つきでそう言った。


 


 玲奈ちゃんと栞さんとは仲が良い訳でもないし、友達ですらない。


 


 でも、唯に関してだけは、3人とも嘘はつかない。


 


 その点だけは信用している。


 


 だから、唯の近くにいることをわたしは許容していたのだ。




 わたしは、もちろんうなずいた。




 玲奈ちゃんはわたしの反応を一瞬だけ見て、




「いいよ。教えてあげる。でも……」




 と、そこからとある条件を提示してきた。




 それは条件というものでもない。


 


 わたしが望んでいたことでもある。


 


 つまり、唯を見捨てたあの女たちにしかるべく罰を与えるのに協力しろということだった。




 わたしだって、唯の同意が得られれば、今すぐにでも唯を捨てたあの薄汚い豚どもを抹殺してやりたい。




 実際、わたしは当初アイドルになる前には真剣にそのことを計画し、実行に移そうと考えていたのだから。




 もちろんわたしは常識人だ。




 だから、抹殺というのはあくまで言葉だけの意味に過ぎない。




 実際に殺す訳ではない。




 だいたいそれではあまりにも豚どもの罪が軽すぎる。




 単に殺すのではなく社会的に抹殺して、唯を苦しめたことを後悔しながら——。

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