表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おこめくんは茶碗入りしたい  作者: 高端 朝
水分過多編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/32

29話 ゲロ臭朝方フィーバー

「アンタ、ナニガアッタノ」


ぶーーーーーーーん!


と、やかましいえんじんおんをひびかせるくるまのなかで、みずまぜこむぎちゃんがいった。


「なにがって、なにが?」


「ソノスガタ。マサカウマレツキジャナイデショウ?」


しつもんしながらも、みずまぜこむぎちゃんはまっすぐと、しんろほうこうをみている。


いつのまにかそとにはたてものがたちならび、かべやじめん、うえきにほうちされたごみやよごれが、のこりがのように、たべものたちのそんざいをつたえている。


きたないまちを、あさひがうすくてらしていた。


「このしゃびしゃび?すいぶんかただよね。わるいめろんにまぜられちゃったのさ」


なまはむちゃんはげんきにやってるかな。あのめろんやろうにまぜられたぼくをしんぱいしてよるもねむれないんじゃないかな。


ほんとう、なんてことしてくれたんだめろんめ。


「ソウ」とだけつぶやいて、みずまぜこむぎちゃんはぶれーきをふんだ。


がたん。くるまがゆれる。かのじょのうんてんはていねいとはいえなかった。


『ほっとぼにと』


かんばんにかいてあるのはこのおみせのなまえかな?


「アサニタベモノガタクサンイルトコロナンテ、ココクライ」


はいると、


「うっ……!」


すっごいくさい!このにおいは……


「ゲロノニオイダナ……サイアク……」


としゃぶつのにをい……だと!?


ぼくたちたべものにとって、“ふはい”とはもっともおそろしいげんしょうのひとつ。としゃぶつはほとんどそれとおなじだ。


「ここでは、“おうと”がおこなわれているのか……!?」


うすぐらいくうかんをてらすたしょくはっこうらいとをみて、ぼくはりかいしたよ!


「ここ『ないとくらぶ』か……なるほどたしかに、あさたべものがおおいのはここだね」


でぃーじぇーがちぇけらしてそうなつくえがさいおうにはいちされたひろま。だんすふろあにはたくさんのたべものがしきつめられるみたいにたおれていて、ときおりくるしそうなうめきごえがきこえる。


「チョットチアンワルスギジャナイカ?」


「ぼくきらいなんだよ、ないとくらぶってやつは。なんどもなんどもぼくをできんにしやがって!」


おもいだすよ。


きゃばくらできゃすとのしどうをするまえに、ひとあせかいてこうとおもってないとくらぶでおどることにしたあのひを。


「おいしそうなおどりをおどってるおんなのこをぼくのとりこにしていただけなのにおいだすなんて」


「タブンダガ、ワルイノハオマエナンダロウナ」


「まったく、めろんくんもそうだけどさ、このてのおみせのれんちゅうはどうもしっとぶかいらしい。どうせまともなしょくせいおくれないからこんなとこではたらいてるくせにさ!」


「オマエマジカ?ショクギョウサベツモスルノカ?オマエ?」


「アルルエぇ?」


どこかからはげしいまきじたをふくむきたないこえがひびいた。


「何でこの店に薄汚ぇ水混ぜ食品のカスがいるんだァ?」


おみせのみぎおく、といれとおもわれるそのとびらからおとこがあらわれた。


そのうしろからいっぴん、またいっぴんとたべものがあらわれ、いつのまにかぼくたちはかこまれていた。


「あれ、どったの欧風カレーちゃん」


「おー、ステーキソース。なんか変なのおってさ」


「うーわ笑。水混ぜ食品じゃんキッショ。萎えるわ」


ばりぞうごんならべたてるたべものたち。ちら、とよこをみるとみずまぜこむぎちゃんは、


「ア、アワ、アワワ……ソウサクブツニトウジョウスルテンケイテキナヤンキーパーティーピーポー……アワ、アワワワワ……ホントニイタンダパティピポ……」


……と、めちゃびびっていた。


まったくせわのやける。ぼくはいっぽまえへでた。ゆびをぽきぽきならす。


「あー、きれそう。ぼくをいらいらさせないほうがいいよぉ?ただでさえ、ないとくらぶのいやなきおくがよみがえってきてるんだからさ!」


さけんでやると、やつらはおどろいたようにうごき、そしてわるぐちをとめた。はんこうされるとおもわなかったみたいだ。


「げろくさいおまえたちはもはやくさったたべものだ。ころしてやるよぞんびめしども!」


「んだテメェ!」


おうふうかれーがわめく。まったく、げろめしのこえはきくにたえない。ぼくのようにびせいをもってうまれてこれなかったことはかわいそうだけど。


まあしかたないね。かれはかみにあいされなかったみたい。


つまり、かみにあいされたぼくにはかてないってこった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ