9話 おこめくんを狙う黒くて長方形の影
きょうはしょうてんがいにきたぞ!いろんなたべものがあってにぎやか、おんなのこもしなぞろえがいい!さいこー!
あ!
「やあぎゅうかるびちゃ〜ん!」
まえからぎゅうかるびちゃんがあるいてきた!ぎゅうかるびちゃんはいわゆるつんでれでいじらしいんだよね〜!
ぼくのことすきならはっきりいえばいいのにそういえない、むしろわるぐちをはいてしまうのはなにもわかってないあまりあたまのよくないおとこにはつらいことかもしれないけど、ぼくにはかのじょのしんいがわかってるからすごくうれしいんだ!
「ゲッ、おこめ!シッシッ帰りな!ここはアンタみたいな不味飯が居ていい場所じゃないわよ。ペッペッ」
そういいながらぎゅうかるびちゃんはつばをはいてきた。にかい。
「おっと!まったく、ひとにたいえきをかけるなんてすごくいやらしいね……ほーんと、かわいい」
「うわぁ……もういいわ。アンタと対面してるこの時間は明らかに私の食べ物人生の汚点だわ。じゃあね二度と面見せんなゲロマズおこめ!」
「あっちょっとまってよー……いっちゃった」
かわいい!かわいい!つんでれ!
そのときうしろのほうで「ぱりっ」とおとがした。
「……ん?」
ふりむいてもなにもない。なんだろう?なんでもないんだろうな。
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「なまはむちゃ〜ん!ひさしぶりにきたよ!おこめくんだよ〜!あいたかった〜?あいたかったよねごめんね〜わるいのはこのぼーい──」
「あっ、アンタおこめッスねぇ〜お久しぶりでぇ〜す!!前も言ったッスけど、出禁でぇ〜す!!」
「うっお、おいおすな!ぼくはなまはむちゃんにあいにきたんだ!おまえじゃない!おまえはだれなんだよ!」
「メロンでぇ〜す!ちなみに生ハムさんなら辞めましたぁ〜寿退社でぇ〜す!」
しこうがとまる。ふりーずする。いしきがこんだくする。ことばがのどもとでつまる。いきができない。いや、いきがあらくなる。おもいでがよみがえる。じんせいがくずれる。あしがおぼつかない。なみだがあふれる。
「なっ……なっ……なにをいっ……て……」
「出禁でぇ〜す!!お帰りくださぁ〜い!!」
めろんのいきおいにおされてぼくはきろについた。なみだでまえがみえない。からだのふるえがとまらない。
「どうして……?」
なまはむちゃんはぼくのことがだいすきだったはずだ。あいしていたはずだ。なのになんでことぶきたいしゃなんてばかなことを……?
なにかわけがあるにちがいない。さもなくばめろんのうそだ。あばいてやる……あばいてやるぞかならず。かならずだ!
またうしろから「ぱりっ」とおとがした。こんかいはさっきよりもちかい。でも、ふりむいても、だれもいない。おこめも、ぱんも、ふるーつも、おかしも。ちょうみりょうでさえも。
「ぱりっ」またおとがなった。もっとちかくだ。
「な、なに……」
ふりかえってもやはり、だれもいない。
なにがおきているのかぼくにはまったくわからなかった。
からだのふるえはかなしみゆらいからきょうふゆらいのものにかわり、ぼくはほをすすめるそくどをあげた。しだいにおとのなるかんかくときょりがちかづく。
「うわあああああああああ!!!!!」
ぼくははしった。とにかくはしった。なにからにげているのかぼくじしんけんとうもつかない。それがとにかくこわかった。
でもかくじつに“なにか”がきている。
こわい。こわい。こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこねいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこいわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわんこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいいいいい!!
きょうふがのうをしはいしたころ、おとはやんだ。
「な、なんだったんだ……?」
なんにせよ、ふりきった……はず。ほ、ほんとうにこわかった。そーせーじがしゅじんこうのえいがでたべものがひどいめにあうしーんよりもずっとこわかった。
「ふぅ……もうだいじょうぶ……か……」
「ぱりっ」
最近米が美味しくてしかたない